3月に東京で行われる予定だった第21回心の健康会議が本日神戸で開催されたので、覗きに言った。昆虫採集家でもある早稲田大学の池田清彦教授の『構造主義生物学からの提言 心理臨床に通底する視座から』と言う基調講演を聞きに行くのが目的。午後からの『臨床心理士 専門業務の更なる社会化に向けて』と言うシンポヂュームはおまけのような感じで臨んだ。
臨床心理士の集まりではいつもの事だが、ホールは開始直前に参加者で溢れ出す。今回も多分に漏れずこのパターン。今回は珍しく開始予定時間ジャストに始まった。ホールには席を探す遅刻した参加者。
舞台の片隅に司会進行役の女性が現われる。
しかし、何か変。女性は原稿を見ながら人物紹介等をしているのだが、原稿を正確に読めない。たった二人の名前を何度も言い間違える。原稿もかみまくる。徐々に動揺が加速するのが分かる。ホールの各所から、失笑が起こる。まさかこんな結末になるとは思ってもいなかっただろう。
こんなハプニングの20分後、ホールの中央から鼾が響き渡る。半径5メートル以内にいる人たちがざわめき立つ。鼾の発生場所には中年の男性。右隣に若い男性が居るが知らぬ振りを決め込んでいる。左隣は空席。空席を挟んで隣の男性が椅子をトントンと叩き鼾を抑え様としている。その都度、目を覚まし鼾は止るのだが、再入眠。再入眠を繰り返す毎に鼾はエスカレート。空席を挟んで隣の男性も鼾を止めようとするのを諦めたようだ。こんな状態が30分。数人が席を移動した。また、迷惑、と言わんばかりに鋭い視線を向ける人が増えた。しかし、寝入った中年の男性がそんな視線に気付く筈がない。
とうとう空席を挟んで隣の男性が、中年の男性の肩を叩き、鼾が全体に響き渡っていますよ、と注意を告げた。男性は失態に気付きドキッとしたようだった。取り乱して多動になっていた。ホールの各所から、失笑が起こる。疲れていたんでしょうか???。まさかこんな結末になるとは思ってもいなかっただろう。
二人にとっては悪夢だったようです。
続きを読む "第21回心の健康会議 悪夢を見た二人" »
s/oは、suspected of、r/oは、rule outの事。
駆け出しの頃、この略語を知らなくて格好悪い思いをした。
他の医療機関から移ってきた精神科医がこの略語を心理検査依頼箋に連発した。そして、先輩から、s/oは「疑い」、r/oは「確定」って意味だと教えられた。何の疑いもなくそれを鵜呑みにして幾年月。誤った理解をしたまま所見を書いていた。職場を移ってから、r/oは「確定」でなく「除外」と言う事を知った。
振り返ってみれば、前の職場では、依頼箋から次第にs/o、r/oと言う略語が消え、疑い、除外になっていった。先生は、r/oの意味を私達が知らないってお気付きだったんですね。
続きを読む "ああ、勘違い 心理検査依頼箋の中の略語" »
3月11に起こった東北・関東を襲った東北太平洋沖地震は、大きな被害をもたらした。すぐさま都道府県からの要請で医療機関にボランティアの呼びかけがあった。
私も16年ぶりに医療ボランティアに参加してみようと考えている。しかし、勤務先の事務方の話では、調整役を担っているところが、パンク状態。いつ、どこにボランティアを派遣したら良いのか、情報が錯綜して収拾がつかない状態と言う事らしい。その為、多くの医療機関でボランティアの準備が整っているのに、未だに目途が立っていないらしい。勤務先では、予定していた第一陣が中止となった。いつになったら、本格的な派遣が始まるのだろうか???
