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カウンセリング・精神療法 [1]

2008年6月25日 (水)

カウンセリング・精神療法 災害・事件の後は心のケアと言うけれど…

 災害や事件が起こると、メディアを通して、心のケアが必要、とキャスターやコメンテーターが訴える。その甲斐あって、世間じゃもう、災害や事件が起こると被災者に心の問題が生じるので心のケア、みたいな条件反射が出来上がっている。何か危険な学習(条件付け)が起こっているような気がしてならない。

 災害や事件直後は、不安や心配等の不快な感情は急速に大きくなっていく。それは誰にも共通する当然の事である。そして、一定の時間が経過すると、だんだんと軽減していく。不快な感情なんてそんな風に終息していく。健康な人程、回復する力を持っている。こんなものだ。
心のケアは不必要ではないが、誰もが必要なものではない。心のケアを必要なのは、被災者の15%程度が相場ではないだろうか。反って、害毒になる事さえある。災害や事件が起こると被災者に心の問題が生じるので心のケア、みたいな認識が強くなると、誰にでも生じているはずの健康な反応であるにも関わらずそれが異常なものとして認知される。そして、健康な反応を取り除いて欲しいと望む。傍からこんな状況を見ていると、何だか変、と思う。

 災害や事件が起こって心のケア云々言う前に、災害や事件直後にどんな反応が人に起き、どんな回復経過を辿るのかを、日頃から説いていた方が、効果があるように感じる。



【PTSDの治療に役立つ本】
EMDR―外傷記憶を処理する心理療法
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最新心理療法―EMDR・催眠・イメージ法・TFTの臨床例

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2008年3月31日 (月)

カウンセリング・精神療法 通院精神療法に要する時間の目安

 今回の保険点数の改定は、精神療法の適正化と評価の充実と言う事(医療の質)に重点を置いたようで、通院精神療法は診察に5分以上要した場合に算定して下さい、と言う事になるらしい。提供される診察の内容のモデルも提示されている。

┏【提供される診察】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 問診し、患者の訴えを総括する。
 医学的判断等の説明。
 これまでの治療経過を踏まえた療養上の注意等の説明・指導。
 患者の潜在的な疑問や不安等を汲み取る取り組み。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 精神科医は、�〜�について患者から聴取事項や診察所見の要点をカルテに記載していく事が必要になってくる。これをするのに5分以上は掛かるだろうと言うことで、通院精神療法は診察に5分以上と言う目安になった。実際、示された通りに実行すると、大変な時間が掛かってしまう。出来れば5分で切り上げたい精神科医と話を長く聞いて欲しい患者の鬩ぎ合いが起こりそうだ。

 通院精神療法は診察に5分以上、と目安が示された事で、患者から5分も診てもらってない(5分未満なのに通院精神療法代を請求されている)と言うクレームが出て来るのでは、と心配する現場もあり、対策を練っているようです。さぁ、どんな対策をするか、各医療機関の対策が楽しみです。



【役に立つ本】
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2008年3月28日 (金)

カウンセリング・精神療法 本音って一体

 何かを提案する。すると、患者さんは乗り気でなさそう。でも、患者さんはその提案に賛同する。こんな場面と言うのは意外と多くある精神科の風景だ。こんな場面になると、患者さんの本を聞き出して判断しないといけない、と主張する医療スタッフがいる。そして、私が本音を聞きだします、なんて言い出す。本当は提案には賛同したくない、と患者さんが望んでいるといわんばかりに。そして、患者さんが、本当は賛同したくなかった、と言う。すると、無理に賛同させてはいけないのでは、と本音を聞き出したと思っているスタッフは言う

 こうして聞き出された本音は、果たして本当に本音なのか。

 本音と言うのは一つではない。色んな思いが混ざり合っている。場面場面で変ることさえある。よくあるケースだが、相反する気持ちがせめぎあっていたりすることだってある。意思表示したこともしなかったこともどちらも本当の思いってことは日常茶飯事。意思表示しなかった部分を聞き出し、それが本音であると言うのは些か乱暴な結論に見える。従って、本音の一部と考えた方がいいかもしれない。人間の思いってそんなに白か黒かって具合に割り切れるものではない。一部だけ取り出してきて、それが本音ですと言われても困る。それは本音ではない。

 少なくともトレーニングを受けた専門家は、本音と言うのは色々な思いが混ざり合って成り立っている事を知っている。そんな訳で、色々と話を聞きながらその辺りを把握していくのだ。なるべく、特定の本音だけを引き出させないように注意しながら。



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2008年3月 4日 (火)

カウンセリング・精神療法 自分自身に対する否定的な認知について

 日常生活において、人は自分自身への批判や悪口に対しては非常に敏感に反応する。多くの場合不快な気分になる。時に、言い返したり、暴力となって相手に攻撃を加える時もある。(批判や悪口は)御尤もです、なんて具合に妙に納得する事はない。例えそれが真実であったとしても…

 それだけ他人からの批判や悪口に対して敏感でダメージを受ける。しかし、(物事が上手くいかなかった時等に生じる)自らが自分自身に対して行う批判や悪口には驚くほど寛容で、御尤もです、と妙に納得する。本当のところは認めたくないのだけれど嫌々認めている、と言うのが真意なのかもしれないのでしょうが…

 そんなことが常日頃行われていると、否定的な自己認知が定着してしまう。自動的に自分自身の悪い事ばかりが目に付くようになってくる。そして、どんどんイライラしてくる。もう嫌だ、勘弁してくれ、と言った具合に体が抵抗する。こうした反応は人から批判や悪口を言われた時と一緒。しかし、批判や悪口を繰り返しているのは自分自身である事には気づいていない事が多い。

 肯定的な自己認知をしていますか。肯定的な自己認知は心の健康を保つにはとても大切な事です。



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2008年2月28日 (木)

カウンセリング・精神療法 本人に代わって家族が相談と言う手段もある

 先日相次いで同様の相談を受けた。相談は、知り合いの子供が10年以上も引籠もっている、就労意欲は全くなく昼夜逆転のネット三昧、本人が医療に掛かる気など微塵もないので如何したらいいのか判らない、と言うもの。

 私からしてみれば、家族が専門機関に相談に行くことから始めると良い、と思うのだが、家族にしてみたら、そんなやりかたは禁じ手のように頑なに信じ込んでいることが多った。引籠もりは病気でない事もあるので医療の対象ではない、と信じ込んでいたり、本人が医療に掛からないと効果がないと信じ込んでいるって具合。
 本人が医療に掛からないと駄目と訳ではない。理想を言えば、本人が医療に掛かるのが良い。しかし、特に引籠もりの期間が長い場合は、それを待っていてもいつになるのか分からない。そういう場合、家族が困っているのであれば、そう言う名目で家族が医療に掛かるのが良い。医療は、そう言う支援もする。

 さて、相次いで受けた相談に対しては、家族が医療に相談に行くように勧めた。子供を何とかして欲しい、と相談するのではなく、今の現状がしんどい、と家族自身も問題として相談して下さい、と付け加えた。



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2008年2月21日 (木)

カウンセリング・精神療法 性同一性障害のカウンセリング③

 近年、性同一性障害は多くの人に知られるようになってきた。そして、性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインが設けられた。しかし、診断・治療を専門的に行っている医療機関と言うのは数える程度でなので、そうした医療機関には患者さんが殺到する。

 確定診断が下っても、嬉しいのはほんの一時。SRS(性別適合手術;sex reassignment surgery)には金が掛かる。医療保険が利かないので、費用は300〜400万円也。そうそう用意出来る金額ではないので、先に進めるものでもない。そのため、海外若しくは国内で闇でSRSを格安で受けたり、海外からホルモン剤を個人輸入して使っている人が増えているのが現状(国内で手に入れようとすると高額)。海外で受けると国内の病院での術後のフォローが期待出来ない。闇で受けると医療事故が多い。格安の薬は成分が安定していない場合がある。どれも危険と隣り合わせ。

 そんなこんなで確定診断が下っても、気持ちは安定しない。しかし、気持ちのフォローするシステムが出来上がっていない。多くの患者さんの話を聞いている限り、患者さんが殺到し時間の確保が難しいので、診断・治療を専門的に行っている医療機関で気持ちのフォローは難しい。専門病院が気持ちのケアを受け持つ役割を果たす医療機関と連携するのが望ましいが、そこまで手が回らない。専門病院がケアしてくれるのを待っていても埒があかないので、主治医と相談の上、精神科の医療機関でカウンセリングや心理療法を受けてみるのも良いかもしれない。こんな風に気持ちのフォローを受けている性同一性障害も増えてきた。カウンセリングや心理療法を受けたい人は、実際にカウンセリングや心理療法を受けている人からどこで受けているのかを教えてもらうのが良いかもしれない。


【関連blog】
性同一性障害のカウンセリング①
性同一性障害のカウンセリング②


【役に立つ本】
性同一性障害と戸籍―性別変更と特例法を考える (プロブレムQ&A)
性同一性障害30人のカミングアウト
図解 性転換マニュアル―カウンセリング、ホルモン療法から各種手術、戸籍の変更まで
性同一性障害と法律―論説・資料・Q&A
性同一性障害の基礎と臨床
戦後日本女装・同性愛研究 (中央大学社会科学研究所研究叢書)

2008年2月19日 (火)

カウンセリング・精神療法 予約は一杯なんだけど…

 ここ何ヶ月も外来でのカウンセリング・心理療法・心理検査の予約が目一杯入っている。昼休みもない状態。その為、忙しくて文献をじっくりこってり読む時間が減っている。通勤途中にさささっと文献に目を通す読む程度はするけれど、じっくりこってり読む事は殆どない。

 予約一杯と言う状況を招いたのは依頼を断わらない自分の所為であるが、時々、これって案外自滅行為なんだ、って感じる。

 臨床の世界は常に動いているので、文献を読み新しい見聞を広げていかなくてはどんどん流れについていけなくなってしまう。特に最近は、分野の細分化が進み、新しい分野が直ぐに立ち上がるので気が抜けない。
 また、文献を読むことで以前覚えたはずなのにいつしか忘れてしまった大切な事柄をふと思い出すことがあるが、じっくりこってり読まないのでそんな機会を逸してしまう。

 …とは言うものの、数ヶ月先まで予約は一杯。どこかで、強制的に文献をじっくりこってり読む時間を作らないといけないと思う今日この頃です。



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2008年2月17日 (日)

カウンセリング・精神療法 心の問題

 心と言うのはよく分かっていないので、世の人達は、その人なりの感じ方や捉え方で心やその在り処を規定している。若し、「心って何???」って聞かれたら、私は迷わず、「脳の機能の一つ」と答えるだろう。そして、「どこにある???」、って聞かれたら、「脳」、って答えるだろう。これが必ずしも正しいとは思わないですが…。今回はそんな心の規定についての話。

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 時々、精神科領域のカウンセリングや精神療法場面で治療者から、「それはあなたの心の問題です」、と指摘されると、何だか問題を誤魔化されたと言った具合に感じる患者さんがいる。問題の原因をはっきりと知りたいのに、得体の知れない心と言うものの所為にされてしまい話を摩り替えられてしまう(言い包められてしまう、若しくはそんな風に方向付けられる)感じがしてならないのだそうだ。
 例えば、ストレスが心に影響を与えている、と言われたとする。ストレスが悪影響を与えるんだ、と深く考えずに頷いてしまう患者さんがいる。中には、どんな風に影響を与えるのかメカニズムが分からないけど、世間一般にストレスと心の関係が言われているので、そんなもんなんだと無理矢理そう思い込もうとする患者さんもいる。

 心と言うものに着目し過ぎる患者さんほど、心の問題です、と言われた際に、話を摩り替えられてしまう、と感じてしまい易いようだ。

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 因みに、私は、心は脳の機能の一つと考えている。従って、ストレスが心に影響を与えていると言うのはストレスが脳の機能に影響を与える(誤作動を起こし易くする)、と言う風に理解している。



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2008年2月11日 (月)

カウンセリング・精神療法 知ると言う事は変ると言う事

 知ると言うことは変ると言うこと。何も知らない状態から知っている状態へと変ることである。これは、養老猛さんが朝日新聞のTVCFの中で言っていた文言である。当たり前の事なんだけれど、ついつい見過ごされてしまっている事である。

 今、発達障害のグループを運営しているスタッフ三人を相手にスーパーバイザー的な役割を担っている。当初、三人は素人同然だった。しかし、長い間スーパーバイズしていると変って来るもので、その内の二人が、今の自分は発達障害の何が判っていて何が分からないか、と言う事が分かるようになってきた。自分が何に困っているのか、的確に把握出来るので、困っている事を的確に質問出来る。その為、随分力をつけている。
 あと一人は、何が判っていて何が分からないか、それが分からない。その為、スーパーバイズしていても、困った事はありません、と常に言う。明らかにこの人が困惑していた場面を具体的に示して問題の直面化をしても、困っていません、問題ありません、と返って来る。こんな調子なので、困っている事を質問してくる事はない。本当に大丈夫なのか、念を押す。すると、時間が経てば何とかなるでしょう(慣れれば上手に出来る)、と言う。

 こんなスーパーバイズを通して、知ると言う事は変ると言う事なのだ、とひしひしと感じる。二人は、何が判っていて何が分からないかが分かるのは臨床家としてのセンスが磨かれていくようで快感、と言う。二人は、知ると言う事は自分が望んでいる姿に変る、と言う具合にポジティブにフィードバックしているのだろう。これはこれで楽しみだ。あと一人に関しては、何が判っていて何が分からないかが分かる日まで焦らず待とうと思う。どこかで変革点はあるはずだ。力をつける速度は人それぞれなので、こちらはこちらで楽しみだ。

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【コーチングの本】
メディカル・サポート・コーチング入門―医療者向けコミュニケーション法
対話40例でわかるコーチング・スキル―病棟でよくある日常40場面で,コーチならこう言う
教師のほめ方叱り方コーチング―4コマ漫画付き
カウンセラーのコーチング術
マンガでわかるコーチング・ルール
絵で学ぶコーチング―すぐ使えるコミュニケーション・スキル50
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┏【関連blog 】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
カウンセリング・精神療法 コーチ(Coach)
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2008年2月 8日 (金)

カウンセリング・精神療法 痛いの痛いの飛んでいけ

 子供の頃、怪我をしたり、頭などをぶつけた時に、お母さんとか、保育所の先生に、痛いの痛いの飛んでいけ、、と御呪いをしてもらった経験が、殆どの人があるんぢゃないだろうか。痛いの痛いの飛んでいけ、と言う言葉には不思議な響きがあった。痛みは取れていないんだけど何となく痛みが和らぐ感じがした。

 この、痛いの痛いの飛んでいけ、と言うのは、防衛機制(自分自身の心を様々な方法で守る方法)と呼ばれるものの一つの『分離』と呼ばれるものです。分離と言うのにも色々あるのですが、痛いの痛いの飛んでいけは、正常な適応機能です。普通、分離と言えば、論理的な思考を駆使することで感情や衝動を刺激する場面から距離をおいて、不快から遠ざかる、冷静になろう、と試みるを指す事が多いのですが、痛いの痛いの飛んでいけの場合は、魔術的、迷信的、呪術的な行為によって、距離を取っています。魔術的、迷信的、呪術的な行為だからと言って、異常と言う訳ではありません。案外、社会的な習慣の中や日常生活の中に浸透しています。

 さて、カウンセリングや心理療法の場面でも、痛いの痛いの飛んでいけに似た関わりをする事があります。不快で回避したいような状況から、空間的・時間的な距離をおいてもらう時に用います。その際、論理的な思考は用いますが、魔術的・迷信的・呪術的な行為は用いませんけれど…



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2008年2月 4日 (月)

カウンセリング・精神療法 カウンセリングや心理療法の再開

 医療機関に勤務する私にとって、1人の患者さんに対して長期にわたって週1回程度のカウンセリングや心理療法を行うのは、不可能に近い。受け入れ可能な単位数が大体決まっているし、カウンセリングや心理療法以外の業務もあるので、長期にわたって密に行っていたら、古い患者さんをどんどん抱えてることになって、新しい患者さんや他の業務を受ける事が難しくなっていってしまう。現在、カウンセリングや心理療法は週に25単位程度。その中で遣り繰りしている。患者さんからのカウンセリングや心理療法のニーズは高く、依頼も多いので、開始を待って貰うことも多々ある。

 他の臨床家がどのようなカウンセリングや心理療法をしているのかは知らないが、私は、患者さんが抱えて困っている問題限定のピンポイントで関わる事にしている。そして、その問題の対処が出来た時点で終了にしている。そして、また新しい問題が生じたら気兼ねなく主治医にカウンセリングや心理療法の再開を申し出て下さい、と伝えている。

 そんな訳で、一寸息詰まったら、カウンセリングや心理療法の再開を申し出る患者さんは多い。初回のインターバルは1年か、1年半位が多い。それから、段々、インターバルが広がっていく。それなりに患者さんは逞しくなって戻って来くるので、再開が楽しみだったりする。一寸息詰まったらカウンセリングや心理療法の再開をすれば何とかなる、と思えるのだそうだ。

 カウンセリングや心理療法より、何とかなる、と想う事が出来る患者さんの力の方が絶大。そんな想いがなければ、カウンセリングや心理療法は上手く行かないのだと思う。



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2007年12月11日 (火)

カウンセリング・精神療法 困ったA-Tスプリット

 1人の患者さんに対して、精神科医と心理士が別々に平行して関わる事があります。精神科医が医学的な見地から薬物療法や現実的な指示を出し、身体管理を行なう。心理士が患者さんの心理面をメインに関わる(カウンセリングや心理療法)って具合に理解して頂けると判り易いと思います。こんな感じに、管理と治療を分けると言うことから、こう言った治療構造をA-Tスプリットと呼びます。

 ATスプリットを行っていると、管理と治療の境界を明確にしていきます。その為、精神科医と心理士は、互いの領域を干渉しないと言うことから、カルテ上のやり取りが中心となり、原則的に情報交換をする機会が減ってくる事があります。
 一見すると、精神科医・心理士の双方が頻繁に情報交換を行って、対応を協議しながら治療を進める方が、患者さんの状況が把握し易くなって、治療が順調に進んでいくように見えます。確かにそんな時もありますが、情報交換が密になると、心理士だけに話したつもりが精神科医に筒抜けになってしまったと感じ不信感が生じる等、逆に治療関係が悪化してしまう事もあります。そのような場合、ATスプリットは威力を発揮します。

 色々な精神科医とお付き合いしていると、ATスプリットの用い方が夫々異なる事に気付きます。ATスプリットにを使いこなせる精神科医から、都合よくATスプリットと言う言葉を用いている医者まで様々。時には、似て非なるものも。心理士が集って同士でこんなぼやきも…

 自分以外のスタッフのカルテを読まないのはATスプリットしているから、と適当な事を言う精神科医。思い通りに心理療法を進めようと色々要求した上でそれをATスプリットと呼ぶ精神科医。ATスプリットをしているから、と言う事で患者さんから質問されても、これは心理士に答えを貰って下さい、と言う精神科医。ATスプリットをしているのでそんな話は心理療法で話してください、と患者さんに指示する精神科医。ATスプリットと言っておきながら、心理療法の内容を患者さんに事細かに聞き、心理士にも詳細の記載を要求する精神科医。

 ATスプリットを本当に都合よく使っているよな。

 個人的に困ったのは、ある日突然、こんな風にATスプリットしているとその構造だけで患者さんが良くなっていくね、って言われたこと。ああああ、ATスプリットだったんですか???。唖然としました。だって、管理と治療が交差していたし、根本的に見立てが違っていて、心理療法とか、カウンセリングとかしても役に立たないと思ってしていたつもりがなかったので。

 教訓。これからは最初に確認しておこう。



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2007年12月 2日 (日)

カウンセリング・精神療法 新任の医者の暴走

 余所の病院で培った精神医学の知識や経験があるかもしれないけれど、新しい病院に移ってきたばかりなのに、いきなり患者さんに対して、処方変更したり、入院を勧めたりするのは、どうかと思う。まだ1〜2回の診察をしただけぢゃない。関係が出来ていないから、言われるがままの患者さんも多いよ(そうでなくても、医者に反論出来ない患者さんが多いんだから)。そんなことをしていたら調子を崩して、症状が問題化してしまう。また、それまでの医者が無処方にしていて、それなりに社会適応していた患者さんにわざわざ薬を使う必要があるのか。まだ1〜2回の診察だけで…

 光が強く当たれば、影は濃くなる。急いで結果を出そうと言う姿勢は、自分の力を他の医者に示したいと言うデモンストレーションのように見え、アクティングアウトのように感じてしまう。

 傍から見ているとヒヤヒヤモンだ。



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2007年11月27日 (火)

カウンセリング・精神療法 忙しさと不勉強

 忙しい日が続いている。朝から晩まで部屋に籠って、入れ替わり入ってくる患者さんを待つ。残業をしないと言うモットーもいつの間にやら崩れてしまっている。そして、そんな中でもとりあえず論文をに目を通す時間は確保している。臨床の世界の流れに取り残されると嫌だから…

 或る精神科医は、精神科指定医を取ってから忙しくって専門の勉強はしていない、指定医なんだから経験もあるし必要ない、と気を許して私にこんな発言をしばしばする。聞きたくない話である。その上で、他の精神科医と比べ、自分がどれだけ優れているかを訴えるので、正直言ってうんざりする。

 そんなことを言いながらも、この精神科医は、関わり方が分からない患者さんが初診に来ると、いつも私のところに駆け込んでSOSを出す。私としては、突然来られても困ってしまう。あんた精神科指定医やろ、しっかり勉強してや、忙しいからと言って勉強している精神科医は多いですよ、と言いたいが、口には出さず、こう言う関わり方なんてどうでしょうか、と今時流行りのオーソドックスな関わり方を提案をすると、いそいそと診察室に戻っていく。

 別にこの精神科医だけが不勉強の訳ではない。他にも似た精神科医を多く知っている。もっと酷いのは、精神薬を処方出来ない精神科医がいた。どうしたら良い、他の先生はどんな風に処方する、と聞かれる度に困った。だって、私は医者ではないから…

 忙しくて勉強する時間がないと言うのは単に言い逃れに過ぎない。

 医師免許をとると、更新することなく一生持ち続けられるので、不勉強な医者が沸いてくる。困った問題だ。正直言って、不勉強な医者は避けたい。いやいや医者だけでなく、不勉強な医療従事者は避けたい。



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2007年9月10日 (月)

カウンセリング・精神療法 理解しようと言う気持ちがなければ理解する事って難しい

 聞き手が、(話し手は)おかしな(病的)事を言っている、って事だけを感じ、焦点を当ててしまうと、話の内容より病的なところばかりに気を取られてしまい、話の内容を聞き漏らしてしまう事がある。そして、話の内容を聞き漏らすと、おかしな事を言うので理解出来ない、と言う合理化がなされる事が多い。

