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学習療法

2008年10月25日 (土)

脳梗塞回復初期のリハビリに好きな音楽が効く

 音楽を楽しむことが精神に良い作用を及ぼす事は、昔から知られている。そして、こうした作用は臨床場面の中で利用され、音楽療法と呼ばれるようになってきました。この音楽療法は、従来の音楽教育で重要視されていた音楽的な進歩や完成度は重要視せず、他者と比べることなく各々が楽しむ事を重要視しています。昨今では、精神科領域だけでなく医療全般に取り入れられています。

 先日、フィンランド・ヘルシンキ大学の研究グループが、体を動かすことが困難だったり、記憶や注意持続時間に問題がある後遺症を持つ回復初期の脳梗塞患者60人を対象にした調査の報告をしました。そこで、脳梗塞で倒れてから1日に少なくとも2時間好きな音楽(音楽のジャンルは問わないが理解出来る歌詞)を聴くと言語記憶の回復に効果的、脳梗塞のうつにもなりにくい、と言う結果が発表されました。脳が損傷した患者の治療において、音楽が治療に有効であることが確認されました。

 回復初期の患者が好きな音楽を聴くだけでリハビリ効果が得られるのであれば、体を動かすリハビリがまだ始められない患者にとって有効である。また、自宅で比較的簡単で低コストで出来るリハビリになり得る可能性がある。今後の同系列の研究に注目したい。

 ただ純粋に好きな音楽さえ聴きさえすればリハビリ効果が得られる訳ではないのではないか。やはり、周囲に理解を示して関わってくれる人がいたからこそ効果が現れたのではないだろうか。経験的にそんな風に感じた。

【関連blog】
 音楽療法って、こんなもの  リハビリとリカバリー
 カウンセリング・精神療法 脳梗塞の人の不安から
 脳卒中後うつ病(脳梗塞後のうつ状態)
 麻痺が起こったら

2005年11月11日 (金)

学習療法の効果

 『読み・書き・計算』が脳の前頭前野のトレーニング(学習療法)は効果的と言う事で広がりを見せている。一部では、確かに効果的であるとしながらも、「いい年をして『読み・書き・計算』をさせられるのはとても不幸なことだ」、との批判もある。ただ、学習療法は、『読み・書き・計算』をさせられるのではなく、自ら進んで、楽しくやらなければ意味がない、と念の為に付け加えておきたい。

 学習療法は、1000字程度の文章の音読(読み)、簡単な漢字を書いたり、読み仮名をいれたり(書き)、簡単な足し算・引き算(計算)を20分程度マンツーマンで行うものである。その際に、ポジティブなフィードバックしていくものである。課題は難しいものよりも簡単なものが良いようだ。簡単な計算をしている時の方が前頭前野はよく働いているし、解答する側は、適度な満足感を得ることが出来る。満足感を得ることってとっても重要な感じがします。

 学習療法の開始前と開始3ヶ月後のFAB(前頭葉機能検査)の結果を比べると、3〜7点上昇するケースが多く、簡単な『読み・書き・計算』で前頭葉機能が活性化していることが読み取れます。最初は、胡散臭かったのですが、実際に効果測定をすると、凄いなぁ、って実感が湧いてきます。また、学習療法を受けている認知症(痴呆症)の人にも能力アップの実感が得られたり、能力が回復してきたとフィードバックを受けるだけで、意欲が湧いてきたりします。それがまた認知症に効果的であったりします。ただ、その後は横ばいから緩やかな低下となっていきます。

 さて、こんなに効果の出る学習療法ですが、認知症の進行を遅らせることは出来ますが、止めることは不可能です。改善の見られた人にも徐々に認知症は進行していきます。出来ていたことが出来なくなっていくのを自覚する人もいます。そんな経過を眺めていると、一寸複雑な気持ちになってしまうのです。



【関連blog】
 FAB(Frontal assessment battery)について



 高次脳機能診断法←神経心理学的検査に興味のある方はこちらの本が役に立ちます。簡単に言えば、取り扱いマニュアルです。医療・福祉・リハビリの専門の方、如何ですか???
 高次脳機能検査の解釈過程―知能,感覚-運動,空間,言語,学力,遂行,記憶,注意
 高次脳機能検査法―失行・失認・失語の本態と診断

2005年7月 8日 (金)

コンピュータ-・ゲーム VS 計算 脳が活発なのは、どっち???

 コンピュータ−・ゲームをしている時は、『視覚野』と手を動かす『運動野』しか働いていませんが、計算をしている時は、計算をつかさどる『左頭頂葉』はもちろん『前頭葉』・『頭頂葉』・『後頭葉』と言った具合に、脳全体が活動していることが判って来ました。

 従来の神経科学の知識では、計算は頭頂葉の一部でのみ行われている、と信じられていたのですが、その認識が大きく覆されてしまったのです。

 人の様々な行動・認知・記憶などに関わる脳の活動を測定してみると、計算だけでなく、幾つも意外とも言える事実が明らかになって来ています。例えば、日本語は左脳・英語は右脳を使う、と言われますが、実際は、どちらも脳全体を使っていることが判って来ました。更に、文章をただ読むだけでなく声を出して読むと、より脳の働きが活発になる事も判って来たのです。また、筋力トレーニングと同じように、脳の細胞も繰り返し使うことで、太く・早く働くようになることも証明されるようになりました。

 つまり、声に出して読み、それを自分の耳で聞くことで、脳の機能が活発になっていく訳です。よく学生時代に先生が、『紙に書き、それを声を出して読み上げ、それ耳で聞く』と言ってましたが、やっぱり脳の力を高めるのに効果があったんですね。