続きを読む "思うように進まない東日本大震災の医療ボランティア" »
心理臨床学会は数ある学術学会の中で一番大きな学会。会員数は2万人を越える。余りに大きくなり過ぎたので、学会や研修会の場所が限定される。関西で開催される場合、京都国際会館で行われる事が多い。
しかし、京都国際会館周辺には飲食する場所が限られており、土地勘のない人には辛いものがある。目に付き易いお店は人でごった返すので、仕方なくコンビニでお弁当を買って食べるという事もある。
続きを読む "臨床心理士会の研修会が京都国際会館で開催 昼食を摂ったのはココ" »
昔、漫才で、通信教育で空手を習っている、と言うネタがあった。(空手は日々の鍛錬があって上達するものなので)そんなに楽して上達するはずがない、と言う前提があるので、多くの人たちが笑ったものだった。でも、楽して身に付く(強くなる)としたら本当に魅力的ですよね。
さて、新聞・雑誌・ネット・タウン誌等で、通信教育で心理カウンセラーの資格を取得、と言う広告を目にする機会は多くありませんか???。
こんな広告をよく見て、心理カウンセラーの資格って簡単に取れるんだ、と錯覚を起こしてしまう人が少なからずいらっしゃいます。身の回りにも、心理カウンセラーの資格があれば医療機関で働ける、と確信してしまう患者さんはちらほらいる。患者さんだけではない。看護師さんだって、カウンセラーの資格を取ったので患者さんを心の悩みから開放してあげられる、なんて…
実際のところ、思うように行くのでしょうかね。思うように行くといいんですけれど…
続きを読む "心理カウンセラー養成講座の落とし穴" »
某精神科医より相談。
『精神科を立ち上げ、臨床心理士を雇ったんです。スクールカウンセラーの経験があると言うことで雇ったんですが、医療の領域での経験がないので、さっぱり役に立ちません。如何育てていったら良いのでしょうか???』
続きを読む "臨床心理士 教育領域から医療領域への転向は楽ぢゃない" »
某学会のワークショップに参加しました。話題が発達障害と言う事もあって、参加者が今までで最高を記録したそうだ。さすが、発達障害バブルだけある。
毎度の事だが、最初に基調講演と言うのがある。今回も始まりが遅れた。主催者の不手際と参加者のだらしなさのコラボだ。遅れるのは恒例である。もう誰もが慣れっこになっている。某精神分析医であれば、遅れた原因を作る人達に対して、あなたの所為で大勢の人が犠牲になっている、と気持ちよく叱り飛ばすのだが…
続きを読む "某学会ワークショップにて 時間にルーズなんだよな" »
以前、作業療法士養成のカリキュラムはとてもしっかりしている、医師養成も作業療法士を見習うところが沢山ある、と大御所の精神科医が誉めていた(自分の息子が作業療法士であることから多少のリップサービスかもしれないが…)。その上で、作業療法士も医師も職人を養成する為の教育が行われているが、臨床心理士には職人を養成する為の教育が行われていない、臨床実習が少な過ぎる、現場には養成学校よりも遥かに優秀な人材がいる、と結んだ。
先日、臨床心理士会の超大物が、現在の大学院での臨床心理士養成カリキュラムでは実習で扱う症例が少な過ぎる、と指摘し、一つの症例を大切に扱うのも良いがそれでは力が身に付かない、と苦言を呈していた。
国家資格化された精神保健福祉士ですら専門職養成の為に臨床実習を重視している。臨床心理士の実習とは比べ物になりません。臨床心理士の資格は何とか取ったけれど、大学院では現場で必要な知識を教えてもらわなかった、と嘆いている新人の臨床心理士も多い。
臨床心理士養成カリキュラムには問題が大有りなのです。肩書きだけの専門家を養成するのであればこれで十分でしょうが…。本腰を入れて職人の育成をしないと、臨床心理士の国家資格化はいつまで経っても無理のような感じがする。現状では、臨床心理学者(臨床心理学と言う学問の専門家)は育っても力のある臨床家が育ちにくい。
続きを読む "現在の臨床心理士養成カリキュラムにおける問題点" »
イギリスでは、うつ病と不安性障害で2兆5000億円もの経済損失があるため、2007年から有効な治療法であるとされている認知行動療法セラピストを国策で養成しています。その数、7年で1万人。物凄い数のセラピストを養成する計画です。
こんな話題が、2009年2月22日にNHKスペシャル『うつ』で放映されてから、日本でも認知行動療法に対する期待~幻想が高まっています。
続きを読む "カウンセリング・精神療法 イギリスの優れた認知行動療法セラピストの条件" »
傾聴がカウンセリングだと信じている人は多い。精神科医や臨床心理士の中にも傾聴こそカウンセリングだなんて信じている人がいる。日本にカウンセリングの技法が入ってきた時に、傾聴することがカウンセリング、って感じになってしまったんですね。
続きを読む "カウンセリング・精神療法 認知行動療法が出来る臨床心理士を知りませんか???" »
個人・集団治療を受けている患者さんの担当を力量の乏しいセラピストが受け持つ事になった時、仲間内で、患者さんが審査員を務めてセラピストが治療の腕を競い合うセラピーバトルなんてあったらセラピストの力量がはっきりくっきり示されたら良い、なんて皮肉を込めて言う事があります。不謹慎だとは思いますが、セラピスト選びは症状の予後に大きく影響を与えるから、一定の力量は必要だと思います。
続きを読む "カウンセリング・精神療法 セラピストの技術を競うセラピーバトルなんかあったらいいかもね" »
随分前の話になる。日本の発達障害の治療の大御所である某先生は、討論の中で、100例以上知らない人には自閉症を語って欲しくない、と語ったことがある。確かに仰る通りである。とても奥が深く、一人一人微妙に症状が違っており、数例だけの経験では何ともならない事の方が多い。例え、100例以上知っていたとしても戸惑う事はある。
続きを読む "発達障害 多くの症例を知らない専門家" »