 理解しようと言う気持ちがなければ、理解する事って難しい。逆に、理解しようと言う気持ちがあれば、少々パニックを起こしていようが、少々滅裂であろうが、何となく理解出来るものだ。



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2007年8月18日 (土)

何とかしたい気持ちと関わり方

 どんどん欠点・問題を指摘すれば指摘された人が自力で直すので、障害や病気が治る。

 勤務先にこんな風に心底信じ、臨床の場で実践している専門家と名乗っている人がいる。欠点・問題を指摘するだけして後は自力で何とかして下さい、と言うのは、治療ではない。

 指摘される側にしてみれば、どえらい迷惑行為。援助を求めに来ているのにネガティブなフィードバックの嵐に晒され、後は自力で何とかして下さいだなんて…。これは耐え難いストレス。しかし、こんな関わりはご免だと思いながらも、(行くところがここしかない等の離れられないと言う理由で)我慢している人も多い。時に暴力事件に発展する(何だか医源性の暴力行為のようにも感じる)。

 一方、指摘する側は、(周囲がポジティブな関わりをして欠点・問題を直接的に)誰も言わないので嫌われる事を承知で敢えて言っている、ここで(直ぐにでも)直さなければ社会生活に支障を来たす、と言う。しかし、指摘して嫌われる事には敏感で、ここまで考えてやっているのにその態度は…って感じで不機嫌になったりする。時に心理的な圧力をかける(殆ど心理的な虐待)。また、直すには如何したらいいのか、と聞かれると、そんなものは自力で考えて下さい、と返す。どんどん欠点・問題を指摘すれば指摘された人が自力で直すので障害や病気が治る、と信じている割にその先を如何したらいいのかと言うノーハウは無い。

 勿論、目に余る程の問題行為なので周囲は問題視する。注意する人もいるが不発。反って、敵意を抱かせてしまう。そんな様子をみていて、時に、同じようにどんどん欠点・問題を指摘する人も現れる。この人の理論では、欠点・問題を指摘すれば指摘された人が自力で直すので問題が解決する事になるが、当の本人は態度をどんどん硬化させていく。ネガティブなフィードバックを沢山行なえば、誰だってそんな反応になるから、当然。おろそろ自分がされて嫌な対応は誰だって嫌、と気付いてもらいたい。ただ、そこまでの洞察を求めるのは無理かもしれない。

post script�
 この人の何とかしたいと言う気持ちは分かるけど…。安全性と言うものは必要だよな。

post script�
 もしやこの人は全ての患者さんが、医療を受ける=障害や病気が治したい、とでも思っているのか。医療には、治すと癒すがあり、治らない障害と言うものがあって、そんな場合、患者さんは、医療を受ける=癒しを求める、と言う場合も有るのに…。



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2007年7月30日 (月)

カウンセリング・精神療法 シナプスの可塑性による脳機能の再構成

 シナプスに可塑性と言う特質があるため、学習・思考する事によって脳の機能の再構成が起こる事が知られている。つまり、学習・思考する事で脳の中に一定の回路が出来上がるのだ。そして、回路を使えば使うほど、強い回路へと変わって行く。そして、一旦強い回路が出来上がってしまうと、学習内容や思考内容は変え難くなっていってしまう。逆に、使わなければどんどん萎えていってしまう。脳の機能の再構成が起こるきっかけは、じわじわと言うものから、一回きりの衝撃的な出来事で急に、と言うものまで様々。刺激価によって変ると言う印象を持つ。

 良い方向に脳の機能の再構成が起こればいいが、精神科領域にやってくるのは悪い方向に再構成が起こったケース。代表的なのはうつ。関わった事が有る人ならご存知だと思うが、独特な思考(認知の歪み)がすっかり出来上がってしまっている。

 尚、カウンセリング・精神療法だけの治療の場合、認知療法や認知行動療法が用いられる事が多い。効果の程は個人差がありますが、有効な手段であるように思います。



【認知療法のノウハウを盛り込んだ漫画】
ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
ブッタとシッタカブッタ〈2〉そのまんまでいいよ
ブッタとシッタカブッタ〈3〉なぁんでもないよ

2007年7月16日 (月)

カウンセリング・精神療法 パフォーマンスキラー

 治療的な関わりをしているつもりで、実は相手の意欲を削ぎ、自信を低下させ、信頼関係をぶち壊すような関わりを、パフォーマンスキラーって呼びます。治療者側が全く気付かずにしている事が多いので、治療関係に大きなひびが入ってしまいます。

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パフォーマンスキラーは大きく分けると3種類あります。

�治療者が評価を下す
 全く根拠の無い評価を下す事。
 患者さんの言動に対して、逐一やり方を批評する事。
 専門家である事を前面に出し、見下した言い方をする事。
 勝手に患者さんを分類して、レッテルを貼ってしまう事。
 
�治療者自身が問題解決してしまう
 患者さんの問題解決を支援せず、安易なアドバイスをする事。
 起こってもいない問題に対して、一緒になって対処法を考える事。
 患者さんの状況を配慮せず一方的に説教し、逃げ道を奪う。
 治療者の権威や力を前面に出し、患者さんを従わせようとする事。
 従わないと…、って感じで脅して、患者さんを従わせる事。

�治療者の逃避
 患者さんの訴えをすり替えてしまう事。
 患者さんの同じような訴えを軽視する事。
 理論武装して、相手を言い包めてしまう事。
 無理やり患者さんに安心感を植え付け、気持ちを扱わない事。

※但し、治療上必要な場合には、敢えて用いるものもあります。
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メディカル・サポート・コーチング入門―医療者向けコミュニケーション法
対話40例でわかるコーチング・スキル―病棟でよくある日常40場面で,コーチならこう言う
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2007年7月13日 (金)

カウンセリング・精神療法 メラビアンの法則

 1971年にアメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンがコミュニケーション場面で何が気持ちの伝わるのに大きな役割を果たすか調査しました。その結果は以下の通りになりました。

 話の内容…7%
 声のトーン…38%
 表情・視線…55%

 意外と感じるかもしれませんが、話の内容では気持ちと言うものはそれ程通じません。表情や声のトーンが大きな力を持ちます。これをメラビアンの法則と呼びます。

 目は口ほどにモノを言う、と言う諺に示されるように、これらは治療者側の心の中が反映されてしまう事が多々あるので、カウンセリング・精神療法場面では、表情、声のトーン、視線等に特に注意しています。立派な話をするより、より表情や声のトーンを工夫した方が気持ちと言うのは伝わるのです。

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2007年7月 4日 (水)

カウンセリング・精神療法 以心伝心を過信するな

 以心伝心。自分の想いを言葉で伝えなくてもいとも簡単に相手に伝わってきそうで、なんか魅力的な響きのある言葉。でも、実際のところ、自分の想いをしっかり言葉で伝えないと、相手に分かって貰えない。

 突然、或る患者さんがスタッフと揉めた。事情を聞こうにも聞く耳を持ってもらえない。攻撃の対象となっているスタッフは何が何だか判らない。
 スタッフからのSOSで、駆けつけ、患者さんの訴えを聞いたら、当然して貰えると思っていた事をして貰えなかった、自分の予定が大きく狂った、と言うものだった。口でしっかり伝えた???、と聞くと、伝えていないと言う。して欲しい事はしっかり口で伝えないと伝わらない、と言うと、日本では昔から以心伝心と言う言葉がある、と言う。なるほど、と思った。

 色々話しながら、大切な事ははっきり言葉で相手に伝えることを確認した。

 実は、以心伝心に纏わる揉め事って多い。治療者は患者の事は何でも判る、と言った具合で思い込んでいることが多い。しかし、当然の事ながら分かるはずなどない。それでも思い込んでいる人がいるので、念のために初回面接の時、大切な事ははっきり言葉で伝えることを確認している。

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2007年6月29日 (金)

カウンセリング・精神療法 たかが20分、されど20分

 某病院の先生は、昔から関わってもらっていて子どもの発達面の障害の事を知ってくれている。だから、安心して診て貰える。先生が病院を移った時も先生についていった。でも、子どもが成長して、話を聞いて欲しい、と望む様になった今、先生の診察時間が20分しか取れない事が不満でイライラする。だから、思い切って医療機関を変えよう、って決心してきました。

 ここだったら満足いくまでカウンセリングで話を聞いてもらえると噂に聞きやってきた、と言う家族は変わってきた理由をこんな風に語った。

 話を聞いて欲しい、と言う気持ちは、多くの患者さんに共通する想いなので、理解出来る。一方で、この先生は良い先生、と評判の先生で、患者さんが殺到すにも関わらず20分の時間を割いている。もっと丁寧に話を聞かなければならないが時間が無い、と先生の声だ聞こえてきそうだ。恐らく先生なりに配慮して20分も聞いてくれているのだろう。

 たかが20分、されど20分。そこには治療者と患者の色々な想いが詰まっていた。



【発達障害理解に役立つ本】
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド←当事者・家族・知識の乏しい専門家の皆さんに好評です。
日本版WAIS‐Rの理論と臨床―実践的利用のための詳しい解説←心理臨床家向きの本
軽度発達障害児のためのSST事例集
発達障害の心理臨床―子どもと家族を支える療育支援と心理臨床的援助
友達ができにくい子どもたち―社会性の発達と援助法
発達障害児者の問題行動―その理解と対応マニュアル
アスペルガー症候群と学習障害―ここまでわかった子どもの心と脳
のび太・ジャイアン症候群4 ADHDとアスペルガー症候群―この誤解多き子どもたちをどう救うか
アスペルガー症候群と高機能自閉症青年期の社会性のために―よりよいソーシャルスキルが身につく
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド

2007年6月22日 (金)

カウンセリング・精神療法 管理職は大嫌い

 臨床と言うのは、やっていると楽しい、と思っている人は多いと思う。技量が上がっている時は尚更。但し、大規模な医療機関などの組織になってくると、どんどん技量が上がって臨床家として脂が乗り、臨床が面白くなってきたところで色々な役職が付いてくる。


 先日、精神科医がおしゃべりにやってきた。その場で、こんな愚痴が溢された。

 年度が替わって役職が増え、会議ばかり。診察の時間が減って、面白くなってきた臨床が思うように出来なくなってかなり苦痛。出来るなら、こんなに会議の多いところは辞めたい。真剣に開業を考えてしまう。


 医者に限らず、こんな想いをする臨床家は多い。臨床もしたいが管理職として経営の事も考えなくてはいけない、と言う想いがあり、悩む。この心境、痛いほど分かる。


 小一時間ほど雑談をして、気持ちが整理出来たのか、精神療法をしてもらって…、と言い残し、病棟に呼び出されていった。

 溜まったストレスを小出しに出来たのだと思う。ストレスは溜め込まず、吐き出せそうな相手を見つけて吐き出す。こう言うストレス対処法って大切なんだと改めて思った。



【息詰まった時にどうぞ】
ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
ブッタとシッタカブッタ〈2〉そのまんまでいいよ
ブッタとシッタカブッタ〈3〉なぁんでもないよ

2007年6月21日 (木)

カウンセリング・精神療法 コーチ(Coach)

 コーチ(コーチング)、それを簡単に言うなら、認めて、引き出し、応援する、と言う事。もともとコーチは「馬車」と言う意味。そこから、大切な人をその人が望む所まで送ると言う意味へと移っていったのだそうです。

 (能力があるのに)自分は出来ない・ダメ、と言った具合に、患者さん自身が自分の能力の芽を摘み取っている場合に、用いるやり方です。如何やったらより円滑に行動出来るか、感情のコントロールがより出来るようになるか、環境を整え、患者さんに本来持っている自分の能力を再確認して頂くだけの事なのですが…。効果の出る人・出ない人の見極めやフィードバックの間隔など、計画とタイミングが大切となるので、安全性を考えると医療現場で用いる場合、一定の経験が必要になってくると思います。

 興味のある方は、医療機関で、精神科医や臨床心理士にコーチ(コーチング)を希望しているけれど対応が出来そうですか、性格・特性から判断したら効果は期待出来そうですか、と尋ねてみるのもいいかもしれません。

2007年6月18日 (月)

カウンセリング・精神療法 回想法

 回想法と言う技法がある。これは、過去を振り返りつつも、今ここに精一杯生きる事を目的としたものです。過去の自分を見つめる事によって過去の出来事に執着するのでなく、思い出に対して静観し人生に対してきちんと向き合うことを目指しています。

 時々過去を整理して納得しないとこの先の人生を歩めない。カウンセリングや精神療法で過去に折り合いをつける為に過去だけを扱って欲しい、と言う人がいる。イメージとしては、幼児体験・母子関係なんかを映画みたいに精神分析で扱って治して欲しいと言う。私は分析の信奉者ではないので出来ません、とお断りをします。

 そんな時用いるのが、回想法。何度も繰り返し、過去を見つめて行く内に、やがて過去が整理され、現在と未来に対してきちんと向き合えるように方向付けていきます。

 回想法と言うと、高齢者ってイメージを持つ人が多くいます。高齢者のセラピーで用いる事があるので、当然の成り行きです。しかし、ターミナルの患者さん、人生にちょっと疲れた人、人生の分岐点にさしかかった人にとても有効である事が知られています。

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【回想法】
回想法とライフレヴュー―その理論と技法
回想療法の理論と実際―病院で実施する“治療と予防”の心療回想法
回想法の実際―ライフレヴューによる人生の再発見
記憶と精神療法―内観療法と回想法
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2007年6月12日 (火)

カウンセリング・精神療法 now and hereの原則

 子どもの保護者会があった。その時、先生がうちの子供にこんな事を言った、言わないで、保護者と教師の間で揉めた。出来事は3ヶ月位前のことらしい。まぁ、通常、そんな時の事は覚えている人の方が少ない。

 保護者は、子どもが言った、と言う。教師は、多分言ってない、と言う。すると、保護者は、うちの子供が嘘をついているんか、とものすごい剣幕で怒り出し、収拾が付かなくなった。最終的には、夫婦で学校に押しかけ騒いでいだらしい。ここまでこの夫婦は望んでいたのでしょうかね。
 まぁ、事実の真実はともかく、こんなに常軌を逸脱して怒る姿を見ると、子どもが嘘をつきたくなる気が判らなくもなかった。こんな滅茶苦茶な怒り方をされたら、私だったら都合の悪い事実は嘘でも言って誤魔化したい。

 さて、(問題が起こっている時)その時その場で文句を言わず溜め込み、溜まったところで過ぎ去った昔のことを持ち出して爆発する患者さんと言うのは比較的多い。過ぎ去った昔のことを持ち出して、チマチマ文句を言うのも良いが、結局は水掛け論で終わってしまう。言うんだったら、問題が起きている時に言わないと更に不快な気分になるだけ。その時その場で言わなかったら後出しをするな。相手の立場を考えやんわり伝える(出来ればお願いの形で気持ちを添える)。社会スキルとしてこんな事等を学んでもらう。

 これを、now and hereの原則と言うのだが、従えるようになると効果の程は覿面。自分の伝えたい事が伝わり易くなる。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える
RESOLVE 自分を変える最新心理テクニック―神経言語プログラミングの新たな展開
子どもと若者のための認知行動療法ワークブック―上手に考え、気分はスッキリ
やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

2007年6月 5日 (火)

カウンセリング・精神療法 根回しの無い方針

 スクールカウンセラーをなさっている方の困ったと言う話を伺った。精神科疾患を患っている学生の話だった。話は以下の感じ。

 精神科医ではない主治医は、医療と学校側との間に何等の合意もないままに、学校に自分の方針を押し付けている。学校は学校で何となく主治医の勢いに流されて、出来ない事まで応え様とした。所詮、出来ない事をするのは無理なもので、当然、学校側の専門家に気持ちに揺れが起こってしまった。

 問題にばかり目が言ってしまって、治療構造が無視されている。一人で関わっている訳ではないので、関わる側の事情も掴んでおかないとまずい。これでは、方針は立っていても機能しないのだ。異なる領域の専門家が関わる時は、いつも以上にカンファレンスを持つ事が大切だと思うのですが…。


 さて、こんな話を伺っていていたら、似たようなケースが多いことに気付きました。家族や関係者の同意の無いまま、若しくは何も伝える事なく方針を打ち出し、家族(関係者)が方針に協力しない、と治療者が怒るケース。うっかり忘れていたとか、(こんな事が大切だったなんて)さっぱり知らなかった、と言うケースまで様々。トラブルになる事も多いので、自分が関わるケースに関しては、方針のスリ合せを怠らないように心掛けています。その際、出来る事と出来ない事の確認とか、役割分担もします。そして、とりあえず、内容をカルテに記載。何かあった時、効力を発揮しますので…。

 その甲斐あって、先生の方からも方針の確認に来て下さる事も多くなりました。ありがたい事です。



【役に立つ本】
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2007年6月 4日 (月)

カウンセリング・精神療法 多くのスタッフの中に紛れる問題スタッフ

 自慢出来ないけれど、私も集団精神療法に携わっていた頃、専門領域の勉強をして来なかった。代わりに自分の好きな事を追求したので、魚釣りを極めた。治療の現場では、勉強している治療スタッフにおんぶに抱っこをして貰っていて、足を引っ張っていた。患者さんへの関わりも酷かった、と思う。周りがフォローしてくれていたように思う。多くのスタッフの中に紛れ、問題が浮き彫りにならなかっただけの事だった。

 その後、個人精神療法に携わるようになって、行動を改めないといけないと強く感じるようになった。自分の言動による患者さんの反応がダイレクトに届く。専門領域の勉強をして技量を高めていかないと、誰もフォローをしてくれなかった。対応を誤って、痛い目に遭う事も日常茶飯事。これ以上恥をかきたくないと思い、専門領域の勉強に勤しんだ。あれから年月は流れ、少しはマシになったと思う。患者さんの反応がダイレクトに届き、自分が少し変われてよかったと思う。

 或るトラブルメーカーの医療従事者は、今も多くのスタッフの中に紛れているので、患者さんからの反応がダイレクトに届かないまま。これまでに様々な問題を起こし、周囲がフォローしている。注意を受けているものの行動が改まらず、周囲のフォローは限界に達し、専門職から外そうと人事課が動いている。本人はそうとも知らずにトラブルを起こし続けている。

 そんなこの人を見て、遠い昔の自分を見ているような気がしてならない。何とか専門を外されないように頑張って欲しい、と思い、フォローしている。



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2007年6月 2日 (土)

カウンセリング・精神療法 気持ちの揺れ

 何だかかもやもやした気持ちが内に篭る、対応に困る、感情的になってしまう。患者さんとの関わりの中でそんな風に気持ちが揺れる時がある。別に特別な事ではなく、日常こうしたことってよく起こると思う。そんな時、自分一人で何とかしようと思って思いつきや慣れない動きをするのは、得策ぢゃない。また、他罰的な反応を示したり、相談をするのは無意味だって思ったりするのも良くない。後から埋め合わせをしなくてはいけなくなることを経験的に知っている。

 私自身、こんな時、なるべく関係者と相談するように努めている。関係者の持っている考えや自分からは死角になっている患者さん情報を知る機会となり、情報を整理していく事が出来、対応が見えてくることがある。こう言う事の積み重ねが、経験に繋がるのだろう。知識の詰め込みだけでは、知識を運用する為の知識がない限り適切な用いられ方は見込めない。知識の詰め込みで得られた知識だけだと、知識があることで反って判断の誤りを誘発する危険があるような気がする。



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2007年5月30日 (水)

カウンセリング・精神療法 最後のチャンスに子どもが欲しい

 昔と比べ、日本の社会も戦後から急激に随分変わって来ました。特に女性の場合は顕著です。高学歴化が進み、職に就く女性が増えました。出産の回数も戦前の時代に比べて随分減りました。そんな訳で、何歳辺りで子どもを産もうか、どのように産もうか、何人産もうか、と悩む事も多いようです。勿論、子どもを産むのを止め様と言う選択をする人もいます。そんなに簡単に出せそうな結論ではないので、ズルズル考える人もいれば、エイヤァと勢いで決めてしまう人もいます。


 最近、子どもを産む最後のチャンスなんだけど如何しよう、と立て続けに数件相談を受けました。何れも内容は大体こんな感じ。

 夫はいらないと言うので、結論を先送りしていたらもうこんな歳。あああああ、如何しよう。子どもがいないと友達の会話に入れない。(平均的に寿命を全うしたとして夫の方が早く死ぬので)老後一人ぼっちと言うのは淋しい。今から作っても子どもが成人する前に定年になってしまう。リスクも高い。それに仕事もしたいし…、如何しよう。


 あれこれ考えると、なかなか結論が出ない。こちらが結論を代わりに出す訳にもいかないので、紙に問題点を列挙し、整理する作業を一緒にします。すると、殆どのケースで夫婦間で互いに納得出来る話し合いが出来ていない事が分かってきます。

 少しでも子どもを欲しいと思うのなら、私は相談者に納得出来るように夫と話し合う事を勧めます。しかし、どうにもこうにも夫に切り出せない。

 話を切り出しても家族計画にゴーサインが出ないかもしれない。でも、切り出さなくてはゴーサインは出ないなんて思う私です。



【認知療法を紹介するマンガ】
ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
ブッタとシッタカブッタ〈2〉そのまんまでいいよ
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2007年5月29日 (火)

カウンセリング・精神療法 臨床心理士がするのは、心理療法か、心理面接か

 臨床心理士がする面接行為を、心理療法と呼ぶか、心理面接と呼ぶか???。一部の心理の専門家は、この違いを一生懸命論じるだろう。職業アイデンティティ意識に乏しい私にしてみたら、どうでも良い話で、こんな事に拘るのは馬鹿げている、とさえ思っている。そんな呼び方に纏わる話を紹介してみたいと思います。

 職場の同職種間の会議で、臨床心理士がする面接行為を精神科医がカウンセリングと一括りにして言うので、認知行動療法や芸術療法をしていてもカウンセリングだと思っている患者さんがいる。混乱している患者さんも多いので、何をするのかをはっきり患者さんに伝えた方が良いのでは…、と提案をした。私は、カウンセリングと心理療法って感じで大まかに分けたら良いんぢゃないかなぁ、と言った時、一寸まった、と言わんばかりに、そもそも療法と付く行為をするのは医者の行為になるので、心理療法とするのは臨床心理士として具合が悪いんぢゃないか。臨床心理士会が定める臨床心理士の仕事内容の中では、心理療法ではなく心理面接って書いてあるので、心理療法では具合が悪い、って意見が出た。まぁ、興味のない話だったし、争う気は無かったので、満足の行くようにどうぞ、と返した。

 実の所、呼び方にこんな違いがあるとは思ってもみなかった。最初は驚き。続いて、それにしてもどうでも良いような事にエネルギーを割く位なら技量を磨けばいいのに…、と思った。呼び方を変えるだけで治療効果が見違える程上がれば喜んで変えるのですが、何か医師の向こうを張っているだけでナンセンスのような気がしてならなかった。



【関連blog】
臨床心理士になりたい人へ(学歴編)



【この分野に興味のある方へ】
臨床心理士になるために
心理援助の専門職になるために―臨床心理士・カウンセラー・PSWを目指す人の基本テキスト
臨床心理士に出会うには
「臨床心理士」をめざすあなたへ―高校生からの臨床心理学

カウンセリング・精神療法 恐るべし、天才バカボンの歌

 西から上ったお日様が、東へ沈〜む。

 バカボンの歌にこんなフレーズがある。時々、知的能力・判断力を調べる時などに、太陽はどちらの方角から上りますか、と質問をする事がある。すると、5回に1回程度で、西、と言う答えが躊躇わずに返ってくる。そして確認の為に用いられるのがこの歌である。

 バカボンの歌の影響力って大きいんだ…。

 それにしても、老若男女問わず、この歌を知っている。恐るべし、天才バカボンの歌。日本人の中に文化として根付いてしまっているんだろうね。最近、朝日が昇るのを観たことのない人も多いし、太陽はどちらの方角から上りますか、と聞かれて分からないのは仕方がないのかもしれません。



【認知療法を紹介するマンガ】
ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
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2007年5月16日 (水)

カウンセリング・精神療法 セッションとセッションの間

 一つのセッションが終わり、患者さんを扉まで送る。完全に退室し、扉が締まっている事を確認して、一気に緊張を緩める。少しだけだらっとする。リラックスしていると言った方が聞こえが良いかもしれない。時間にして10秒程度。この間は結構無防備に近い。しかし、気持ちを切り替えるにはこの間が私には必要。これをすると、気持ちが切り替わる感じがするんだよね。

 こんな調子で気持ちを完全に切り替えている。それから、お茶を一口飲んで、また気合いを入れ、次の患者さんを部屋に迎え入れ、次のセッションを始める。



【役に立つ本】
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2007年5月11日 (金)

カウンセリング・精神療法 先回りと低い自己評価

 ○○になったら如何しよう???、と起こってもいない問題のついて悩む事は誰にでもあることである。不快な感情は取り去れなければならない、と言う想いが、不快感情を強くしている。ただ何も起こっていない問題なので、対処法等はあってないようなものだ。経験的には、起こってもいない問題の解決法が見出せても、新たな問題が生じて悩んでしまい、結局抜け出せないと言う人の方が圧倒的に多いような気がする。

 こんな風に起こってもいない問題を先回りして問題を起こさないように先回りして対処し、効を奏したとする。すると、それ以後も、自分は先回りして問題を回避しないと対処出来ない駄目な人間と言う自己評価の低い自己像が形成される。もしかしたら、そんな先回りをしなくても十分に対処出来たかもしれないのに…。
反対に、先回りして問題を起こさないように対処したのに上手く対処出来なかったとする。ここまでやっても自分は駄目な人間だ、と言う自己評価の低い自己像が形成される。
上手くいってもいかなくても、起こってもいない問題を先回りして問題を起こさないように先回りして対処すると言う対処法は、自己評価を下げて自信を喪失するお手伝いをする。

 そんな訳で、問題が実際に起こってから一緒に対処していきましょう、と対応する専門家が多い。私もそんな考え方をする一人である。



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2007年5月 8日 (火)

カウンセリング・精神療法 男でも女でもありません

 よく状況を知らない人が、こんな事を言います。
 カウンセリングや精神療法を行っている職業の人って、羨ましいです。相談にくる異性にモテるんでしょうね。

 そんな風に言われると、決まってこんな風に答えます。
 いやぁ、そんな事はありません。だって、カウンセリングや精神療法をする専門家って、患者さんからすると男でも女でもないんです。先生って捉えられているので、異性ぢゃないんです。だから、モテません。

 時には、こちらの治療的な関りに恋愛感情を擁く人もいるので、火に油を注ぐような言動は細心の注意を払って接していますが…



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追補 精神科診断面接のコツ
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2007年4月29日 (日)

カウンセリング・精神療法 患者の満足度

 欧米諸国では、医療に対する患者の満足度は医療の質の指標である、と言う考えが主流となってきている。日本でも徐々に浸透してきた感じがする。

 日本では、医療に対する満足度は治療者と患者で大きな差がない。しかし、治療の選択に於いて治療者と患者とでは、大きな差が生じている。多くの治療者は治療の選択に患者の意見や希望を治療に反映させていると感じており、患者は治療の選択に意見や希望が治療に反映されていないと感じている。ここがすっきりしないと、治療者と患者の間にしこりが残ることがある。

 そのため、患者の意見や希望を治療に反映させるために如何したいのか問う。そして、反映させた場合の見通しを説明する。更に、こちらの出来る事と出来ない事を提示する。

 患者の意見や希望が、自分自身の技量で扱えるか、(カウンセリング・精神療法に多大な期待を持つ人がいるので)医療の常識の中で適切なものか等を検討し、なるべく反映するように心掛けている。しかし、添えない時もある。正直に伝え、患者と一緒に、如何していこうか、と考える。

 色々な治療者がいるだろうが、私はこんな感じ。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
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2007年4月 8日 (日)

カウンセリング・精神療法 言葉を扱うお仕事

 今までそのやり方で失敗し続けて来たのに、これからもそのやり方で失敗し続けるつもり???

 ある治療者は、こんな言い方がお好き。意識してか、しなくてか、治療的・教育的と称して面前で患者さんにこの言葉を遣う。以前、気になって、そう言い方って傍から聞いていて毒々しいですよ、そう言う言い方をされるのは、私は嫌かも…、と指摘したことがある。その時、こうした方が相手は気付き易い、認知療法のオリジナル・バージョン(ホンマかいな???)、と返って来た。

 そうなんですか、と突付き過ぎて生じる泥沼化を避ける発言をしたが、内心は、そんな風に言われたくない、とその時思ったのを覚えている。同じようなことを内心感じていた人もいた。精神科領域って特に言葉を大切にするはずなのに大丈夫???(やばいよ)、って心配していた。

 言い方ってある。痛いほど相手は分かっているのに態々ダイレクトに返す必要はあるのだろうか???。確かに言っている内容には限りなく的を得ている。しかし、失敗した本人が一番痛感しているんだろうし…、敢えてそんな風に言って欲しくないかもしれない。
 それに、違う遣り方を考えようよ、ってメッセージだと思う(思いたい)けど、相手にそのメッセージが伝わらずに嫌なことを言う人、って認識され、話がそこでブロックされてしまって、伝えたい事が伝わらないかもしれない。

 関わり方って色々ある。言い方一つで、相手の受け止め方が変わる。少なくとも私はそんな風に思うけれど…。



【認知療法を紹介するマンガ】
ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
ブッタとシッタカブッタ〈2〉そのまんまでいいよ
ブッタとシッタカブッタ〈3〉なぁんでもないよ

2007年4月 7日 (土)

カウンセリング・精神療法 挨拶が出来ない医学生と新人医師

 医師には辛うじて挨拶出来るが、それ以外の職種の人には挨拶されても全く挨拶が出来ない医学生と新人医師と言うのは案外いる。更に、最悪なのは、挨拶をすると睨み返す人や視線を逸らす人たち。自分の行いを周囲が如何思っているのか分からないのでしょうか。

別に彼等・彼女等に挨拶を要求する訳ではありませんが、物凄く感じが悪いと言うことで、話題になります。将来、精神科医になろうとする先生にあれだけ基本的な社会スキルが抜けているとなるとかなり重症・不適格、なんて声も囁かれます。

まぁ、数ヶ月もすれば周りの冷たい反応に多くの医学生と新人医師は気付きますけれど…。それでも、気付かない鈍感な人もいる。その時は、周囲は病人扱い。自分の病気を治すために精神科領域を志した???、なんて具合。でも、最近では医師に限らずそう言う人は案外多くいらっしゃいますので、ジョークにはならないんですが…。

 さて、挨拶と言う話をしたかったのですが、挨拶、って大切です。たかが挨拶、されど挨拶、侮ること莫れ。そんな風に思います。

 治療者が、一寸した挨拶がなかったから、と言って調子を崩す人っています。以前、いつもは、また次の診察日にね、と言っている精神科医が、たまたまそれを言い忘れた。すると、もう来なくって良いんだ、とか、嫌われた、とか判断して通院中断したなんて事も。また、挨拶したのにしてもらえなかった、とイライラして根に持つ人もいます。挨拶って、大切です。

 そうそう一般の人の中にも、挨拶したのにあの人はしてくれなかった、と言って対人関係に不信感を抱く人もいます。挨拶って言うのは、相手に挨拶をしてもらうためにするものではありません。相手に挨拶を要求するとイライラしてしまいます。相手が挨拶をしないのはその人の社会性の問題、と割り切って、スルーしてしまうのがいいかもしれません。



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2007年3月24日 (土)

カウンセリング・精神療法 この先、如何したら良いの

 数ヶ月前に、幼少期に発達障害と診断された人が、私の噂を聞きつけて心理面接目的で、受診に来た。そして、精神科医が診断家確定のために検査をオーダーしたので、その時にお会いした。

 訴えは掻い摘むと、
 「最近良くなっていると思うけど、幼少期に発達障害だと診断された。この先如何したら良いのか分からない。段々おかしくなっちゃうの???」
 と言う感じだった。

 「正常とか異常とかの間には明確な仕切りと言うものはないんですよ。あなたは、社会生活に支障を来たしていないし、友達もいる。問題対処能力も高いし、発達に問題はあると思うけれど大丈夫。最近良くなっていると感じてるんでしょ。もしも乗り越えられない問題が起こってパニックにでもなったら、直ぐに相談においで。その時、始めたら良いと思うよ」
 と先の見通しを伝えた。
 
 この人はこの言葉を信じ、心理面接の希望を取り下げた。

 先日、手紙が届いた。
 『先の見通しがもてるようになって、安心して過ごしています。目先の不安に捉われ過ぎると全体が見えなくなりますね。まさかの時はよろしくお願いします』

 この先ずっとずっとまさかの時なんて訪れないだろう。だって、先の見通しが持てているし、何よりも対処能力が高いんだモノ…



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ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
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2007年3月19日 (月)

カウンセリング・精神療法 そもそもカウンセリングと言うのは…

 或る方から、診察時にこんな誉め言葉を頂いた。

 こいつは今までの医者より遥かに理解してくれる。カウンセリングの内容は普通。続けてやっても良い。

 診察とカウンセリングを混同している。それに私は医者ぢゃない。カウンセリングを本格的に始めた訳でなく、まだインテークの段階。既往歴などを時間をかけて聴き終えただけ。どこをどう勘違いしたのかは知らないが、こんな風に評価してくれている。

 自閉症スペクトラムである事を念頭に置いたインテークが良かったかもしれない。話を聴いている内に、症状の予測がつきしんどいところをより沢山聴き出せるところが良かったかもしれない。そんな風に思った。

 しかし、それは違った。

 自分で障害を何とかしたいと思った時に来て下さい。カウンセリングと言うのは、しんどい問題を取り去るのではなく、それを背負って如何付き合うのか考える場です。ご家族がカウンセリングを強く望んでも本人にその気持ちがなかったら如何にもならない。そんな状態では上手くいかないし、カウンセリングは効果がないと学習しかねないので反って悪影響。ご家族に嫌だと本心が言えないのであれば、私が代わりにお話をします。

 治療をしたくない気持ちを理解したのが良かったようだ。この人にとってここが大切だった様だ。

 今までは家族の意向を汲みながら、医療機関を転々とし、嫌々続けていたらしい。今は腰を据え、自分の意思で治療を継続しているのだそうだ。

 続いている。



【発達障害理解に役立つ本】
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド←当事者・家族・知識の乏しい専門家の皆さんに好評です。
日本版WAIS‐Rの理論と臨床―実践的利用のための詳しい解説←心理臨床家向きの本
軽度発達障害児のためのSST事例集
発達障害の心理臨床―子どもと家族を支える療育支援と心理臨床的援助
友達ができにくい子どもたち―社会性の発達と援助法
発達障害児者の問題行動―その理解と対応マニュアル
アスペルガー症候群と学習障害―ここまでわかった子どもの心と脳
のび太・ジャイアン症候群4 ADHDとアスペルガー症候群―この誤解多き子どもたちをどう救うか
アスペルガー症候群と高機能自閉症青年期の社会性のために―よりよいソーシャルスキルが身につく
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド

2007年3月16日 (金)

カウンセリング・精神療法 診察に立ち会う

 もう幾年月が経っただろうか。最後に経験豊富な臨床家のカウンセリングや精神療法に立ち会ってから。もう20年以上は経っているのではないだろうか。

 先日終了した患者さんは、有名な先生に受けたカウンセリングと同じスタイルだったと主治医に話していたそうだ。ちょっとほっとした。自慢ぢゃないけれど、立ち会うことなんて本当になかったので、私以外の経験豊富な人達がどんなカウンセリングや精神療法をしているか知らないのだ。経験の浅い人のはお目にかかる機会が多いのがけれど…。 

 先日、患者さんに人気の精神科医の診察に患者さんの希望で同席させて頂いた。自分以外の人の遣り取りを見るのも悪くないなぁ。いい面も、悪い面も勉強になることだし…。新鮮さを感じた。ただ、実際そんな時間は皆無である。

 最近、自分より経験豊富な臨床家からのフィードバックを欲する自分に気付く。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える
RESOLVE 自分を変える最新心理テクニック―神経言語プログラミングの新たな展開
子どもと若者のための認知行動療法ワークブック―上手に考え、気分はスッキリ
やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

2007年3月 7日 (水)

カウンセリング・精神療法 マジック・フレーズ

 diag.は人格障害。少なくとも3ヶ所の医療機関でそのように診断されている人がいる。本人・家族には、人格障害と告知したようだが、人格障害によるうつ状態と言うことで説明しているようだった。だから、受け止め方はうつ。しかし、今の主治医も私も、発達障害と診ている。本人もうっすらと気付き始めている。本人が告知を望んでいる訳ではないので、混乱を避けるためにも、うつと言う事で関わっている。主治医と私は、明らかに気持ちの整理が進んでいる、と評価している。

 そんな状況下、1年以上治療を受けているのに状態が良くなっていない、と家族が主治医に噛み付いた。実は、良くなった、と喜んでいた時もあったが、現在は、家庭では今一つのようだ。家族は本人に1年以上治療を受けているのに仕事にいけない、ひきこもってばかり、と責める。挙句に、家族のありがたくないお言葉で、大パニック。最近、特に増えて来たようだ。本人の話からは、家族が治療を受けさえすれば治ると信じているフシがある。

 本人は障害を背負ってどんな風に生活をしていこうかと考えている。それとは裏腹に、治るものだ、と考えて焦る家族。症状がとれないことが気になって、痺れを切らしている感じ。逆効果。

 一度家族を呼び、こちらの意見を聞いてもらいスムーズに治療を進め易くする為のマジック・フレーズを用いる必要なのかもしれません。



【染色体異常の理解を促進させる本】
染色体異常の基礎と臨床―イラスト解説 WHO分類:造血・リンパ組織の腫瘍
新 染色体異常アトラス
臨床染色体診断法
化学物質による染色体異常アトラス
図説染色体異常 (1981年)
ヒトの染色体異常図譜 (1975年)
産婦人科シリーズ〈no.22〉半陰陽のすべて (1979年)
染色体異常

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2007年3月 6日 (火)

カウンセリング・精神療法 コミュニケーションの練習から

 人の話を聞き、意見を言うのは良いが、適切な言い方・伝え方と言うものがあります。こんな話をテキストを作って説明しています。少し紹介してみます。

�いきなり否定しない。
 このような否定的なコミュニケーション・スタイルは、喧嘩を売っているようなもの。こう言ったスタイルは、幼稚だとされる。自分の考え方を正当化する余り、他者を攻撃しているのだろうと認識される。また、こう言うスタイルを他者に用いる人にみると、自分もそんな目に遭う日があるだろうと、警戒する。多用すればするほど、嫌がられる。結果として、周囲の人は少しずつ遠くへ行く。

�余計な一言は慎む。
 言うべきことは、肯定的に伝えるのが大切。しかし、調子に乗って余計な事まで言ってしまうと、話をぶち壊す。余計な事は、不快にさせる言葉。余計な一言を口走る人は、相手を見下している人、なんて思われる。(余計な一言を)言って後悔するよりも言わずに後悔することも大切。

�相手を認めながら話を展開する。
 これは話をする上での大原則。認めることは肯定的な態度の現れで、話を聞く耳を持ち易くします。否定的なコミュニケーション・スタイルは、喧嘩を売っているようなものでしたが、認めると言うのはその逆です。

 少し変えるだけで、相手を変えます。直ぐに効果が出るとは限りませんが、続けると効果は期待出来ます。人間は感情を持った生き物。相手の感情を大切にする事が大切です。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
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カウンセリングを語る〈下〉
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2007年3月 2日 (金)

カウンセリング・精神療法 ネットで得た情報で“理論武装”する患者

 インターネットで病気に関する情報が氾濫する時代。医者と患者の関係も、従来の様な一方通行から双方向の時代に入っている。患者は以前に比べれば、遥かに多くの医学情報を学んでいる。患者の方が専門家よりも情報を持っていて、専門家化する患者、素人化する専門家、と陰口を叩かれることもある。それだけに情報を持っている患者が、医師と病気をめぐって問答を繰り返すことも多くなってきた。

 しかし、ネット情報は、間違った内容のものも多く、それを信じ込む患者も少なくない。また、知識はあるが、消化不良を起こし、勘違いしている患者もいる。こうした患者の中に、診察を受ける前に診断名を勝手に決めてくる者もいる。時には、自分で診断名を付け、処方まで指定してくる患者もいる。通称、自分自身が主治医、と言う奴である。こうした患者に医者は困り果てる。

 他の患者と同じように、自分自身が主治医である患者も何とかして下さい、とやってくる。医者はアドバイスを言う。しかし、最後の最後に、でもやっぱり…、とアドバイスを断わる自分自身が主治医である患者。何度も何度もこうした事が起ると、患者を選びたいなんて漏らし、医者は関わるのが嫌になってくる。患者に巻き込まれてしまった、と言う状態です。一方の患者もそんな雰囲気を察知して、医者を変えたい、と居心地の悪さを感じる。場合によっては、患者の病的な部分を引っ張り出し、患者が調子を崩してしまう事も…。医源性障害って言う状態です。

 こんな風になってしまうと、最終的に、患者は良い医者でなく都合の良い医者を求めたりする。同じように医者は扱い易い患者を求める。 ああああああ、最悪。

 とりあえず、こんな状態にならないようにトレーニングしている訳ですが…



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2007年3月 1日 (木)

カウンセリング・精神療法 慌てる駆け出し精神科医

 或る駆け出しの若い精神科医が、育児の悩みを抱えて不眠に陥ってしまった患者さんを診察した後、私のところに飛び込んできた。気が動転している。この人、幼児虐待をしている可能性があるから大至急話を聞き出して欲しい。その間にソーシャルワーカーと通報を誰がするのか相談します、と言う内容だった。余り慌てふためいていたので、分かりました、と対応することにした。

 そんな訳で話を聞く。

 子どもが叩いてきたら、おりゃぁぁぁぁぁぁ、って感じで真剣になって叩いたりします。すると子どもが、ぎゃぁぁぁぁぁぁ、って叫んで叩き返すので、負けてなるものか、と思って、おりゃぁぁぁぁぁぁ、って感じで叩き返します。子どもに対して真剣になって向かっていって、叩いてしまう私は親として失格ではないでしょうか。

 こんな感じで話しをされる。物凄く勢いよく話されるので、迫力満点です。このお母さんは力のコントロールが困難なのかなぁ、精神科医が言うように幼児虐待をしている可能性があるのかなぁ、と思いながら、今一つしっくりいきません。

 叩かれたお子さんはどんな反応するの???、と聞くと、嬉しそうだと言う。叩かれるのは嫌ぢゃないんだ、と聞くと、嬉しそうだと言う。ところで、目一杯叩くの???。そんな訳ないぢゃないですか!!!。

 なぁぁぁぁぁぁぁぁんだ〜。そう言うこと。



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2007年2月21日 (水)

カウンセリング・精神療法 ポジティブに考えることとは…

 ポジティブに考えるのって難しいですね。楽天的に考えることをしていくと逃げみたいな感じがする。如何したら、ポジティブなフィードバックが出来るのか分からない。ポジティブって事に触れると、こんな言葉が返ってくる事が多い。


そんな時こんな説明する。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ポジティブに考えていく、ポジティブにフィードバックする、と言うのは楽天的に考える(フィードバック)と言うものではない。自分にとって都合の良い理論を寄せ集めて理論武装(病的な知性化)して、何とかしていくと言うことでもない。事実に基づいて、一般妥当性に基づいて、社会的な常識の枠組みに基づいて、冷静情報を整理して、気持ちが楽になる考え(フィードバック)のこと。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 なかなか、理解に時間が掛かる。でも、理解が進むと案外簡単に出来てくるものだ。ただ、出来ない人には出来なかったりする。特に、他罰的な人には難しい。

 自分の問題として考えられる人限定なのでは???、と思う事がある。



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2007年2月19日 (月)

カウンセリング・精神療法 認知の歪み

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 同じ発達障害なのに、何でここまで認知が歪んでしまったんだろう、と思う人に時々出会う。
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 一度歪んだ認知を修正するには時間が掛かりそうだなんて感じる、と知り合いは言う。私は、認知の歪みの中に歪むに至った経緯が見えてしまうのでどこか悲しいものを感じる、と言う。視点が変わると見えるところが違ってくる。

 多くの患者さんの話を聞いて、認知の歪み具合はこれまでの外傷体験が関係しているのだろう、と思う。外傷体験で苦しんでいた自分を防衛するためには、この人の認知の歪みって最適だったんだろう、と思ってみたりする。きっと今もその外傷体験には効力を発するのだろうと思うが、所属する社会が拡大していくと、それだけでは適応に支障を来たすのだろう。薄々気付いているんだろうけれど、認められないのかもしれない。

 的を得ているのか、いないのかよく分からないが、そんなことを思うことがある。



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2007年2月16日 (金)

カウンセリング・精神療法 壁にぶつかってから一緒に考える

 発達障害の人と関わっているとよく出会う問題である。能力的には高い。程ほどの知識もある。確かに能力的にも高いことは自他共に認めるんだけど、それが活かせるのは、自分のペースが維持出来る場面だけであったりする。能力の高さを示したい、人より優れているのを確認したい、と言う気持ちから、集団に飛び込む。そして、多弁になったり、纏りが悪くなったり、思ったように行かなかったと落ち込んだり、コントロール出来なくなったりと色々で挫折。挫折が続けば、被害的になったりして集団が嫌になっていることもある。

 発達障害の人の場合、環境如何で知的・作業効率が変わり易い。周囲の配慮が大切だが、それを期待出来ないことが社会には多過ぎる。だから、計画性とタイミングを上手く使ってやっていこうと具体的に方針を立てる。

 でも、悠長なことはしていられない、と言う気持ちや、人より優れている、と言う気持ちから、また突っ走ってしまう。そして、また失敗。ただ、失敗の中にも上手くいった部分がある。そんなものをピックアップしながら、とりあえず一緒に前進して、次に繋げて行く。同じ失敗でも、フィードバックがあるかないかでは、違うように思う。



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 発達障害 心の理論課題
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 心因による発達障害
 自閉症を含む発達障害の理解を進める
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 自閉症の理解

2007年2月13日 (火)

カウンセリング・精神療法 胡散臭い人間関係力テスト

 明日以降のカウンセリング場面で参考になるかと思って、テレビ朝日の『人間関係力テスト』を見てしまいました。この手の番組が放映された後は、必ずと言って良いほど揺れる人が出るので、どんな内容なのか把握する為です。前回の『IQ』の時は、何てアホなのだ、ボケている、と言って、不安がる人が沢山いて、フォローが大変でした。今回は、人間関係力が弱過ぎる、って言って不安がって揺れそうな感じがします。

 人間関係を研究しているお偉い先生が監修にあたっているのでしょうが、問題の作り方が強引なところが最初から最後まで気になりました。人間関係力とは程遠く、監修者と番組制作者の主観を予測するような問題が多く、呆気にとられました。

 恰も科学って感じでやっているので、それを本当だと信じる人達も多いです。この類の番組を見終わって、自尊心がぐちゃぐちゃにされるので、見ないと言う人も増えてきました。それは良い傾向だなんて思います。

 ただ、バラエティ番組としてはとても楽しめました。ゲーム感覚でやってると楽しいんですが、本気になっちゃうとね…。大変。

2007年2月 6日 (火)

カウンセリング・精神療法 大切な二者関係

 どうも集団に入りたいけど苦手、なんて発達障害者の患者さんは案外いる。そんな中で、入りたいからと言って入って大火傷した方も少なくない。何とかしたいと言う意欲が反って、またダメだったなんて意識を強化してしまう事がある。そんな光景を目の当たりにすると、集団に入る際には、計画性とタイミングが必要だと思う。そんな訳で、私は集団に入る事を必ずしも必要だとは思っていない。

 急いで何とかしようなんて思っていない。二者関係をしっかりしたものにするために時間をかける。しかし、直ぐに何とかしてくれ、なんて要求する患者さんや家族も少なからずいるので、どう言う進め方をするのか、見通しを伝える。そして、納得してもらう。納得して貰えなかったら、納得してもらえるまで待つ。若しくは、希望通り進めてくれる治療者を探し直してもらう。つまり、治療契約を解除する。

 発達障害者に関わり始めた頃、患者さんや家族の要求に応えようにしていたが、全く上手くいかなかった。そればかりか、問題ばかりが生じた。そして、思った。二者関係をしっかりしたものにするために時間をかける事が大切だ、と。



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2007年1月31日 (水)

カウンセリング・精神療法 依頼箋のない依頼

 心理検査にせよ、カウンセリングにせよ、患者さんからの希望があったとしても精神科医が、必要・不必要を判断します。必要だと判断されると、依頼箋が届くことになっています。院内ルールと言う奴です。殆どの場合、事前に精神科医から打診されます。これは精神科医との間の暗黙のルールです。

 ところが、最近、ルールが破られる事が時々あります。私の予約が稠密状態なので、空き時間に無理やりねじ込んでカウンセリングを入れてしまおうと、確信犯的な動きが見られます。こっそり、いきなり、予約簿に名前だけが入れてあります。それに依頼箋も無いので、心理検査なのか、カウンセリングなのか、何をしていいのかさっぱり。困ってしまいます。

 私がこう言った行為に一切文句を言わないので、エスカレートさせる要因になっています。結局、自業自得です。線引きは大切です。重々承知していますが、まぁいいか、と流して済ましている私です。



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2007年1月29日 (月)

カウンセリング・精神療法 一緒に考える

 診察時間は短い。そんな中で、色々やりとりをするのは難しい。

 或る患者さんは、診察の中で精神科医のアドバイスが漠然としていて、それが理解出来なかったと言う。言われた通りやって失敗してしまうことも多かったようだ。いや、正確には言われた通りやったつもりで失敗してしまった、と言った方が、的を射ている。一を聞いて十を知るのは難しい。自分に合うように調整するのも難しい。どうも、精神科医の言う感覚がしっくり感じ取れていないと気付いたのは、医療機関を変えてからのことだったそうだ。恐る恐る新しい主治医に、言う事がしっくりこない、と返したら、心理療法であれば時間の保証がしっかりされているからしっくりこないところを一緒に考えてもらったら如何ですか???、と言われたのだそうだ。

 ある患者さんは、精神科医から言葉で言う程簡単ではないアドバイスを連発された。具体的に如何したらいいのか、と聞き返してもよかったが、この先生に診てもらっても駄目、と見切ってしまった。転医の経緯を新しい主治医に話をしたら、心理療法で一緒に考えてもらったら???、と言われたのだそうだ。

 いざ心理療法。一緒に考える、と言うのが殊の外好評で、しっくりいくとの事。また、程よいポジティブなフィードバックがありがたいとの事。短い診察の中では実現しにくい事が実現出来たようだ。こんな形の心理療法の利用の仕方もあることを知って頂けると幸いである。



【役に立つ本】
RESOLVE 自分を変える最新心理テクニック―神経言語プログラミングの新たな展開
“私”はなぜカウンセリングを受けたのか―「いい人、やめた!」母と娘の挑戦
やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

2007年1月26日 (金)

カウンセリング・精神療法 IQを扱う番組の胡散臭さ

 クイズ番組で、コレが出来たらあなたのIQは…、と言う文言を並べるものがある。時々、患者さんが影響を受ける。IQ=75の問題が出来なかった、と言い、精神科疾患を患ってから馬鹿になった、薬でボケさせられている、無能、等と関連付ける。


 そもそも、クイズ番組で扱われるIQって、何の裏づけがあってIQ値を決めているのであろうか???。毎週、毎週、幾つも出題しており、どこで標準化作業(多くのサンプル集め、適切な検査を適切なものにする作業)をするのだろうか???。

 どうしてそんなIQになるのか、専門家から見てその根拠がはっきりしない。思いつきで数字を弾き出しているか、少人数に実施し、偏ったデータを恰も標準化されたデータとして扱っているのだろう。

 以前、現在第一線で使用されている心理検査のデータ収集の作業に関わった事がある。標準化作業は時間も労力も掛かった。


 …と言う事で、心理検査のデータ収拾の作業に関わった者の見解としてクイズ番組で扱われるIQには根拠が無い、と患者さんに話します。そして、経験者は語る、ということで、納得してもらうのです。

 当然の事ながら、一種のゲームとしてみればいいのですが、なかなかそんな風に見えない人も多い。TVの力は絶大です。特に不安を煽るこに関しては…



【知能関係の本・グッズ】
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2007年1月24日 (水)

カウンセリング・精神療法 精神科医には時間が無く、患者さんには余裕が無い

 精神科医は、限られた診察時間の中で、多くの患者さんを診ています。そして、カルテ記載やお薬の調整などもしています。勤務先でも複数の精神科医が9時から患者さんを診ています。なるべく長く話を聞こうと頑張っていらっしゃいますが、時間にも限りがあります。午前の診察が終わるのは、15〜16時。患者さんの数はざっと3桁。

 危機介入が必要な時は別にして普通、患者さんに与えられた時間は、10分もない。その限られた時間の中で、話をするのは難しい。それに精神科医の前では何故か緊張なんて人も少なくありません。何を話していいのか判らないままに診察は終了となり、診察室を出た後に、あれを言い忘れた、とか言う患者さんが多くいらっしゃいます。また、何がしんどいのか、しんどさを如何表現して良いのか分からない患者さんも少なくありません。

 こんな状況に気付いた精神科医から、患者さんが診察で話したい事を整理出来るような関わりを別の日に時間をしっかりとってして欲しいと言う事で依頼が届くようになりました。カウンセリングとは、毛色の違うものなので、こうした依頼を嫌がる同僚もおり、そうした依頼は全て私の所に届くようになりました。

 いざやってみると、患者さんは、しんどさを表現する力がアップしてくるんです。何が必要なのか、どう表現すれば良いのか、患者さんはコツを掴むんですね。表現出来るようになったことで、症状の理解が進み、治療が進むんです。治療効果が進むと、しんどさをコントロール出来たと言う実感が持てるようになるようです。

 或る患者さんは、精神症状が強く、時間外に救急でやってきました。精神科医が診察すると、不調にも関わらず、症状や状態についてしっかり説明したのです。それには、診察した精神科医もびっくり。カルテにこうした関わりの有用性を記載して頂きました。

 しんどさを表現する力がついていたお陰で、患者さんは、焦点を絞った治療を受けられるようになりました。ここまで語れるか、と本当にびっくりする事が多いです。医療に於いてこう言った関わりも必要だ、とつくづく思うのでありました。



【役に立つ本】
RESOLVE 自分を変える最新心理テクニック―神経言語プログラミングの新たな展開
“私”はなぜカウンセリングを受けたのか―「いい人、やめた!」母と娘の挑戦
やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

2007年1月18日 (木)

カウンセリング・精神療法 治療者を選べるのか???

 知り合いの作業療法士と話している中で、こんな話を伺いました。

 某医療機関では、レストランのメニューのような感じで作業療法士のプロフィールの一覧がおいてあるそうです。そして、それを見ながら患者さんに、どの作業療法士から作業療法を受けたいのか、と希望を聞いてくれるらしい。最初は、どの人が良いのか判らないですが、次第に品定めがなされていくそうで、人気がある作業療法士のところは予約が一杯。一方、人気が無い作業療法士のところは患者さんが来ないので、空いている時間は事務仕事や他の作業療法士のヘルプをしなくてはいけないそうです。こうやって人気の無い作業療法士の肩身は狭くなっていくそうです。

 納得が出来、良い医療を受ける為にはこう言うやり方もいいかなぁ、と思います。表立って口に出来ませんが、確かに、治療者のアタリ・ハズレと言うものがありますから。

 カウンセリングで、主治医を変えて欲しいので口添えして欲しい、と言う話が出ることがよくあります。患者に主治医を選ぶ権利が無い、と言いながら、この場面では大丈夫かな、と思って言ってくるのです。一通り話は聞くものの、主治医に直接申し出るのが近道ですよ、と返し、最後にレストランのメニューみたいに治療者を選べたら良いんだけどね…、何て付け加えます。そして、そんな病院ある訳無いよね、と最後は笑いで締め括っていました。

 時代の流れとは言え、まさかまさか、レストランのメニューみたいに治療者を選べる医療機関があったなんて驚きでした。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2007年1月17日 (水)

カウンセリング・精神療法 ひじょ〜に、厳しい!!!

 あの治療者は病気を治せる、とか、治せないとか、評価される事がある。

 知っている病院の急性期病棟では、あの先生が病棟担当医になってから治癒率が下がったので治せる医者を病棟担当医にしないと病棟が廻らなくなる、なんて具合で評価される。入院3ヶ月後の退院率と言うのを弾き出していて、査定するらしいです。ひじょ〜に、厳しい!!!。治癒率が低いからと言って、首になることは無いそうです。しかし、治療者にとっては恐ろしい査定です。だから、必死なのだそうです。

 医療機関で働く私の場合、治せる、治せない、と言うお医者さんの印象が大きく左右します。あいつに任せたら大変、なんて思われると、依頼箋が減ります。お医者さんの信頼を取り戻すには時間が掛かります。ただ、お医者さんがかなり沢山いるので、一度に沢山のお医者さんの信頼を失うことはありませんが…。ただ、あいつに任せたら大変、なんて思われることは、今はありません。駆け出しの頃は時々ありました。当時は、とにかく必死だった事を思い出します。懐かしい〜ぃ。



【役に立つ本】
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2007年1月 9日 (火)

カウンセリング・精神療法 「お任せします」とは言わせない

 治療は先生方にお任せします。家族はそんな風に言い放った。そして、私は、お任せしますでは困ります。一緒に如何するのか考えていきましょう、と言うカウンター・フレーズをお返しした。

 患者さんより家族の方に問題があるとされる場合、こういった形で治療の場に引き摺りこむ。

 臨床場面では、患者さんに対して必要以上に刺激する否定的で感情的な言動をとって患者さんの症状を活性化させてしまう家族によく出会う。言い方は悪いが、家族に診断名を付け投薬した方が良い、と言う感じ。こうした家族は、治療は先生方にお任せします、と言いながらも、治療的な取り決めを無視して今まで通りの好き勝手な関わりを続けることが多い。従って、何も変わらない。最終的には、患者さんだけでなく治療者に対しても否定的で感情的な言動を取り易い。そして、治療に対する動機付けが低下して言ってしまう。

 こんなことから、家族にも積極的に治療に参加して頂き、その言動に責任を持って頂く様に方向付けるのである。患者さんに対して必要以上に刺激する否定的で感情的な言動が、如何言った影響を誘発するのか、家族に身をもって体験して頂くだけで十分。少し専門技術を用いるのだが、気付くだけで飛躍的に治療が進む。

 勿論、それでも上手くいかない場合もあるけれど、上手くいく場合が多い。だから、よく使う方法である。



【家族療法の本】
家族支援ハンドブック―ソリューション・フォーカスト・アプローチ
家族療法のヒント
家族療法の基礎理論―創始者と主要なアプローチ
自己への物語論的接近―家族療法から社会学へ
家族療法―システムズアプローチの「ものの見方」
家族療法的カウンセリング

2007年1月 8日 (月)

カウンセリング・精神療法 語りかける医療

 治療者にしてみると治療に訪れる患者さんは沢山いるだろうが、患者さんにしてみれば一つの疾患を治療に関わってくれる治療者は一人若しくは少数である。そんなことが背景にあって、患者さんは治療者の言動をよく覚えている。いいモノも、悪いモノも、全て。その為、治療者は感情に左右されずに言動を慎重に選択するように心掛けている。ただ、当然の事ながら経験の浅い治療者の場合、治療者は言動を慎重に選択出来ないことが多い。治療場面を通し、学んでいくのである。中には、感情に左右されずに言動を慎重に選択しようと意気込むばかりに、無理やり感情を抑えて患者さんに全く共感出来なくなってしまったり、志している道を見失って燃え尽きてしまったりしてしまうことがある。

 共感出来ない治療者や燃え尽きてしまう治療者を作り出さないために、昨今、アメリカの医学大学院では、『語りかける医療』を学ばせるところが多くなってきた。主に用いられる手法は、作文。臨床場面で自分が抱えている問題を文章にする事で向き合う時間を作るのである。こうしたトレーニングを受けることで、患者さんとの対話力が向上し、適切な処置が取れるそうである。

 或る患者さんは言った。『診察では話を聞いて貰えない。1時間待って長くて5分の診察。殆どが薬の話。薬を飲めば、症状は幾分抑えられるけど、限界がある。気持ちの問題もは解決しない。今の主治医は、出来る限り時間をとって話を聞いてくれる。それでも時間が足らないだろう、と不採算を承知の上でカウンセリングの処方箋を出してくれた。自分は幸せ。もっと多くの人がカウンセリングを受けられるようになると良い。もっと精神科医は不採算を承知の上でカウンセリングを処方してあげて欲しい

 私は思う。確かに時間をかけて行うカウンセリングが有効な場合もある。ただ、治療者の対話力が向上するだけも限られた短い時間であっても効果に差が出るような感じがする。



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2006年12月31日 (日)

カウンセリング・精神療法 不快な感情

 不快な感情にはどんなものがあるのか、分かりますか???。思いつくだけ、挙げてみて下さい。

 こんなことを患者さんに聞くことがあります。簡単そうに見えますが、これが案外難しくって、患者さんの頭を悩ませるんですよ。不快な感情だと思っているものが、実は、感情ではなく、思考内容であったり、身体の感覚であったりします。

 時に、不快な感情にはどんなものがあるのか、なんて言っておきながら私自身も混乱するようなものが出てきて、患者さんと一緒に考える事があります。

 例えば、心が痛い、心が辛い、と仰る方が時々います。胸が痛むってことなのかと思いきや、違う、って仰るんです。そんな訳で、どんな感情か詳しく教えて、とか、こんな感じ???、とか言って聞いていくのですが、ぼんやりして、言語化出来ないんですね。

 心が痛む、心が辛い、と言うのは、何か別の不快感情があってそれによってそんな状態が起っているのかなぁ、と思いますが、その時点で患者さんの中でははっきりしないんですよね。しかし、患者さんがセルフモニターのトレーニングをしていくと、自分自身の不快感情が見えてくるんですね。

 不快感情のコントロールは、ストレスのコントロールに繋がります。その為には先ずは不快感情を知る事が大切なのです。



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2006年12月30日 (土)

カウンセリング・精神療法 カウンセリング・精神療法のセンス

 僕って精神療法のセンスがない。

 精神科医自らが言うんだから、その先生にとってみればそれは心の中の事実なのだと思う。確かに患者さんも言っているから、そうなのかもしれない。ただ、先生の精神療法が自分には合っている、と言う人もいるのでそうでないかもしれない。半々、いやそれ以上に肯定的な評価を耳にする。


 まぁ、心の持ち方の問題なので先生のお好きにどうぞ。

 こんなことを恐れ多くも精神科医に向かって言う私である。ただ、苦手なタイプの人がいて、『物凄く苦手なんだ』って意識しちゃうんだろうな、と言う感じはうっすらする。だって、苦手な患者さんやその家族をカウンセリングに回して、どんな風に関わったの、なんてカウンセリングが終わった後聞きに来て、関わり方をメモしているから。時々、私のよく使う独特のフレーズが先生の記載にあるのを見つける。先生なりに色々な角度から己の技術を高めようとしているのが分かる。それで、結構自分のものにしていてセンスを磨いているようだ。


 私自身、行き詰まった時には、出来る限りその先生からフィードバックを受ける。先生のフィードバックは、何か説得力がある。自分自身が行き詰まった時はこうだった、と言う感じで返してくれる。調子に乗って、一寸意地悪半分に誰のやり方を吸収したんですか???、なんて聞く。すると、正直に教えてくれる。身近な先生の名前が出てくるので、そんな時は名前の上がった先生の意外な面を感じて、良いセンスを持っているんだ、と妙に感心してしまう。時々、これはあなたから教えてもらった事ですよ、と自分の名前が出て来る時もある。そうだったっけ、と思いドキッとする。そして、フィードバックを受けた事に注意しながら息詰まったと感じた患者さんに再挑戦。

 フィードバックを受けると言うのは、センスを磨く事なんだろうと思う。自分の周りにはフィードバックをして下さる方が多く、幸せに思います。



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2006年12月23日 (土)

カウンセリング・精神療法 複雑な想い

 その患者さんは、昼夜を問わず障害を背負うしんどさで、心が揺れ動き、その衝動のコントロールが出来ないでいた。物凄くしんどいようで、このしんどさから救ってくれるのは誰もいない、と悲観的になって自傷他害も頻繁に起こしていた。そんな状態で、やって来た患者さんがいた。どこに行っても問題行動が治まらず、家族が困って、ドクターショッピングをしている中で偶然にやってきた。

 診断名は、発達障害。主治医は入院治療を勧めたが、患者さん本人・家族共に拒否。問題が起こった時点で考えて貰う、と言うことにしていたが、問題が起こっても、やっぱり本人・家族共に入院は拒否だった。そんな中で、主治医から相談を受け、関わるようになっていった。

 スタート時点で主治医と私の考え方は違っていた。一度しっかり入院治療をした方がいいと言う主治医と不要とする私。まぁ、互いの意見を尊重しながらも、一度入院治療、と言う方向を確認しあった。私は、心理療法と言う形で患者さんと家族の支援をすることになった。

 家族に対して暴力行為がある度に、主治医は入院を勧めた。しかし、本人・家族共に入院は拒否。その内、家族が音を上げるかな、なんて思いながら主治医はその時を待っていた。心理療法に本人は初回以外来る事が出来なかった。昼夜逆転の所為で行こうと思っているものの寝てしまう状態であった。その為、家族支援が中心となった。こんな状況を、診察や心理療法に来ないのは本人が治療に抵抗しているからぢゃないの???、なんて多くの精神科医に揶揄されることもあった。でも、関わりはこれで良いんだと言う想いが私にはあった。家族の関わり方の訓練が効を奏し、問題行動はあるものの炎上することは明らかに減っているし、行こうと思っている気持ちがあるし…、なんて思った。

 こんな状態が少し続き、事件が起こった。入院治療を受けている発達障害の患者さんが、コミュニケーションの障害が原因で暴力を振るわれると言う出来事があった。そんな状況を目の当たりにした主治医が、一度しっかり入院治療をした方がいい、と言う考えを変え、外来で支えようと言う話になった。私は、患者さんが、暴れた後に来る罪悪感や虚しさも障害によるしんどさと同じ位辛いので避けたい、今の自分を救ってくれるのは薬だけ、と言っていることを伝えた。そして、衝動性のコントロールが抑えられる、と言う実感をもってもらう為に、不調時ならいつ来ても点滴を打てるように指示を出せないか、と主治医に聞いてみた。主治医は、外来で抱えるとなるとそれくらいしないとしんどいかもね、と快く指示を出してくれたので、家族に伝えた。

 いきなり、その日の深夜、来院。以後、頻回に来院。しんどい時に点滴に誘導は大成功。しかし、何で時間外に再三来るんだ、と夜勤者から苦情が出ました。しかし、主治医が頭を下げてくれて何とか治まりました。そんなこんなしている内に、しんどくなったら薬でコントロール、と言うことが定着してきました。落ち着きだすと速いもので、時間外来院は減りました。ただ、昼夜逆転は相変わらずですが、状態は安定し、極偶に診察や心理療法にも来る事が出来るようになった。

 最近は、調子がよくなったので、患者さんは診察や心理療法もさぼりがち。困っていた時は、すがっていたのですが、困らなくなったので、代わりに来る家族も主治医の診察日以外にやってきて、薬だけ処方してもらっている。問題が治まり良かった、と思う反面、喉下過ぎれば…、と言う態度に、何となく淋しいな、って感じる私です。



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2006年12月22日 (金)

カウンセリング・精神療法 ドキッ、とした瞬間

 カウンセリングの落とし穴って、どこに潜んでいるのかわからない。直ぐ目の前に隠れていたりすることがある。経験が豊富になるとどの辺りに注意を払うのかが見えてきて、落とし穴にはまらないように回避し易くなってくる。それでもやっぱり死角みたいなものがあって、はまってしまうことがある。いつになっても、はまったのでは…、と思うとドキッとする。

 先日の出来事。セッションの途中、微かにソワソワした感じがしたので、急に調子が悪くなったのかなぁ、と思った。すると、病棟に患者さんを送って行く途中に、患者さんから、夢の話をしている途中で急にしんどくなった、と話してくれた。やっぱりしんどくなったんだ、と思いながらも、予約に追われて十分にしんどさについて聴く事が出来なかった事が心残りだった。

 一通り予約を全て片付けて、セッションの内容の記載をしようと思って、電子カルテを開くと、夢の話をしている途中で急にしんどくなった、と話してくれた患者さんが大荒れ、と医師と看護師の記録として記載してあった。ドキッとして、十分にしんどさについて聴く事が出来なかった自分の所為だ、と関係付けて重い気持ちになってしまった。思い上がり、と思われるかもしれないけど、カウンセリングってこんな感じで患者さんを刺激してしまう事がある。実際、カウンセリングが原因で調子を崩す人もいるので、カルテ記載を見てドキッとした。自分なりに反省をして、同じような場面では細心の注意を払おうと誓った。

 翌日、状態が治まったのかなぁ、と朝一番でカルテを開く。主治医の記載に原因が書いてあった。とりあえずホッとした。原因は違う所にあった。何か救われた感じがした。でも、素直にホッと出来なかった。理由は如何であれ、中途半端な対応をしてしまったことが、こんな不安を起したのだから。予約に追われて時間が取れなかった、と言うのは、自分の行動の合理化に過ぎない。目の前の落とし穴にはまらなかったことをラッキーだったと思いたい。



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2006年12月21日 (木)

カウンセリング・精神療法 その方針のお値段は???

 ご家族がいて、こちらで家を立てて住んでいらっしゃる患者さんが、思いつきで里帰りしたいと言った。精神的に不調になって、何もかもが嫌になったのだと言う。この手の話って稀にある。この手の話を持ち掛けて来た場合、分かりました、とは言えない。私は迷わず、もう少し状況を整理した上では考えていきましょうと言う。調子が悪い時の決め事って、往々に悪い方向に転がってしまう事が多いのを知っているからである。

 その昔、知り合いの精神科医は、この手の話に即座にOKを出し、里帰りと言う方針を進めていった。家族を説得して了解をとった。そして、患者さんは、仕事を辞めて、家を売って、里帰りした。しかし、直ぐに潰れて戻って来た。数千万円が動いた。患者さんの思いつきで、家族の了解があったとはいえ、家族の被った損害はかなりのものだった。とりあえず大きな問題に発展する事はなかった。患者さんや家族に、病状の把握さえしておけばこんなに損害を出さなくて済んだ、なんて訴えられようものなら、若しかして予見を怠ったなんて事で損害賠償に発展したかもしれない。

 これは一例だが、お金が掛かる方針を進めながら即失敗してしまう話をまだまだ知っている。結局、患者さんや家族が損害を被っていることが多い。

 躁状態の人が、大金を使ってしまうのとは訳が違う。ある意味、医師の方針に従って失敗を招いたのだから医療ミスって呼べるかもしれない。だからこそ、慎重過ぎるほど慎重にお金が掛かる方針を進めていかなくてはいけない。そんな訳で、この手の問題は、患者さんと家族で話をして結論を出してもらうのが最適だ。変に医療関係者が首を突っ込むと大変な事になる。こんな問題から身をかわすのも技術だ。



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2006年12月18日 (月)

カウンセリング・精神療法 家族の支援

 介護疲れの患者さんの家族の支援をする事がある。そんな時、よく出てくるのが、育て方が悪かったから病気になった、早期に気付いておけばもっと打つ手があったのでは、と言う家族の自己批判である。実際に、そんな想いが強くて、召使のように患者さんの機嫌を窺う家族も多い。そして、どんどん疲弊していってしまう。

 大抵の場合、疲弊して始めて家族がカウンセリングを受ける事になる。精神科医が、これでは患者さんと家族とが共倒れになってしまう、って気付いて、カウンセリングのオーダーを出すんですね。

 カウンセリング場面では、必ずと言っていい程、育て方が悪かったから病気になった、早期に気付いておけばもっと打つ手があったのでは、と言う家族の自己批判が顔を出す。そして、自分の自己批判的な想いが間違っていないか如何か、こちらに同意を求めてくる。

 潰れてしまう家族は熱心な関わりをする方が多いので、今までの支援に対して労いの言葉を掛ける。そして、自己批判的な想いにはグレーな返答をする。

 そして、言う。悪者探しをしたり、家族を責めて患者さんの障害が改善するのなら、きっと世界中の医療機関で悪者探しをしたり、家族を責めていると思いますよ。でも、それをしても患者さんの障害が改善しないことが分かっています。だから、過去の事を言う前にこれから如何して良くか関わっているものたち全員で考えていきましょう。

 家族を孤立させない事(協同して何とかしていこうって思ってもらう事)。最前線で患者さんと関わる家族って大変なんだって認識してもらう事。家族の支援と言うのは、こんなものなのかなぁ、と思っている。簡単に見えますが、先の見通しが持てないとなかなか上手くいかない。そんな気がします。



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2006年12月13日 (水)

カウンセリング・精神療法 カウンセリングの間隔

 意外に知られていないが、精神分析で週に2〜3回、それ以外で週に1回、これが効果があると言われている間隔なのだそうだ。しかし、実際には、こんな間隔で実施する事は少ない。受け持ちが少なければ可能だろうが、30〜40ケース以上受け持っていると、週1回のペースでは不可能だ。2週間に1回、月1回、場合によっては、数ヶ月に1回なんてこともある。これほどまでに間隔が空いてしまうと、治療効果なんて期待出来ないのではないか、なんて思うこともある。ただ、間隔が物凄く空くケースの場合、カウンセリング云々よりも顔を合わせることでホッとなさる方が圧倒的に多いように思う。関係が続いていると言う安心感があるようだ。

 知り合いの臨床心理士たちは、信頼関係が成立しているから大丈夫、とか、2週間に1回なら効果が期待出来るだろうと信じてやっていると言う。効果が上がっているのか如何かは知らない。

 私は、って言うと、最初は週1回のペースでその後は徐々に間隔を空けたり、主治医の診察・心理療法と交互になるように設定したりします。また、間隔が空く場合は、認知療法のような治療に患者さんが参加出来る様な技法を用いるとかもします。とりあえずは、お会いして時間をかけて生育歴の聴取をした上で決めています。

 さて、効果は如何か、と尋ねられたら、正直言ってよく判りません、と迷わず答えると思います。薬が効いているのかも知れないし、自然治癒力の所為かも知れないし、他のスタッフの関わり方が良かったのかもしれないし、カウンセリングが効いたかもしれない。それに、どれが効いたなんてわざわざ聞きませんし、だから、分かりませんと答える。ただそんな事を言いつつも、カウンセリングを受けて混乱した、なんて言われれば辛いし、受けてよかったと言われれば嬉しいのは確かだ。

 最近、カウンセリングの依頼が増えている。とりあえず、無難に対応している、と評価して頂いている証なのかな、と勝手に都合よく解釈をする。来る人拒まずがモットーだったが、先月は一時期であったにせよ初めて受け入れストップをしてしまった。何とか受け入れを再開したが、余りに関わる患者さんが多いので、カウンセリングの間隔を再度考えなくてはいけない状態になっている。自分自身の拘りもあるし、患者さんの抵抗もあるので、色々考え、迷っている。



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2006年12月 9日 (土)

カウンセリング・精神療法 何を考えているんだか???

 ケースカンファレンスでの話題は、成人の発達障害のケースの拘りを何とか取り除くこと以外なにも無かった。あの手、この手を駆使しても駄目だったと言う話に、その場の大半が巻き込まれていった。巻き込まれなかったのは、二人。

 拘りは強引にとるべきでない(否定してはいけない)、と言う立場の私は、何を考えているんだか、と思いながら話を聴いていた。嫌と言う程、私の考えを聞かされている研修医も、無理にこだわりを否定すべきでない、と思っていたみたいでした。

 ちょっと宜しいでしょうか、と断わって、拘りは取らないといけないのですか、と参加者に尋ねた。何を考えているんだか、と言う雰囲気が伝わってくる。そして、拘りがあるが故に生活が支障を来たす、だから取らないといけない、と言う。拘る事に苦痛を感じているのか、と聞く。苦痛を感じていない、と言う。拘る事に満足を感じていませんか、と聞く。満足している、と言う。本人が満足しているのに何で取ろうとするのか、満足しているものを抵抗して当然だ、と攻める。

 そして、私は説明する。いつもの奴だ。発達障害者にとっては、拘りは社会との接点。健康な人は面で社会と接しているけれど、発達障害者は拘りと言う点でしか社会と接点を持てない。そんな接点を取ってしまったら如何なる???。拠所を無くして混乱してしまうだけ。それを知っているから抵抗するのではないのか???。だから、治療者が拘りをとるようなことをしてはいけない。拘りは薄れてくることを経験的に知っている。そこまで待つのが良い。

 すると、拘り行為がエスカレートして業務に支障を来たすから…、と治療者側の都合が出てきた。

 治療者側の都合に患者さんを合わせようとすれば無理が生じる。患者さんの都合に関わる側が合わせようとすればそこにも無理が生じるように見える。しかし、関わる側のスタンスを変えると、時間はかかるけど患者さんのスタンスも変わる。経験から得られた見解はこんな感じ。

 しかし、それはあなたの考えでしょ、今まで多くの専門書を呼んだし多くの講演会に行ったがでこんな話は聞いた事が無い、患者にずっと合わせて行くつもりか、と発達障害に関わった事の無い一人の臨床心理士に言われてしまった。

 確かにそうかもしれないが、臨床的な発見は、コテコテの臨床の現場でなされることもあるだろうし、別に有名な先生だけがするものではない。そんな風に思う。



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 発達障害 成人期以降に診断
 発達障害が脚光を浴びる前の時代
 発達障害 親の関わり方
 発達障害 心の理論課題
 療育手帳 発達障害の場合
 発達障害児との関わり した方が良い事としない方が良い事
 高機能広汎性発達障害のスクリーニング・テスト
 重ね着症候群
 心因による発達障害
 自閉症を含む発達障害の理解を進める
 子どもの障害を考えていく上で… Welcome to Holland
 自閉症の理解

2006年12月 7日 (木)

カウンセリング・精神療法 治療者の心に魔が差す事もある

 治療者と呼ばれる人も人間。自らが抱える問題でアクティングアウトと呼んでも良さそうな逸脱行為をを起こすことがある。しかし、治療者はそんな傾向を把握しながら、少なくとも臨床場面では逸脱行為を起こさないように努めている。それでも、治療者の心に魔が差すことがある。


 他職種の方から聞かなければ良い事を聞いてしまった。物凄く気持ちが重くなる話しだった。でも、聞いてしまった。いやいや聞かされてしまった。

 話は、同じ部署に籍を置くスタッフの事。外来での集団精神療法をしている患者さんの一人に、発表されていない極秘の人事異動をしゃべってしまったと言うのだ。それだけならまだしも、人事異動はあなたとトラブルを起こしたからよ、と付け加えたようだ。一人の人の人生を狂わせてしまったら、と患者さんが大混乱してしまった。そもそも発端は、患者さんからの、あのスタッフ嫌い、と言うところから始まって、このスタッフが、もう直ぐいなくなるからそれまでの我慢、と言ったことだった。


 何故、担当もしていないのに、そこまでしてしまったのか???。人事異動と名指しされたスタッフは如何なる???。ベテランと言われる経験年数から考えて、こんなことを言えばどうなるのか、予測出来たと思うのですが…。判断を狂わす何かがあったのでしょうね。


 幸い患者さんは落ち着きを取り戻したようだが、勤務先の幹部達が頭を抱える大きな問題になっている。私はそんな愚痴を聞いてしまったのだ。愚痴ってもらって気持ちが楽になったと言って頂いたのは救いでしたが、私の気持ちは重くなった。

 誰にでも起り得る問題なので、事例検討でもしましょうと提案した。そうする事で自分の重くなった気持ちを軽く出来そうな感じがした。



【役に立つ本】
セラピストという生き方―人を癒すことは、自分を癒すことです。
プロカウンセラーの夢分析―心の声を聞く技術
DVD 認知療法・認知行動療法カウンセリング 初級ワークショップ
セラピストの技法
心を癒す「ほめ言葉」の本―幸せのヒント
催眠誘導―エリクソン・メソード決定版

2006年12月 4日 (月)

カウンセリング・精神療法 理論に置き換える

 色々な視点(理論)があるので、色々な見立て・見極めがあると思います。臨床家が変われば見立て・見極めが変わる事も多いので、正しいとか正しくないと決め付ける事は出来ない。また、精神科医の見立て・見極めだから正しく、臨床心理士の見立て・見極めだから間違っているとは一概に言えないのだろうと思います。ただ、精神科医は職人としての訓練を臨床心理士よりも受けているので、その分洗練されているかもしれません。

 患者さんと関わる際、私は主治医と相談した後、当たり障りの無い範囲で自分の見立て・見極めを説明し、カウンセリングの方向性について伝えます。勿論、臨床家が変われば見立て・見極めが変わることもあります、と付け加えます。その際、診断名については、精神科医でもありませんし、それに誤解を招くので言いません。ただ、臨床家が聞けば分かるようなやんわりした言い方を用います。一定の見通しを示す事や見立て・見極めについて触れる事は大切だと考えているからです。患者さんが見立て・見極めに賛同してくれる場合、症状を見立て・見極めに置き換えて患者さんも捉える事が出来るからです。患者さんが難解だった自分の症状を置き換えて考えることが出来ると言うのは、自分の症状を理解出来たと感じるのに繋がるのでしょうか。障害の概念を共有する事は大きいです。

 乱暴かもしれませんが、そもそも治療なるものは、症状を治療理論に置き換えて捉えることだと言って良いとなんて私は考えています。勉強が足りない私がここまで言い切って果たして良いのでしょうか。でも、経験的にそんな風に感じる…



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年12月 3日 (日)

カウンセリング・精神療法 セッションのメモ

 心理療法のセッションが、3連荘、4連荘すると、カルテ記載は確実に先送り。こんな時はセッションでどんなやり取りがあったのかこってり忘れています。セッションにエネルギーを注ぎ過ぎて、それぞれのセッションの事なんかこってり忘れてしまうのでしょうか???。最悪8連荘となると…、あヾヾ、記憶障害でもあるのか、と思いたくなるくらいかなりやばい状態です。

 最初は、メモ程度の記録なんか…、と思っていましたが、メモなしだとかなりやばい状態です。がははは。こんな状態だったらカルテ記載に支障を来してしまう。作話になってしまうと困るし…。そんな訳で、患者さんに物忘れが激しいのでメモを取らせて下さいね、と断わってからとっています。

 メモを取りながらのカウンセリンだなんて…、と思っている人は多いと思います。私は、根本的に考え違いしているんだろうけれど、やり方なんて色々ある訳だから、こんなやり方でも良いと考えている訳。こうでなくっちゃぁ、と言う原理教的な排他主義がまかり通っているなら別だけど、そんな人は幸い周りにはいないし。それに、メモを取ることで支障を来たした訳でもない。心理療法に一定の患者さんの満足が得られているので、問題ないのではと考える。そんな風に合理化して考えています。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
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カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
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2006年12月 1日 (金)

カウンセリング・精神療法 心の傷

 意味を分かってか、分からなくてか、『トラウマ』と言う言葉を連発する人がいる。何か『トラウマ』と言う言葉が大安売りされているような感じがしてならない。心の傷が深い人は、『トラウマ』と言う言葉を口にするエネルギーが枯渇してしまっていたり、『トラウマ』と言う言葉なんて思いつかなかったりしている。

 心の傷と言うのは、体の傷と違って見えないので、外からはなかなか分からないことが多い。また、心の傷を思い出すのは苦痛を伴うので、思い出したくないと言う防衛も働く。すると、ますます外から分からなくなる。急性期であれば、心の傷は分からないこともないが、時間が経ってしまうと分からなくなっていってしまう。

 心の傷は往々にして人格に大きな影響をもたらす。その結果、対人関係の中で、心の傷は疼くき、再体験される事が多い。それは、被害感、共感性の低下、抑うつ感、衝動行為として現れ、不適応を生じさせる。患者さんの話を聞いていると、現実場面から過去の嫌な体験へとチャンネルがいきなり変わる感じ、嫌な場面の映像が突然生じる、と訴える人が多い。専門家は、乖離症状とか、フラッシュバック、タイムスリップ現象と言う言葉で済ましてしまう。

 最近の研究や調査では、人格障害等の精神科疾患の患者さんに心の傷をもった人が多いと言う結果がある。確かにいじめや虐待を受けて来た人が多そうに感じる。

 ただ、「精神科医が安易にPTSDと診断している」という批判と「PTSDが過大に評価され、混乱をもたらしている」と言う批判が起っている。反面、「PTSDが安易に診断され、過剰に認定されている」と言う誤った印象も広がっている。困った問題である。



【参考になる本】
カプラン臨床精神医学ハンドブック―DSM‐IV‐TR診断基準による診療の手引
DSM‐IV‐TRケースブック
DSM-IV精神疾患の分類と診断の手引
DSM‐IV‐TRケースブック「治療編」
DSM‐IVに基づく精神科看護診断とケアプラン
ICD-10精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン

2006年11月30日 (木)

カウンセリング・精神療法 電子カルテの悪夢

 電子カルテの場合、診察場面では患者さんの話を聴きながらそれをパソコンに打ち込む先生も多いようだ。限られた時間で多くの患者さんを診なくてはいけないので、仕方がない面もある。ただ、中には、大切な記載だけをして、後刻記載をする先生もいらっしゃる。でも、カウンセリング場面では、患者さんの話を聴きながらそれをパソコンに打ち込むことはない。打ち込みに必死で話を聴くのが疎かになっては、困るから。

 或る精神科医は、患者さんの話を聴きながらそれをパソコンに打ち込む。ブラインドタッチでサクサクってテンポよく打ち込むらしい。患者さんの話を聴きながら電子カルテに向い打ち込んでいく。そして、時々、そこのところからもう一度話をして頂けますか、と言う。何度も何度も言われると患者さんはそれを聞き、複雑な気持ちになるらしい。記録する為に話をしているみたい、って気持ちになる。この精神科医に診てもらっている多くの患者さんは似たような訴えをする。そして、最終的に先生は忙しいから仕方がないと言う。確かに忙しい。忙しいんですよ、精神科医は。

 精神科に於ける最大の治療法は話を聞くこと、とはよく言われますが、電子カルテが導入されてから入力の大変なので、幾らブラインドタッチが出来たとしても、話し半分、入力半分、って具合になってしまっています。

 因みに、患者さんの話を聴きながらそれをパソコンに打ち込むことをしない私は、終了後にメモを見ながら打ち込んでいきます。カウンセリングの予約で一杯の日は入力が大変です。休憩時間献上で記録の打ち込みです。



【役に立つ本】
セラピストという生き方―人を癒すことは、自分を癒すことです。
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2006年11月25日 (土)

カウンセリング・精神療法 下半身の悩み

 年を取るのはどこか淋しいものがある。若い時には考えもつかない衰えと言うものに直面し、戸惑う。加齢による生理的な変化は、射精の感覚が変化し快感の半減したとか、勃起が弱くなったとか、と言った形でも表れ、不安に陥れる。年を召された男性の悩みの一つが、こうした下半身の悩みであったりする。

 専門家に打ち明けられる人もいれば、そうでない人もいる。専門家に打ち明けると、年を取れば誰にでも起る加齢による生理的な変化だ、なんて説明され、何となく納得したりする。胸の奥にしまいこんでいる人の中には、精力剤や精力がアップすると言う食品に飛びつく人もいるし、最近では、闇で売買されるバイアグラに頼る人もいる。

 射精と言うのは、前立腺に精液が形成される漏出と性器のけいれん様収縮によって体外に送り出される射出の二つの工程から成り立っている。漏出が起こり、少し間をおいて射出が起る。この少しの間が射精の快感を生み出すものだそうだ。しかし、還暦を迎えようとする辺りから、この少しの間がなくなり出す。即ち、射精の快感が得られなくなって、違和感となっていくのだ。男性としては、このような変化は計り知れないショックなのである。

 その辺りを如何受け止めていくかが、カウンセリング・精神療法で重要視されてくる。受け止めていくのは、簡単そうで難しく、難しそうで簡単であったりする。



【中高年の性愛の本】
間違いだらけの中高年の性―高齢化時代の性を考える
老いてなおステキな性を―高齢期の男女の関係性を問う
生きて、愛して、年老いて―高年期の性と人間関係

2006年11月16日 (木)

カウンセリング・精神療法 経験と知識のバランス

 経験の乏しさを補おうと、知識を身に付け理論武装する経験の浅い臨床家が時々いる。自分はこれほどまでに知識があるとアピールする。一人前の臨床家に見られようと背伸びしている感じだ。そんなこと今更言われなくっても分かるよ、知らないとでも思っているのか、と言いたい時もある。ちょっと傲慢さを感じる。

 駆け出しの院卒の臨床心理士が、中堅の大卒の臨床心理士に対し、私より知識が無いぢゃん、と言いいたげな態度をとっていた。言葉の節々が刺々しい。傍から見ていると、相当嫌な奴って感じだ。まぁ、変な優越感を持つのも良いけれど、理論背景の理解が進まぬままに知識に頼るので、見ていて痛々しい。経験不足は知識では埋められないのにね。そこが分からないのだろう。

 知識があったからと言って、それが使いこなせるか否かと言うのは別次元の問題。知識があっても現場で使いこなす能力がなければ難しい。テニスの知識が幾らあっても、実践練習を積まないと上達はしない。カウンセリングや精神療法でも同じ事。経験を積まないと技術は磨かれない。

 ただ、経験だけでは心もとない。最新の知識を取り入れないとね。経験が豊富になってくると、新しい知識を取り入れない傾向が強くなる。それでは困る。

 臨床家には、経験と知識のバランスが重要なのだ。



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2006年11月15日 (水)

カウンセリング・精神療法 医師の目、コメディカルの目

 あくまでも診断するのは医師なんですが、診察場面だけ患者さんを診るには無理がありそう。たかが5分、長くて10分程度の診察で何が診えるんだろうか。患者さんと長く接しているコメディカル(医療補助者)の方が良く診える、って声が時々上がる。でも、コメディカルって、医学的な知識が医師ほどないぞ、って言われそう。ドッキッ!!!

 やっぱり、医師の視点、コメディカルの視点って、どちらも必要だ。お互いの視点から検討することって、死角を少なくしていく意味で大切。でも、実際、そんなに上手くいっている訳ではない。コメディカルの視点って大切にされなかったりすることもある。

 コメディカルの視点が大切にされないと、拗ねるコメディカルがいる。どうせ、医師ぢゃない人間が情報提供しても相手にしてくれない、なんて調子で。挙句の果てに、意欲低下してしまうコメディカルもいる。まぁ、確かにコメディカルの視点を大切にしてもらえると、専門性が大切にされた感じがするし、大切にされなかったらその逆の感じがするので、拗ねる気持ちも分からない訳ではありません。でも、医者ぢゃない人間が情報提供しても相手にしてくれない、なんて自分で自分の評価をしてしまうのは、どんどん嫌な気分を育てていってしまいそうですよね。別に医師から直接言われた訳でもないのに、勝手に想像して勝手に気に病んでしまって…。

 医師が情報提供しても相手にしてくれない、と考えると気が楽になりますが、医師とコメディカルとの関係に有意義な進歩はない。そんなことを口走れば関係が悪くなります。如何に医師に情報を提供するか、工夫する事が大切なんですね。こんな所で、コメディカルの社会スキルの高低が現れる。社会スキルが低いと、ネガティブなフィードバックが生じてくるんですよね。そして、こんな事を繰り返していると、仕事が嫌になったりします。こんなコメディカルって案外多いみたいですよ。



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2006年11月 6日 (月)

カウンセリング・精神療法 カウンセリングと言う言葉に戸惑う人�

 臨床心理士の行うカウンセリング技法には、認知療法とか、来談者中心療法とか、精神分析とか、交流分析とか、色々あります。これらを心理療法・精神療法・カウンセリングと分けて使う人もいますが、混同して、いやいや総称して、カウンセリングなんて呼ぶ人もいます。

 そもそもカウンセリングと言うのは、心理学の理論を用いての対人援助の事を指していたのではなかったでしょうか。厳密に規定しようとすると一寸自信がないのですが、そんなところだったと思います。そこから、相談行為をみんな纏めてカウンセリングと呼ぶようになった感じです。圧倒的に『相談行為=カウンセリング』と信じている人が多いのではないでしょうか。 


 (認知行動療法などをしている最中に)カウンセリングって言われて受けてみたけれど、カウンセリングってこんなものなんですか。ドラマのカウンセリングの場面と違う。カウンセリングぢゃない。受けたかったのはカウンセリングです。

 数十人に一人位の割合で、こんな怒りが少々散りばめられた言葉が投げかけられます。確かに、ドラマや映画の中でのカウンセリングシーンとも違いますし、訓練的な要素が強かったりするので、カウンセリングと呼ぶには一寸無理があるように感じてしまうのも無理が無いようにも思います。ですから、半ばご指摘の通りなので、丁寧にカウンセリングたるものは…、と説明をしていきます。そうすると一応納得して下さいます。

 心理療法、精神療法、カウンセリング、と専門家も患者さんもごっちゃになっている感じ。厳密に規定するのが必ずしも良いとは思いませんが、カウンセリングはこんなものだ。と言う固定観念だけは持たない方が良いかもしれないと思うのでした。



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2006年11月 5日 (日)

カウンセリング・精神療法 カウンセリングと言う言葉に戸惑う人�

 カウンセリングと言う言葉は、随分日本人の中に浸透しています。その所為もあって、カウンセリングと言う言葉は社会に氾濫気味。色々な場面で用いられています。そして、カウンセリング、って付くと何か立派そうにも聞こえます。

 医療の場に於いても、カウンセリング、って言葉には何か期待を持たせるような響きを感じ取る事が出来ます。多くの人の捉え方は、『話を聴いて貰う事』、『話を聴いてもらってアドバイスを貰う事』、『話を聴いてもらって問題解決すること』と言った感じです。

 時に、(色々なダイエット法を試みても続かないので、話を聴いてもらうだけの)カウンセリングで体重を減らして欲しい(楽そうで良い)、等と要求される患者さんも少なからずいらっしゃいます。精神科を受診した時の理由とは大きくかけ離れているぢゃん、エステか何かのカウンセリングと間違えて捉えているのでは…、と思う訳でして、最初の内は戸惑っていましたが、最近は慣れました。

 或る意味、カウンセリングと言うのは、問題を抱えながらこれから如何して行きましょうかと考えるものなんですよね。話を聴くだけで体重を減らすなんて、私には出来ない。とりあえず目標設定がズレている場合、話を聴きながら、焦点を合わせ直す作業をしていくのです。



【役に立つ本】
セラピストという生き方―人を癒すことは、自分を癒すことです。
プロカウンセラーの夢分析―心の声を聞く技術
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セラピストの技法
心を癒す「ほめ言葉」の本―幸せのヒント
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2006年11月 1日 (水)

カウンセリング・精神療法 妊娠初期の妊婦の支援

 滅多にありませんが、子育て支援と言う事で妊娠初期の妊婦のお話を聞くことがあります。話を伺っている印象からは、妊娠初期の不安で多いのは、妊娠経過、胎児の発育状況です。この二つが圧倒的に多いです。初産の妊婦の場合は、自分自身の体の変化です。

 こんな不安を解決する為に、妊婦たちは情報を掻き集めます。自分の親、出産関係の雑誌、友人・知り合いが主な情報源。でも、不安が解消されず反って増大してしまうケースや色々な事を言われて混乱してしまうケースも少なくありません。これでは問題解決は縁遠いですよね。

 相談に来る妊婦たちは、産婦人科医、助産師等の専門家から問題解決の為の情報を得たいと思っていますが、なかなか実行には移せないことが多いです。それに私の産科領域の知識は皆無なので、相談に来た時は専門家への橋渡しをすることが中心となります。この手の不安は、臨床心理士の支援より、経験豊富な助産師の方がフォローが行き届いてますし…

 逆に、産後うつなんかの場合は、助産師には相談し易いですが、治療的な関わりは医療機関に勤務する臨床心理士が良いそうです。時折、患者さんを紹介してくれる助産師が言っていました。いきなり精神科医ってなってしまうと薬療法、って言葉が頭をかすめるようで、敷居が高くなってしまうから、先ずは臨床心理士が良いのだそうです。臨床心理士だと話を聞いてもらうだけ(薬は用いない)と言う安心感があるそうです。それに、病状によってはいつでも精神科医の援助を受けることが出来ますし…。つまり、紹介者も安心出来ると言うことなのです。

 実際、産後うつの人も案外多くて、現状を目の当たりにしている助産師はカウンセリングだけでも受けられればなんて思っているケースも多いみたいです。そんな訳で時折、産後うつの人が紹介されてくるのです。



【産後うつ】
産後うつ病ガイドブック -EPDSを活用するために
マタニティ・ブルー―産後の心の健康と治療
小児診療マニュアル
生活の木 マザーズハーブティー マタニティーブルー



【関連blog】
産後うつ・マタニティーブルーズと出産との関係
産後うつの傾向と予防

2006年10月22日 (日)

カウンセリング・精神療法 心理的な離乳

 臨床の現場で患者さんやその家族と関わっていて、子離れ出来ていないとか、親離れ出来ていないとか、未成熟な親子関係の家族に出くわす。時にそんな未成熟さが、患者さんとその家族双方のストレスをアップさせている時がある。親子関係は、親子の心理的な距離と言うものがあって、それが適切に維持されていない(つまり、心理的に離乳出来ていない)為であることが多い。


 親子の心理的な離乳には段階がある、と考えられている。それは、以下に示す通りである。

【第一段階】
 親が子を手の届く範囲に置き、子どもを抱え込もうとする段階。つまり、親は子どもを親の手の中に抱え込み世話を焼き、子どもは親の手の中で何でも叶えて貰えると信じながら育っていく段階。

【第二段階】
 親が子を目の届く範囲に置き、危険から守ろうとする段階。親は親でこれまでのように何でも子どもにしてあげたいと思いながらも、子どもの成長を意識して遣り過ぎではないかと迷い、少し距離をとろうとする。一方、子どもは、親の保護の下でやすらぎや安心を感じて過ごす。しかし、その下で満足している間はありがたいけれど、次第に欲求を満たしてくれる事を望みながらも同時に自由さを求めるので、窮屈になってくる。そして、抵抗し、子どもも親から少し距離をとる。こんな段階。

【第三段階】
 親が、自分の目の届かない遠くに行ってしまった子どもの成長を心配する段階。子どもはまだ一人立ちは無理だろうと思い、心配で子どもが危険に晒されないようにあれこれ口を出す。でも、そんなことをすると…。親は悩むのです。一方、子どもは子どもで未体験ゾーンである一人立ちには自信が無く不安や心配で一杯。本当は助けて欲しいなんて気持ちで一杯。しかし、自信がないけれど、自信があるぞ、と強調し、試行錯誤を繰り返し、経験を積み自信を持とうとする。ただ、そんな時、親があれこれ口を出すと…。ありがたいけど迷惑なので、揉めてしまいます。そんな遣り取りを通して、親は子どもの成長を察して距離をとって見守り、子どもは自立心を培っていく段階なのです。

【第四段階】
 親が子との距離を最大限大きくとり、子どもとの自立を推し進める段階。親は社会通念やしきたりに助けられながら子どもの成長を意識し、子どもを一人立ちさせようとする。子どもも同じように意識し、一人立ちを試みる。いざ、一人立ちしてみたものの、頼れる人がいない状態で孤独。そんな中から安心・信頼出来る人を探し求めようとする。そんな段階。

【第五段階】…心理的な離乳を成し遂げた状態
 子どもが親から自立し、「親子関係は対等」と言う事を悟る段階。親子関係においては、親はいつまで経っても親、子どもはいつまで経っても子どもなのだが、経済的な意味合いだけでなく、精神的にも、物理的にも、一定の距離を保ちながらも、子は支えてもらわないといけない存在、親は年老いたら支えてもらわないといけない存在だと互いに気付く段階。


 子どもの発達するに伴って親も変化し、親子関係が変化していく関係の中で良い関係が築きあげられていく。そして、心理的な離乳は、こうした段階を経ていく。突然、第一段階から第五段階へとスキップすることは無い。しかし、何らかの事情で途中で遅滞してしまったり、逆戻りしてしまうことがある。また、心理的な離乳が進んでいく中に、親の生き方、子どもの生き方が問われることが多い。夫々の段階への移行期に多かれ少なかれ躓きがある。そこを乗り越えて、心理的な離乳が成し遂げられるのだと考える。


 心理的な離乳が進むと、家族の抱えている問題が解決されると、関わりが難しいと思われていたケースが一気に症状改善してしまうなんてこともある。そんなケースは、患者さんの問題ではなく、家族の問題で、歪んだ家族のSOSを患者さんが代弁していたと言う事にだったのでしょうね。



【家族関係】
毒になる親―一生苦しむ子供
傷ついたあなたへ―わたしがわたしを大切にするということ DVトラウマからの回復ワークブック
子どもを生きればおとなになれる―「インナーアダルト」の育て方
子供を愛しすぎてダメにする親―わが子を「自立」させないと、何が起きるか!
家族支援ハンドブック―ソリューション・フォーカスト・アプローチ
事例で学ぶ家族療法・短期療法・物語療法
家族との心理臨床―初心者のために

2006年10月19日 (木)

カウンセリング・精神療法 大先生と呼ばれて

 患者さんが、先生、と呼ぶものだからスタッフからも先生と呼ばれるようになってしまった。先生、と呼ばれる身分になってしまった事に物凄く窮屈さを感じている。以前のようにさん付けで読んで欲しい、とスタッフに言うけれど、先生、と呼ばれる。あゝゝ…、苦痛。そもそも患者さんが先生と言うのが良くない。それに合わせてスタッフが、先生、と言う。

 そんな訳で、患者さんに、先生と呼ばないで、以前のようにさん付けで読んで、とお願いするけど、一向に変わらない。良くしてもらっているから、先生、なのだそうだ。先生、と呼ばれる身分になってしまった事に物凄く窮屈さを感じる。勘弁して欲しい。

 最近、先生と呼ばないで、と言っても効果が無いので、先生なんて言わないでもっと偉大に聞こえるように大先生と呼んで、と患者さんにお願いしていた。すると、患者さんの口から精神科医たちの耳に入ってしまった。それ以後、精神科医たちから、大先生、と呼ばれる身分に昇格してしまった。相変わらず患者さんやスタッフからは、先生、と呼ばれるし、なかなか思うようにいかない。

 カウンセリング場面で、患者さんに余分なことは言わない方が良かった。後悔後を絶たずとはまさにこのことだ。大先生、といつまで言われるんだろう。色んな思惑が入ってそうで大先生と言う響きは重いよ。じっと耐え忍び、禍が過ぎ去るのを待つ私でした。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年10月17日 (火)

カウンセリング・精神療法 対人不安と社会スキル

 誰でも対人関係を円滑にするための技術(社会スキル)を持っている。社会スキルは誰もが保持しているものだけど、個人個人で度合いが異なるし、習得の速度が異なります。また適切に用いられるかも異なっています。

 一般に、社会スキルが豊かだと意思疎通がし易くなったり、細かい配慮が可能な為、安定した対人関係が築き易いとされています。反対に乏しいと、ストレスフルな対人関係が築かれ易くなる。それ故、対人不安を生じさせ易くなるのです。つまり、対人不安には社会スキルが密接に影響を与えているのです。

 今日までに、『社会スキルが乏しい人程、対人関係場面で相手の言動から相手から拒否された、否定されたとフィードバックしてしまうことが多い。また、自分の振る舞いが場違いだと思い込み易い。そのため、対人関係を避けようとしたり、必要以上に怖がったりするようになってくる』と言う事が判っています。

 対人不安には社会スキルが密接に影響を与えているのなら、社会スキルを豊かにすれば…、って発想が起ってきますが、社会スキルを豊かにするのは簡単そうで難しく、難しそうで簡単。カウンセリング・精神療法では、そんなお手伝いもします。



【自己啓発の人気本】
じょうぶな心のつくり方
成長の法則
【カウンセリング本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年10月15日 (日)

カウンセリング・精神療法 船頭多くして、船、山に登る

 なかなか良くならないとの焦りから、すがれるもの何にでもすがりたいと思う患者さんやその家族を時々見かける。あれも、これも、それも。良いと言うものがあれば、良くならないかとの想いから次から次へと手を出す。駄目だと思いながらも一縷の望みに期待を託す姿は、傍から見ていて痛々しい感じがすることもある。

 あれも、これも、それも。手を出すことで満足が得られれば、私はそれはそれで良いと思う。それを否定する気等毛頭無い。満足するまでやったら良いと思う。勿論、自傷他害をしないとか、社会規範や一般常識を逸脱しないと言う条件が付きますけれど。

 一度に手を出してしまう人を見て、いつも思い浮かべるのは、あれこれ指示する人が多いために混乱している様を表す「船頭多くして、船、山に登る」と言う諺。あれも、これも、それも、一気に手を出して、一斉に色々なアドバイスを貰う。矛盾する事も多いので言ったい何を信じたら良いの???、と言う問題が起って、挙句に混乱。あらゝゝゝ…


よくある話では、
 (新興宗教の)教祖様は、「薬なんかでは(精神病は)治りません。あなたには先祖の霊が乗り移っているんです。薬は飲まないで良いです」と言う。精神科の先生は、「症状を抑えるのに必要なのでお薬を飲んで下さい」と言う。健康食品の販売員は、「これを使ったら、薬の効きが悪かった精神病が治った人が大勢います」と言う。一体如何したら良いか分かりません。

 こんな訴えをする人がいます。こんな訴えが出てくると、こちらはやっと介入出来る訳です。ちょっと意地悪に、今のままで良いぢゃないですか、なんて訊いたりします。こんな感じの遣り取りを繰り返しながら本音を出していきます。そして、あれこれ指示する人が多いために混乱している事に気付いてもらうきっかけを作ります。そして、如何したいか結論を出すお手伝いをします。


 何にでもすがりたいと言うしんどい気持ちは痛い程理解出来ますが、ただ混乱する程色々なものに手を出してしまうのは考え物なのかもしれません。「船頭多くして、船、山に登る」って奴です。



【精神科の本】
精神科に行こう!―心のカゼは軽ーく治そう
ひらきなおって行こう!―精神科に行こう!〈2〉心のカゼを治す108の方法
精神科養生のコツ
精神科にできること―脳の医学、心の治療

2006年10月12日 (木)

カウンセリング・精神療法 行き詰まる症例

 やっぱり関わり易い患者さんとそうでない患者さんがいる。関わり易い患者さんの場合、サクサクって進んでいく。しかし、そうでない患者さんの場合、行き詰まることが多い。患者さんの問題ではなく関わる側の問題であったり、誰が関わっても関わり辛い場合だったりする。患者さんにしてみても関わる側に対して同じような感覚を抱くことがあるのだと思う。

 私は関わり難い患者さんに遭遇すると、精神科医に何故関わり難くさを感じるのかスーパーバイズしてもらうことにしている。忙しいのに1時間程度時間を割いて貰っている。贅沢な身分である。行き詰まる症例の経過を説明していくと、結構自分の癖や普段通りに出来ていないから上手くいっていない事が見えてくる。問題が見えてくると、「な〜ぁんだ、こんな所で躓いていたとは…」と思えて一寸救われた感じ。そして、次回のセッションに臨みます。そこで、躓いたところを特に注意してやっていきます。上手くいけば自信回復。手応えが掴めなければ再度スーパーバイズ。今度は時間短縮バージョンで。やっぱり自分の側の問題として考えます。そんなこんなしながら、試行錯誤します。色々支えて下さる人がいると助かります。

 逆にスーパーバイズをしてもらっている精神科医の相談に乗ることもあります。こんなことをし合って頼りない人達だと思われるかもしれませんが、お互いに苦手な部分や見えない部分ってあるんです。だから、補い合って成長していくのです。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年10月 8日 (日)

カウンセリング・精神療法 失敗は許されない

 どんなことにも、失敗は許されない、失敗はしてはいけない等と信じている人って多い。日々関わっている人の中にも沢山いる。こんな風に『失敗してはダメ』って信じて日々生活するのは、物凄くストレスフルだと思うのですが、気付いていないんでしょうね。

 如何してまたこんなに失敗を怖れるのでしょうか。

 理由は沢山あるんだろうけど、子どもの頃から形を変え、質を変えて『失敗してはダメ』、『失敗すると怖い』って教育されていることが多いんですね。これが案外大きいんです。日本の社会には、波に乗るためには少ないチャンスを活かしていかないと…、なんてプレッシャーがある感じです。失敗は許されないのです。その最も代表的なものはお受験。全ての人がそうではありませんが、失敗しないようにと必死な人が多いのは周知の通りです。

 こんな感じで『失敗してはダメ』って思われることが多いのですが、人生の中で雰囲気的に失敗が許されない状況ってそんなに多くありません。でも、人生の節目だけではなく全ての事に拡大させて『失敗してはダメ』って思い込んでしまっている人達がいます。失敗に敏感になり過ぎてしまっているのでしょうね。

 全ての事に『失敗してはダメ』なんて思わなくて良いんだ、失敗に敏感になり過ぎてしまっている、と気付くと、ストレスから開放されて気持ちが楽になるんですね。ただ、頭で理解してもそれだけでは上手くいかないものです。この辺りをすっきりさせてくれるものがカウンセリングであり、精神療法なのであります。



【自己啓発の人気本】
じょうぶな心のつくり方
成長の法則
【カウンセリング本】
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カウンセリングを語る〈上〉
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2006年10月 6日 (金)

カウンセリング・精神療法 自己啓発本

 気持ちが楽になるって感じの自己啓発の本が出回っている。帯には50万部売り上げたとか書いてあってベストセラーだとアピールしてあったりする。立ち読みした限りでは、内容はコンパクトに纏めてあり、見覚えがある記載が沢山ある。どこで見かけたか、なんて思ってたら、その多くは普段患者さんに自分自身が言っている事柄だった。まぁ、常識的なことばかりなのでこの手の仕事に就いている人であれば口にする事も案外あると思う。ただ本に書いてある程ストレートに言う訳ではありませんが…

 このような本にはカウンセリングのエッセンスが沢山盛り込まれていますが、本を読んでどうにかなったなんて話は余り聞いた事がありません。患者さんに聞いても手を出して「なる程…」なんて思うけど、それだけ。時には途中で読むのを諦めてしまう。また、頭で理解出来ても行動が伴わないのだそうだ。

 自己啓発の本は、どれ位効果が上がったのかフィードバックしてくれない。その人にあった形に内容を置き換えてくれない等の問題があるのでしょうか。



【自己啓発の人気本】
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2006年10月 4日 (水)

カウンセリング・精神療法 他力本願な精神科医と言う皮肉

 精神科医の仕事ってなかなかハードだ。午前の外来診察の枠に予約の患者さんは30〜40人。そこに臨時の患者さんが上乗せされる。一人10分程度の診察なので、昼ご飯を抜きで診察しても終わるのが14時を廻っている。その後、昼食を摂り、病棟での仕事若しくは診断書等の記載が待っている。

 こんな状況下で診察をしていると、時間をかけて対応しなくてはいけない患者さんがいるのに時間がかけられないと言う問題が起ってくる。苦肉の策って感じで、カウンセリングの精神科医は依頼をする。精神科医の期待に応えられると、時間をかけて対応しなくてはいけない患者さんをどんどんカウンセリングに回して頂けたりする。患者さんにとっても、精神科医にとっても、カウンセリングを行う者にとってもありがたい話である。

 カウンセリングの依頼が多い精神科医数名に対して、一部のスタッフが、「あの先生たち、他力本願。カウンセリングで患者さんを治してもらってばかりだ」と言う皮肉を言っている。カウンセリングで患者さんを治っている、と言う行はありがたい言葉過ぎて恐縮してしまいますが、あの先生たちは他力本願と言うのは頂けなかった。昔の医療は、医者が全てを背負うようなところがあった。しかし、今は分業の時代。時間をかける必要がある人に必要な対応出来ないのであれば、対応出来る人に任せるのがしっかりした対応と言うものではないのか。

 皮肉を言われた精神科医は、カウンセリングの依頼を出した後の連携が特にしっかりしている。その為、精神科医とカウンセリングを行う者との間に信頼関係が育っていく。別に他力本願ではない。この辺りのことを皮肉を言った人は知らなかったのだろう。ただ、自ら積極的に連携をとってこない精神科医からは依頼件数も少ない。精神科医とカウンセリングを行う者との間に信頼関係が余り育っていないってことなのでしょう。カウンセリングの依頼件数は、精神科医とカウンセリングを行う者との間の信頼関係に比例する、ってこと???



【役に立つ本】
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2006年10月 2日 (月)

カウンセリング・精神療法 リズムとゆとり

 実際、これからも業務の依頼は絶える事は無いのだが、貧乏性の私は、業務が回ってこなくなったら困る、って常に思っているので、依頼は断わらないように心掛けている。無理しても依頼を受けている。そんな訳で、予定が一杯。業務時間目一杯働き、ついでに昼休まで削っている。しかし、残業はしない。これが私のポリシーだ。

 先日、電子カルテへの入力の速度がとても速いので何かに急かされているみたい、と患者さんに指摘された。昔とは比べ物にならない速さなのだそうだ。余り自覚していなくて、それが最近の普通のスタイルだと思っていたので、そんな風に指摘されて、ハッ、と我に返った。予約を目一杯入れてそれに追われて余裕が無い、と心配されているんだ。

 慣れたから入力が速くなったと思っていたけれど、余裕が無いので早く入力しているだけかもしれない。カウンセリング場面でもこんな風になっていなければ…、とあらためて、ゆとりの大切さに気付いた瞬間であった。



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2006年9月29日 (金)

カウンセリング・精神療法 見立て

 うつの治療で有名な或る心理の先生にかかると、みんな『うつ』と言う見立てが下されるなんて嘘みたいな本当の話がある。こんなことを言うと、何でもかんでも『うつ』にしてしまうこの先生って誤った見立てをする相当の『ヤブ』なのか、と思う人もいるかもしれない。

 ただ、治療者って、特定の疾患に対してのみ診断の感度が高いって言う診断や治療に得意分野を持っている。こんな風に言い切ってしまうと、そんなことあらへんで、そんなこと言ってたら日々のカウンセリング・精神療法なんてやってられない、と仰られる方もいるかもしれないけれど、治療者ってそれなりに得意分野を持っているもんだ。

 さて、冒頭で紹介した先生は、ヤブではなく腕の良い先生である。この先生は確かに『うつ』と言う見立てを連発しているかもしれないけれど、患者さんの状態を自分のイメージする『うつ』と言う概念に置き換えて見立て、その見立てに有効な関わりをしているだけのことである。そしてその結果が、うつの治療で有名な或る心理の先生と言う事なのである。

 要は、見立てが大切ではなく、その人に合った関わりが大切と言うことである。見立てが正確でも、関わり(治療法)が悪かったら良くはならんと言う事だ。



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2006年9月25日 (月)

カウンセリング・精神療法 自分が信じられない

 自分の事を自分で決めていく事は大切である。しかし、自分で決めることが出来なくて悶々としている人達って言うのは案外いる。

 人生に重要な決断をしなくていけない患者さんがいた。自分の決断に自信が持てないので決断が出来ない、と言い、如何したら良いのかアドバイスが欲しい、と訴える。しかし、自分で決めなくてはいけないことなので、こちらは状況の整理を代わりにする程度で、後は、自分が満足する決断をしたら良いですよ、と言うこと位しか言いませんでした。

 でも、やっぱり具体的な答が欲しいと求めて来ました。自分自身を信じられないのだと訴えました。私は、自分が満足する決断をしたら良いですよ、と繰り返すのみ。患者さんは、自分が満足する決断をしたら良いですよと言うアドバイスは見放されたみたいだ、と訴え続けます。それなら代わりに決めますがそれでいいですか…、と問うと、それは困ります、って言う。

 そして大笑い。

 自分の決断を信じようとする自分が信じられない。他人のアドバイスを信じようとする自分が信じられない。そんな訳で、何も決められない。そんな自分に気付いたのでしょうね???



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2006年9月24日 (日)

カウンセリング・精神療法 対話する力

 最近の精神医学に限らず医療とその周辺では、分野の細分化が進み、より細かい職人としての訓練がなされる様になってきました。

 その一方で、細分化が進むと言うことは、今まで纏めていた扱われていたものの中に新たな壁を作る事になります。そのため、分野が広がり過ぎてしまって、それら全てを扱う事になるとより多くの時間が必要になってきます。かと言って、この分野だけ手を抜こうと言う訳にはいきません。でも、教育・訓練を受ける時間は限られています。

 さぁ、どうなるのかと言うと、必要ものから優先させていきます。そんな風になっていくと、ついつい軽視されてしまうのが、患者さんとのコミュニケーションの教育です。医療に携わる専門家の人間性にお任せみたいな感じになってしまいます。

 残念な事に、専門性の細分化が進んだことで、人を見ずデータにばかり注目してしまう専門家、自分の専門性にばかりに固執して患者が話す専門外の話に耳を傾けない専門家を見かけます。つまり、これらの専門家と言うのは、患者との対話能力が低い専門家と言う事です。こんな専門家に当たってしまうとゲンナリです。その逆の専門家に当たると、ラッキー、なんですけれど…

 さて、こうした対話能力の乏しさは、患者との信頼関係を構築するのに支障を来たすと言う調査があります。患者にしてみれば、限られた時間の中できちんと話を聞いてもらえると言う実感が得られるようです。また、対話能力が優れていると、患者の話や状況から具体的な問診をしてくれます。答え易いですよね。答え易いと言うことは、即ち症状が伝わり易いと言う事。そんな訳で、対話能力って大切なんです。

 人気のある専門家は、対話能力が高い。そんな印象を持つ私です。



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2006年9月19日 (火)

カウンセリング・精神療法 脳梗塞の人の不安から

 数回脳梗塞で麻痺や脱力が起き病院に担ぎ込まれると、また脳梗塞を起こすんぢゃないかと過度に心配になる人が多い。以前、脳梗塞を起こした患者さんと話をしていて、いつ発作が来るか分からないので怖いです、と訴えていたことがあった。その時は、脳梗塞の発作についての知識がそれ程あった訳ではないし、イメージが湧かなかった。そのため、たかが発作位で、と思っていた。

 「一度脳梗塞を起こすと再び脳梗塞を起こす可能性が高く、発作が起きると体が麻痺して動かなくなってしまうので物凄く怖いものだ」と余りに患者さんがリアルに語るので、強烈なイメージが伝わり、脳梗塞のイメージを把握し易くなった。

 脳梗塞のリスクが高い人が必ずしも脳梗塞になる訳ではない。年を取った人ばかりがなる訳でもない。太った人ばかりがなる訳でもない。血液がドロドロの人ばかりがなる訳でもない。そうでない人だってなる。そして、リスクの高低に関わらず、最初は皆、思いもよらなかった、と言う。たとえ医者に警告されていたとしても…。それは当然だ。

 脳梗塞を起こした後は、軽い麻痺などの後遺症が残る。一度脳梗塞を起こすと再び脳梗塞を起こすと、再度発作が起こり易いと考えられるので、二度目からは気の持ち方が一寸違う。後遺症の軽い痺れがちょっと強くなる度に、発作が起きたら怖いなぁ、と不安になるのだ。麻痺がひどくなったら…、こんなことを想像する人も少なくない。一寸したからだの変化でビクビクしないといけなくなるのだ。この辺りは、脳梗塞を起こしたことの無い人には、なかなか理解がし難い部分なのだそうだ。

 麻痺を起こした時のことなんて、麻痺を起こしてみなければ分かり難い。想像なんてつかない人が多い。それは当然のことだ。そのため、余り脳梗塞に注意しようなんて本気で思う人って少ない。脳梗塞を経験した人の多くが、生活習慣に気を遣っている。そんな情景をみると、健康に留意しなくては…、と思ってしまう私である。

2006年9月 4日 (月)

カウンセリング・精神療法 洞察力って

 患者さんが病気の原因や影響を洞察出来るか否かを見極めることは、治療的な関わりをしていく上で大切なことであります。洞察出来ない人に洞察を求めても、言われる患者さんは酷と言うもの。

 カプラン、サドック、グレブは、誰もが共通認識を持てるように洞察の程度を纏めました。主観に頼る部分を少しでも客観的にする為にも、はっきりと基準を明示し、共通認識を持つことって、結構大切なんです。簡単に紹介してみたいと思います。


 1:病気を完全に否定する段階。

 2:病気を少しだけ認識し、援助の必要性も少しだけ認識。
  しかし、同時に否定してしまう段階。

 3:病気を認識する。
  しかし、それを他者や外的要因や器質的要因の所為にする段階。

 4:病気は、自分の中の何か分からない要因の所為にする段階。

 5:病気だと言う認識を十分に持っている。
  自分自身の不合理な感情や障害が原因と認識がある。
  しかし、こうした認識をこれから先に活用出来ない段階。

 6:病気だと言う認識を十分に持っている。
  自分自身の不合理な感情や障害が病気の原因と認識がある。
  これから先に活用出来る段階。


 こんな風に6段階に分類されています。洞察出来ない人に洞察を要求しても調子を崩してしまう人もいますし、カウンセリングを進めていく上で洞察力の有無で用いる技法が変わってくるので、臨床場面では、洞察の程度について時々意識したりするのです。



【洞察関連の本】
内観法はなぜ効くか―自己洞察の科学
現代の精神病理学―洞察と決断の構造
内観への招待―愛情の再発見と自己洞察のすすめ
ラカンと洞察の冒険―現代文化における精神分析

2006年9月 2日 (土)

カウンセリング・精神療法 特撮ヒーロー・アニメと自閉症スペクトラム

 自閉症スペクトラムの人の中には、特撮ヒーローやアニメが大好きな方が多くいらっしゃいます。そんなもん、大好きな人ぐらい世の中に五万と居ると言われそうです。しかし、一般的に言う大好きと言うのとは一線を画すような好きさ加減なので、非常にマニアック、と言う表現がピッタリかもしれません。こだわりの強さと言う症状がなせる業だと思います。

 特撮ヒーローやアニメの話をしてくれる自閉症スペクトラムの人は、とても生き生きしていています。別人のようになってしまうので、彼らの得意分野に興味を示すのは大切だと思っています。そんなことから、私もせっせと特撮の知識を入れています。会話を成り立たせるために知識を蓄えていますが、そんなに範囲は広くありません。せいぜいウルトラマンやウルトラセブン程度ですが、随分詳しくなってきました。

 さて、研修医が受け持った患者さんの1人は、自閉症スペクトラム。直接関わったことが無いので、色々教えて欲しいと研修医がやってきました。この患者さんは、顔を合わせると、研修医にマニアックな筋肉マンの話を披露するようでちょっと困惑気味だったようです。そんな研修医に、勿論言語と言うのはありますが自閉症スペクトラムの人のこだわりの部分は認めてあげないといけない…なんて話し、実は私も会話が成り立つようにDVDとか見ていたりするんですよ、なんて言った所、巻き込まれているんですね、なんて言われてしまいました。

 確かに、巻き込まれているかもしれませんが、共通の話題を持つことは必要だと私は信じていたりする訳です。共通の話題を持つと関係が上手くいくんですよね。ここでは、好きな話をして良い場所なんだと言う安心が生じるのでしょう。

 こんな事を研修医に話し、一度、筋肉マンの話に巻き込まれたらとアドバイスしてみました。

 すると、見えない面が沢山見えてきて、理解が進んだそうです。ほほほほほ、時には、巻き込まれることもテクニックとして必要なのですよ。



【発達障害理解に役立つ本】
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド←当事者・家族・知識の乏しい専門家の皆さんに好評です。
日本版WAIS‐Rの理論と臨床―実践的利用のための詳しい解説←心理臨床家向きの本
軽度発達障害児のためのSST事例集
発達障害の心理臨床―子どもと家族を支える療育支援と心理臨床的援助
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のび太・ジャイアン症候群4 ADHDとアスペルガー症候群―この誤解多き子どもたちをどう救うか
アスペルガー症候群と高機能自閉症青年期の社会性のために―よりよいソーシャルスキルが身につく
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド



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 心因による発達障害
 自閉症を含む発達障害の理解を進める
 子どもの障害を考えていく上で… Welcome to Holland
 自閉症の理解

2006年9月 1日 (金)

カウンセリング・精神療法 発達障害者の心の傷

 発達障害(自閉症スペクトラム)の人の中には、不器用で、運動音痴な人が多い。もちろんそうではない人も居るので、発達障害の人全ての特徴ではないけれど、全般的な傾向としてそんなものがあるように思う。不器用で、運動音痴と言うのは、傍目から見ていてぎこちなく異質なものとして目立ってしまうため、時として学校や社会で虐めの対象となってしまうことがある。

 自閉症スペクトラムの人の生育歴を聴いていると、虐めの話が出てくることが多い。そのため、この時の思いが心の傷として残っている事も少なくない。或る人は、余りにも虐められ、利用され過ぎたため、人は自分に害を及ぼす存在だと認識していた。とは言うものの、人恋しくなる時も多くあるようで、如何していいのか分からないと言う。また或る人は、虐められ辛い思いをするのだけれど、虐めに荷担している人たちから声掛けをしてもらうと、受け入れてもらえるかも…、と過度な期待を抱いたのだと言う。しかし、期待は期待でしかなかったらしい。自閉症スペクトラムの人とカウンセリングしていると、こんな感じの話を多くの人がしてくれる。

 話を聴いていて、人との関係を育てていくことは苦手で怖いけれど一般の人と同じように普通の人間関係が育めたらいいなぁ、と思っている自閉症スペクトラムの人が実に多いと思う。

 カウンセリング場面ではあれ、自分の話をきちんと聴いて貰えて嬉しい、と言う人も多い。そして、回数が増えることで、自分のペースで話せるようになって、緊張が軽減する人も多い。そして、そして、他者のことばかり気にして、受身的になってあれこれ考え出すのが良くないと気付く人も少なくありません。更に、深読みしなければ上手くいくなんて思える人も。

 カウンセリングで自分の話を大切に聴いて貰えると言う体験が、安心感を育み、二者関係を安定させていくのでしょうか。気持ちを受け止めてもらうためのカウンセリングって、案外有効かも…



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2006年8月29日 (火)

【カウンセリング・精神療法】発達障害と精神分析的心理療法

 精神分析的心理療法で発達障害者(自閉症スペクトラム)に関わる場合、治療者との間で診断に対する部分で共有したものがなければ、反治療的な関わりになることが多いような感じがします。学会発表の場面でも、発達障害が背景にあるのに気付かずに精神分析的心理療法を用いて、追い詰めてしまい、限りなく拷問と言ってもいいようなようなケースを見かけることが時々あります。また、発達障害者の方からも、精神分析的心理療法を受けていた時、辛かったと言う訴えを多く伺います。

 治療構造と言う枠組みがとても窮屈で、それに合わせ様として自分のペースを保てなくなってしまうようです。また、治療者の解釈が受け入れられないそうです。そのため、精神分析的心理療法を受けた後には、頭がクラクラ。

 そんな話を沢山聞いていると、精神分析的心理療法を発達障害者に用いるのは、考え物だと言う認識が強くなっていきました。

 複数の発達障害者と関わっていると、発達障害+αの障害を併せ持った重ね着症候群の方にもお目にかかることが多いです。そこで思うのは、+αの部分は先天的な障害から来る問題を補うため、若しくは適応に失敗したから生じる問題ではないかと言う事です。+αの部分ばかり目が行ってしまうと症状の改善していかなかったりするような感じがします。経験的に、精神分析的心理療法であったり、洞察を必要とする精神療法を用いると状態を悪化させてしまう感じがします。

 発達障害者との治療的な関わりは、やっぱり治す(症状を取ること)ではなく、疾病の理解であり、癒しであり、補う(社会適応技術を身につける)ことなのでは、と思います。



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2006年8月24日 (木)

カウンセリング・精神療法 発達障害者のセカンドオピニオン

 昨今、アスペルガー症候群を筆頭に注目を浴び、専門家を対象としたワークショップが各地で行われている。せっせと出かける心の専門家も多く大盛況である。しかし、幾ら自閉症スペクトラムの知識を詰め込んだとしても、臨床場面での経験がないと知識が内化(理解して蓄積)されないことが見落されている気がしてならない。

 自閉症スペクトラムではないか、と当事者が医療機関の門を叩く。本を読んでよく似た症状があるのだと訴える。知識しかない専門家は、この症状は当てはまるけれどこれは当てはまらない、等と診断基準に照らし合わせて診断を試みる。そして、最終結論として自閉症スペクトラムではないと言う結論に至ることもある。

 ある患者さんもまた他所の医療機関でそんな風に言われ、セカンドオピニオンを求める目的でやってきた。独特の拘り、刺激の捉え方、コミュニケーションの形式等、経験があればそれと診断出来る感じである。更に、生育歴・家族歴を聴取していけば、容易に診断出来る感じである。ただ、知能が高いが故に、必要な社会スキルを自分で身につけていた。この辺りが診断を混乱させた原因かなぁ、なんて思った。ただ、一般の人とは若干異なる方法を用いるので、異様な感じを受けることもあった。この辺りの情報をキャッチ出来るか否かが、知識が内化されているか否かの違いなんだろうと思う。

 自閉症スペクトラムと診断されるまで、この患者さんは、自分の努力が足りないので人間関係が上手くいかない、と思っていたらしい。しかし、診断されて、脳の障害が原因で自分の至らなさが原因ではないと感じることが出来、これだけで気持ちが癒されたと言う。

 そんなことを言って頂いて、診断作業に関わって本当によかった、と思う私でした。



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2006年7月31日 (月)

カウンセリング・精神療法 研修医に試される

 診断名は、統合失調症ですが、心理の意見を聞きたいと言うことで、研修医から心理検査及び面接の依頼を受けました。そして患者さんにご対面し、実施。しかし、雰囲気が違う。統合失調症ではない感じが120%。

 検査・面接が終了し、依頼したケースは如何でしたか、と研修医がやってきた。そこで、医者ではない職種のものが診断についてあれこれコメントを加えるのは心苦しいですがと前置きした上で、自閉症スペクトラムを含む発達障害ではないでしょうか、と根拠を添えて意見した。

 すると、研修医は、「やっぱり発達障害だって分かりましたか。発達障害に詳しいだけありますね。発達障害って診断名に書いてしまうと、若しかして偏見が入って検査結果が偏るかと思って、昔の診断名で依頼箋を書きました」と種明かしがあった。

 あゝゝ、試されていたんだ。でも、心理検査って、胡散臭さがあるし、仕方が無いよね。しかし、臨床像と面接及び検査結果を照らし合わせ説明すると、研修医は妙に納得。発達障害の症状の捉え方が勉強になりましたと感謝されてしまいました。ふゝゝ…



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 発達障害 続・デイケアの悪夢
 発達障害が脚光を浴びる前の時代
 発達障害 親の関わり方
 発達障害 デイケアの悪夢
 発達障害 心の理論課題
 療育手帳 発達障害の場合
 発達障害児との関わり した方が良い事としない方が良い事
 高機能広汎性発達障害のスクリーニング・テスト
 重ね着症候群
 心因による発達障害
 自閉症を含む発達障害の理解を進める
 子どもの障害を考えていく上で… Welcome to Holland
 自閉症の理解

2006年7月22日 (土)

カウンセリング・精神療法 非言語コミュニケーション

非言語コミュニケーションとは、こんな風に分類出来ます。

 ボディーランゲージ
  ジャスチャ-・視線・姿勢・仕草・表情
 言葉以外のコミュニケーション
  声のテンポ・高低・強弱


 非言語コミュニケーションは、人の印象形成の90%以上に影響を与えていると言う調査報告があるように、対人関係で大きな影響を与えます。

 例えば、初めて受けるカウンセリング・精神療法の場面で、手や足を組んで話を聞く精神科医やカウンセラーがいたら、どんな印象を受けますか。若しかしたら、話を聞いてくれる偉い先生は堂々としている、と考えている方がいるかもしれません。でも、大方の人は、態度がでかい、とか、威張っている感じがする、とか余り好意的な感じを持ちません。手や足を組む行為には、一寸権威的な意味合いが含まれていますから、当然と言えば当然です。ただ、こうした仕草には、その国の文化背景が反映されているので、諸外国では、又違った意味合いを持つかもしれません。

 よく話題に上る文化背景が異なるケースとして、目線と言うものがあります。アメリカでは、クライエントにしっかり目線を向けることは、関心を示しているんだよ、と言うサインになります。しかし、日本では如何でしょう。じっくり観察していると、目線を向けられるとたちまちクライエントは困ってしまうのが判ります。不安になってしまうんですね。仕草一つにしても、文化背景が異なるとこうも受け取られ方が違ってしまうんですね。

 相手の文化背景を理解し、尊重しないと、とんでもないことになってしまいます。こんなことは常識だ、って仰る方が多いと思いますが、頭では分かっていても、なかなか気をつけるのは難しい。特に、非言語コミュニケーションの場合、知らず知らずの内に誤ったメッセージを送ってしまうことがあるので、誤解を受けることも少なくありません。知り合いは、話口調が一寸軽め。駆け出しだった頃、多くの初対面の患者さんから、何か馬鹿にされているみたい、と言われました。理由を聞いても何かそんな感じ、と帰ってくるだけでした。その内、口調を変えてみたら如何???、ってアドバイスを受け、変えてみたら…。患者さんの印象ががらりと変わりました。話口調一つで印象が変りました。

 無意識の内に非言語コミュニケーションは成立してしまっていることがあり、やっぱり非言語コミュニケーションって難しいなぁ、と思います。反面、非言語コミュニケーションの意味合いを知って意図的に用いると、言葉では伝わりにくいことが伝わり易くなることも多くあります。



【役に立つ本】
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カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年7月18日 (火)

カウンセリング・精神療法 深読みは、付加読みで、不可読みなのだ

 統合失調症やうつの人にも無きにしも非ずなのですが、境界レベル(IQ=70〜79)以上自閉症スペクトラムの人は、物事、特に不快なことを深読みしてあれこれ考えて土壷にはまることが多い。傍から見ていると、物事の本質ではなく非本質的な部分に目がいってしまい、こだわり四苦八苦してしまう。そこが、自閉症スペクトラムの人のしんどい部分の一つなのだと思います。

 深読みをしなければ、かなり生活がしやすくなると思います。自閉症スペクトラムの人もそんな風に言います。でも、判っちゃ入るけど止められない深読み。事実に色んなマイナスの事を結び付け(付加読み)、自分自身に駄目だしをして自分の自尊心を傷つける(不可読み)発想をします。場合によっては、自分自身が自尊心を傷つける発想をしているのに、それを受け止められなくなって、他罰的な発想・言動に転じる場合もあります。病的と言うよりは、こんな発想しか出来ないと誰もがこんな風に反応してしまう反応と考えた方が良いかもしれません。

 そう言った思考パターンは、自分の発想を修正する(補う)技術を身につけていくことによってある程度の対処は可能になってきます。しかし、成人の場合、人格と言うか、価値判断と言うか、そう言った部分が、完成されて固まってしまっているので変えるには、時間も労力もかかります。更に、関わり方やそのタイミングなどが難しく、時として治療的な関わり自体が深読みの対象になることもあります。

 一部の自閉症スペクトラムの人たちは、こうした自分のパターンを察知して、発想を修正する自分なりのマニュアル(ルール)をもっています。例えば、最初に思いついたことを信じない、とか、こんな場面ではこんな風に捉えるのが無難、とか。こんな具合で対処すれば失敗がない、と子供の頃から経験を通して学んでいるのです(行動療法的な方法を用いています)。

 多くの自閉症スペクトラムの人たちは、深読みをしなければ上手くいくことが多い。深読みは、付加読みで、不可読みなのだと思えるようになれると少し楽になることが出来る。その辺りのサポートをカウンセリングや精神療法で補えることが出来ると良いと思いますが…、関わる側の問題としてなかなか扱える人が育っていないと言う現状がある。



【発達障害理解に役立つ本】
軽度発達障害児のためのSST事例集
発達障害の心理臨床―子どもと家族を支える療育支援と心理臨床的援助
友達ができにくい子どもたち―社会性の発達と援助法
発達障害児者の問題行動―その理解と対応マニュアル
アスペルガー症候群と学習障害―ここまでわかった子どもの心と脳
のび太・ジャイアン症候群4 ADHDとアスペルガー症候群―この誤解多き子どもたちをどう救うか
アスペルガー症候群と高機能自閉症青年期の社会性のために―よりよいソーシャルスキルが身につく
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド



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2006年7月 7日 (金)

カウンセリング・精神療法 問題と言う認識がない

 抱えている問題を問題として認識しないと、治療的な関わりどころが見えてこない。抱えている問題を合理化・否認して何とか平静を保っているのに、態々、貴方の抱えている問題は〜です、なんて言う訳にもいかない。ネガティブなメッセージになってしまう。そんなことをしたら、自我防衛を破綻させてしまうことにもなりかねない。とりあえず、患者さん自身がそれで良いと思えば、それで良いのだと思う。但し、反社会的問題を起こさない、とか、自分や他人や生き物を傷つけることをしない等のお約束が守られることが前提となりますが…。

 こんな時にはひたすら待つに限る、って経験的に感じています。しかし、以前、「何故もっと積極的に介入をしていかないのですか。患者さんは問題を抱えて来ているのに、問題を認識するまで待っていたら患者さんの大切な時間やお金が無駄になってしまい、不利益を被らせてしまう」と精神科医から言われたことがありました。確かに、抱えている問題を問題として認識するのを待つのは時間がかかります。でも、自分の気持ちの中で何とかしようと言う気持ちが芽生えない限り、難しいと思ってしまうのです。…かと言って放って置く訳ではありません。そんな気持ちを芽生えさせるためのテクニックを使います。

 この世界に入った頃、憧れていた精神科医がいました。この先生は、忙しいこともあってこんな場合、「自分の問題として捉えられるようになってから診察を受けに来てください。終診です」と言っていたそうだ。私は、そこまで言い切る自信がない。いやいや、そんなにストレートには言えない。

 そんな訳で、ひたすら待つ。患者さんは、問題があると思うから、カウンセリングを受けに来ている訳ですものね。



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2006年7月 5日 (水)

カウンセリング・精神療法 二者関係を維持する

 親の仕事の都合で小中高と転校に次ぐ転校。そしてどこの学校でも虐めに虐め抜かれた患者さんがいた。虐め抜かれた事で、この患者さんはず〜っと極度の対人不安で悩まされている。活発で社交的な人が怖い、と言う。そんな人を見ると、何かされるのではないかと感じ、虐められた時の事が生々しく蘇り、虐められた気分になったしまうのだと言う。

 カウンセリングを引き受けた当初、私に対してもかなり怖いと思っていたようだった。精神科医にそんな風に漏らしていたそうだ。そして、回数を重ねる度に、この人は安全だ、思ってもらえるようになった。ここまで辿りつくのに、大体、3ヶ月位かかったでしょうか。この患者さんの心の傷の深さを考えれば早かったかもしれない。

 その後、治療者と患者と言う二者関係が、育っていった。最近では、自分の思っていることを言っても良いんだ、と言う事を実感出来る様になってきた。但し、カウンセリングの場面だけ、と言う縛りがある。別にこちらが思っていることを言っても良いよ、と言った訳ではない。この患者さんが、雰囲気を読み取ってそう思ったのだ。しかし、カウンセリング以外では相変わらず、自分の思っていることを口にしてはいけない、とずっと思っていっている。

 もう少し多くの人に安心感を感じる事ができたら、少し気持ちが楽になるのだろう、と思う。何とかしたいと言う気持ちは日に日に強くなっています。でも、やっぱり、人と関わるのが怖くて、進めない。無理に背中を押しても意味が無いので、じっくり踏ん切りがつくまで、見守る私です。



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2006年7月 3日 (月)

カウンセリング・精神療法 合う・合わない

 カウンセリングや精神療法を受けている患者さんが、合わない、状態が変わらない、と言うことで転医してくるケースがあります。時に、本当にビックリするような有名どころの先生の紹介状を持参してくる患者さんがいて、本当にびっくりします。

 精神科医からそんな患者さんのカウンセリング依頼箋が来ると、正直言って、有名どころの先生と比べられたらかなわんなぁ、なんて思って緊張してしまいます。依頼箋が届いた段階だけでこんなに緊張する私は、まだまだ未熟者です。

 インテーク(初回面接)で患者さんとご対面。その頃には、緊張は消えています。出来る事をすれば良い、と言う気持ちに切替完了済。インテークは臨床像を見立て方針を立てていく上で重要なので、全力を注ぎます。そして、2回目から、カウンセリングに突入。

 上手く進展していかない患者さんはいます。しかし、それ以上にそれなりに改善していく患者さんもいます。若しかしたら、技術以上に相性と言うものが大きく左右しているかもしれないですが、有名どころの先生が上手くいかなかった患者さんの状態が良くなっていくと、何か嬉しくなってしまうやっぱり未熟者の私です。 



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2006年6月24日 (土)

カウンセリング・精神療法 患者さんの心得

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 患者さんは、医者にかかった時、緊張して言い忘れたり、説明内容がよく判らなかったりして、困ると言います。患者さんが多い大きな病院では、一人当たりの診察時間が限られていることもあって、そんな傾向が強くなっていきます。そんな時の為に、医者にかかる際の心構えをまとめたのが、『新・医者にかかるための10か条』です。


伝えたいことはメモして準備
 一人当たりの診察時間は短いので、如何言う症状が出たとか、どんなことが起こったか、どのような薬を飲んでいるのか、薬剤による副作用の有無やアレルギー反応等、要点を予め纏めておくと良いです。また、患者さん自身で説明しにくい時は、家族の協力があると良いです。診察場面で戸惑うことなく短時間で伝えることが出来ます。纏まり悪くくどくど話していると、医者も人間ですのでイライラしてしまうこともあります。

対話の始まりは挨拶から
 挨拶はコミュニケーションの基本です。一方通行のコミュニケーションを防ぐためにも、診察の初めと終わりに挨拶をすると良いと思います。

よりよい関係づくりはあなたにも責任が
 よりよい関係を作り上げられるように心掛ける事が、信頼関係を築くための第一歩。中には、偏屈な医者もいるので、苦労しますが…

自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
 診察室に入って椅子に座っただけでは、医者は的確な診断は出来ません。そこまで全てを見通せる医者はいません。苦痛に感じていること、気になること、今まで罹った病気(既往歴)等の情報を伝えることで、診断は正確さを増していきます。…と言う事は、的確な治療方針が立て易いと言うことです。

これからの見通しを聞きましょう
 医者の考えを聞くのは失礼だからと言って、聞かない患者さんが時々いますが、これから如何なっていくのか、如何言う治療をしていくのか、等を聞きましょう。見通しが立てられると、気持ちが楽になってきます。

その後の変化も伝える努力を
 治療や薬によって、どの様に体が変化したのか、伝えないと、医者には状態が把握出来ません。調子が悪くなっているのに、これを伝えなかったばかりに、医者は順調に治療が進んでいると思ってしまうことがあります。

大事なことはメモをとって確認
 医者の話すことをきちんとメモを取り、判らないことは何度でも確認していくと良いです。

納得出来ない時は何度でも質問を
 何度も聞くと医者に失礼だ、と思い、判った振りをする人もいますが、これはトラブルの元になりかねないので避けた方が良いと思います。何度聞いても判らない場合は、もう少し簡単に説明して欲しい、と医者に言ってみるのが良いかも知れません。

医療にも不確実なことや限界がある。
 ここは、かなり重要で、忘れ去られてしまうところです。医療も完璧なものではないのです。それ故、医師と患者とが協力して、ベストを尽くすことが大切です。その為には、医者と共通認識を持って医療を受けることが大切です。

治療方針を決めるのはあなたです
 説明を聞いて納得した上で、治療を選択するのは患者さん自身です。医者は良かれと思う治療であっても、患者さんの意思を無視して治療は出来ません。


 これが、『新・医者にかかるための10か条』ですインフォームドコンセント(医師による説明と患者の理解・選択に基づく同意)を患者の側から普及することを願って『医者にかかるための10か条』を改訂したものです。

 この辺りのことを意識して治療を受けていくと、短時間の診察が更に有意義なものへと変わっていくかもしれません。

2006年6月22日 (木)

カウンセリング・精神療法 精神科の敷居は高いのか

 カウンセリング4回目。これまで、この高齢の患者さんや家族の抱えている問題を整理・調節していったところ、患者さんの抑うつ感等はみるみる軽減されていきました。患者さんは、元気になったと大喜びで、大満足。でも、私の見立てでは、今後数回は揺れるかなぁ、と言ったところです。


 医療機関以外でカウンセリングをしていませんか。精神科の敷居って高いので…。近所の人に見られたら気まずいし…。医療機関以外でカウンセリングをしているようだったら、そちらに変わりたい。していなかったら、料金は世間の相場でお支払いするので、個人的にカウンセリングをして頂けませんか。

 患者さんが、カウンセリング終了間際に、ちょっと宜しいでしょうか、と前置きをして聞いてこられました。


 精神科の敷居が高いのは理解出来ますが、残念ながら、余所ではしていません。それと、このカウンセリングは医療の枠の中でやっているものであって、医療の枠の外に移して個人的なカウンセリングをするつもりはありません。

 当然の対応ですけれど、正直なところを話した。そして、継続して医療の枠でカウンセリングを受けて頂く事にした。


 昔に比べれば、低くなったと思うのですが、やっぱり精神科の敷居は高いかも…。そんな風に思った。特に御年を召された方にとって精神科のイメージって悪くて、敷居が高いと感じる人が多い。精神科と言うものについて、あれこれ深読みをして、更に高く感じる。何か自滅している感じですよね。

 一方で、最近の若い人の中には、内科にかかるようなお気軽さで精神科を受診する人も多い。自分って一寸おかしいと思うから診察を受けて診断してもらおうと思いました、なんて言う高校生なんかも案外いる。若しかして精神科への偏見はゼロ???。こんな風だったら、将来、精神科って気軽に通えるようになるのかなぁ、って思うこともある。



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2006年6月19日 (月)

カウンセリング・精神療法 偽る必要がないのに…

 何の根拠もなくカウンセリングは効果的だと信じている患者さんは案外多いかもしれない。でも、実際、相性、治療意欲、カウンセラーの技量、病態のレベルの問題等あって、なかなか効果的が上がらない場合もある。精神療法やカウンセリングで効果を期待する場合こうした要素が大きく作用する。精神療法やカウンセリングと言うのはそんなものだと思う。

 時々、精神療法やカウンセリングには即効性があると信じて、セッション2回目、若しくは3回目に、不安が減ってきました、焦りがなくなりました、と話す患者さんがいる。こちらは、セッションでのやりとりを通して、まだまだかなぁ、と感じているのに、調子が良くなってきましたと言う発言に違和感を覚え、やんわり伝えます。

 すると、精神療法やカウンセリングは直ぐに効くって聞いていたから自分だけ効かなかったら恰好悪くって…、と返ってくる。 

 みんなと違うと言う思いがそんな風にさせたのですね。治ったり、癒されたりする早さって人それぞれなんだから、偽る必要はないと思います。いつもそんな風に返す私でした。

 時に、精神療法やカウンセリングを受けて早く良くならないと先生に悪い、と言う人たちもいる。自分の為の精神療法やカウンセリングだからね、なんて…言いますが、一寸複雑な気分。



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2006年6月14日 (水)

カウンセリング・精神療法 High E.E.な専門家

 精神科疾患の再発を高める要因に家族の感情表出の仕方が挙げられる。陰性感情が患者さんに向けられると再発の可能性がぐんとあがる。この他にも、厳し過ぎたり、心配し過ぎたり、過干渉になり過ぎたりしても再発の可能性がぐんとあがる。専門家は、このような家族を、High E.E.家族とか、高E.E.家族と呼んでいる(E.E.とは、expressed emotionの事で、家族の感情表出と訳されている)。

 High E.E.家族が異常な家族かと言えば、そんな事は決してありません。患者さんの事を思うが故に出てくる自然な反応です。その気持ちがちょっと高くなってしまうとHigh E.E.にシフトしていってしまうだけの事なのです。しかし、家族の自然な反応だ、といってうつつを抜かしていると大変。それでは患者さんは、どんどんストレスを抱えこんでしまいます。そして、治まっていた症状が現われてきます。そんな風になってしまうと、家族の負担が増え、回数が増える毎に、陰性感情が育っていきます。まぁ、こんな感じで更なる悪循環を繰り返していきます。そんな訳で、専門家はHigh E.E.家族に対して、カウンセリングや心理教育等を通しアドバイスをしています。

 にも関わらず、専門家自身がHigh E.E.家族と同じようにHigh E.E.で患者さんに接している場合があります。このような場合でも、患者さんに悪影響を与えます。何とかしたいと言う一心で厳しく接する気持ちは分からない訳ではありませんが、そんな対応ばかりでは逆効果。そんな対応に反応して症状が悪化してしまいます。

 このような専門家もHigh E.E.に関する知識をもっているのですが、患者さんの家族だとHigh E.E.は具合が悪く、家族以外なら大丈夫だと思ってしまうのでしょうか。家族であろうとなかろうとそれはマズイと思いますけれど…



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2006年6月12日 (月)

カウンセリング・精神療法 対象者の違い

 カウンセリングとは言わないけれど、友達や親・兄弟、先生、職場の上司、時には占い師に話を聞いてもらうことで、気持ちが整理出来たり、和んだり、割り切って考えることが出来たりする経験は、誰にでも一度はあると思う。人って、日常生活の中でカウンセリングに似たことをしばしば経験して、その効果を実感しているのだ。

 カウンセリングと言うのは、実に多くの人を対象にする。病気・障害を持った人からそうでない人まで色々な人がカウンセリングの対象者。

 時々、病気・障害を持った人とそうでない人の違いについて、他の医療機関に勤める同職種の友人達と話すことがある。結論は、病気・障害を持った人と関わる場合は、それなりの精神医学の知識や臨床経験(数多くの症例を通して学ぶ経験)、カウンセリングの知識が必要になってくるし、何よりもカウンセリングを受ける側の自我(心)の強さが明らかに違う分、病気・障害を持った人の方が難しい、と言う話になる。障害により自我機能が影響を受けて入ることが多いので、その分すんなりいかない。これは、当然と言えば当然のことのように思う。

 …かと言って、病気・障害を持った人がカウンセリングの効果が全くないかと言えば、そんなことはない。勿論、カウンセリングが不適なケースもあるけれど、多くのケースで一定の効果はあるけれど、サクサクっていかない事が多い。順調そうに言っていても、しんどい問題を抱えきれずに不安定になって調子を崩してしまうことが何度もある。ただ何度も何度も挫折する中で、得るものがあるのも事実である。しかし、何度も何度も挫折する中で、結果が見えないと意欲が低下して、嫌気がさしてしまう人もいるし、カウンセラーを渡り歩く人もいる。

 カウンセリングを受けるだけでは、問題は改善されない。如何に問題を背負っていくだけの力があるか、そこが大きな問題となる。病気・障害を持っている人の場合は、そうでない人に比べ、問題を背負っていく力がより必要になってくるのでしょう。カウンセリングの目的が癒しの場合を除いて。



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2006年6月10日 (土)

カウンセリング・精神療法 Evidece Based Medicine(EBM)

 Evidece Based Medicine(EBM)。日本語にすると「科学的根拠に基づく医療」。治療方針を決めていくにあたって、医師をはじめとする医療従事者の権威や専門性に基づく経験や直感に頼るのでなく、科学的根拠に基づいて進めていこうとする考え方で、科学的根拠の信頼度が高い順に、以下のように、分類されています。

 信頼度� 最も信頼される大規模な臨床試験結果
 信頼度� 小規模な臨床試験結果
 信頼度� 他の医学研究・報告
 信頼度� いわゆる権威者や団体の意見
 信頼度� 単なる専門家の個人的意見 


 昔ながらの権威や専門性に基づく経験や直感に頼る方法だと、患者さんは治療に対する不安と不信感だけが残ってしまうと言う事態を招くことがありました。どのような医学的証拠に基づいているのか、その信頼度を明らかにしなかったためです。そうした不安と不信感を軽減し、納得のいく医療を受けられるためにこうした考え方が広がってきました。

 カウンセリングを始める際、どのような医学的証拠に基づいているのか、その信頼度を一通り説明した上で用いる治療法を患者さんと一緒に決めていくことがあります。そんなに複数の治療法を使いこなせる訳ではありませんが、今までに用いた事があり、有効だとされているものを2〜3種類リストアップする程度ですが…(勿論、過度な期待をもたせるような説明をしないように気をつけています)。しかし、このように、医学的証拠とか、信頼度を説明していくことで、患者さんの中には、治療意欲が上がっていく人もいます。

 納得のいくカウンセリングを受けていると言う実感があるため、動機付けがしっかりして、意欲が高い水準で維持されるのでしょうか??? 



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2006年6月 9日 (金)

カウンセリング・精神療法 認知症患者さんとの関わり方のヒント

Kyyn9lzj

 認知症の患者のケアは、単に、○○療法・リハビリ・薬療法等の医療行為をする身体ケアが中心でしたが、最近はその人らしさを尊重するケアにシフトし始めようとしている。つまり、その人らしさを尊重するケアとは、現在の心理を大切にしながら、その人のニードを満たしていくケアを進めていくと言う事です。そして、こうしたその人らしさを尊重するケアを、person centered careと呼ぶのだそうです。新しい概念で、トム・キッドが1997年に提唱したものです。

 認知症の患者さんの持っているニードを満たすことがケアをしていく上で重要なのです。このトム・キッドが提唱したperson centered careは、患者さんの持っているニードの理解に役に立つものです。そして、こんな風にモデルを考えました(図参照)。中心にあるのは愛(love)で、愛されたいと言うニード。それを取り囲むように患者さんには、comfort ・identity ・inclusion ・attachment ・occupation と言う5つのニードがあるのです。その内の1つでも満たされれば、残りの4つにも波及していくそうです。


 患者さんの5つのニードは、以下の通りです。

安定していたい(comfort)
 患者さんの「安定していたい」、「安らかでいたい」と言うニード。
その人らしさ(identity)
 患者さんの「自分らしさを保ちたい」と言うニード。
帰属意識(inclusion)
 患者さんの「皆と同じでいたい」と言うニード。
愛着(attachment)
 患者さんの「家族との絆や仲間との絆等を保っていたい」と言うニード。
役割意識(occupation)
 患者さんの「何かの役に立ちたい」と言うニード。

 確かに、臨床の現場に目を向けてみますと、知的能力の低下し、トラブルを起こすと言うことで施設や病院に入れられてしまう認知症の患者さんは少なくありません。誰にも相手にされなくなり淋しいと言う認知症の患者さんの心理は余り注目されません。こうした心理を大切にしながら注意を払おうとしているのが、person centered careなのです。

 そして、こうしたアプローチを実際に行い、自発行動が増えた、話を聞いて欲しいと言う欲求が増した等、認知症の症状が改善したケースは多く報告されています。また、person centered careは、認知症の患者さんだけでなく、様々な疾患の患者さんにも適用出来るものです。5つのニードを大切に扱うことが、治療に繋がるのです。そして、医療現場で、医療スタッフや家族がどのように患者さんに接していくのか、とても重要だと思います。



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2006年6月 7日 (水)

カウンセリング・精神療法 不調だと言うと薬が増える?

 診察場面で心(精神)の不調を訴えると主治医(精神科医)に薬を増やされるのではないか、と思って、言い出せない患者さんが案外いる。主治医でなくても、精神科外来の看護師や臨床心理士等、症状について相談にのるスタッフに対しても同様で、不調を訴えると主治医に連絡されて、薬を増やされるのではないか、と思ってしまう人もいる。ただ主治医に対してよりも防衛が低下するので、ポロリと口にしてしまう患者さんもいますが…

 再発の兆しがある場合や急性期のような場合、危機介入と言う事で薬を増やす場合があります。しかし、ちょっとした変化については、経過観察をする事が多いようです。もし、不調を訴える度に主治医が薬わ増やしていたらどうなるでしょうか。患者さんは、決して不調だなんて訴えませんよね。そんな事ぐらい精神科医は承知しています。

 でも、どうして不調を訴えると精神科医に薬を増やされるのではないか、と思うのでしようか。

 知り合いの精神科医の多くは、薬を増やす必要がある時は、説明をして同意をえます。増やしても増やさなくても良い時は、その旨を伝え、患者さんの希望を聞き判断します。増やさなくても良い時は、様子をみましょう、と言い、調子が悪くなったら直ぐに受診して下さいと言っています。にも関わらず、不調を訴えると薬を増やされるのではないか、と思う患者さんがいます。

 もう少しだけ、精神科医を信じられたら楽なのにね。治療は薬物療法だけではないし…



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2006年6月 2日 (金)

カウンセリング・精神療法 守秘義務

 患者さんがカウンセリング場面で安心して話が出来るのは、守秘義務があるからです。カウンセリングを通して知り得た患者さんの個人情報を外部に漏らしてしまっては、患者さんとは話しなんてできませんもんね。

 私のブログの中にカウンセリング場面での話を載せていますが、やはり人物特定が出来ないように状況や設定を変えている場面がありますし、詳細を省いています。たとえ患者さん本人が読んでも自分の事だと分からないと思います。そうぢゃなければ、載せられません。

 この守秘義務の扱いって結構難しいです。私は、患者さんが重要な事を話した時には、原則として、治療者間で情報を共有していいか、と確認するようにしています。この場限りにして欲しい、と言われたら、秘密にします。もちろん例外もありますが…

 でも、治療者間でどこまで情報を共有していくかって難しいです。守秘義務ばかりに拘って微塵も情報の共有をしなかったら、カウンセリングで何をやっているのか全く見えない状態なってしまう。かと言って、筒抜けでも困ってしまう。

 情報の共有をしていい、と了解をとっているケースとの間でも起こることですが、治療に直接関わっていないスタッフが、勝手にカルテ記載を読み、診察・カウンセリング場面での話を患者さん本人に、こんな事で悩んでいるの、って感じで話してしまうことがあります(こう言った行為をする顔触れは大体決まっています)。勘弁してくれよな、って思います。

 同業者の中には、カルテにカウンセリング場面の内容を記載せずカウンセリング情報共有ノートを作り、そこで担当スタッフ間で情報の共有している人がいます。担当以外のスタッフからの記録の覗きを防止するために。主治医でない医者若干一名が、カウンセリングの記録を患者さん本人の前で読み上げてしまい、複数の患者さんとの関係が悪化してしまったと言う苦い経験をもっているためです。手間がかかる作業、ご苦労様です。

 主たる治療者が患者さんとの間で幾ら守秘義務を全うしても、主たる治療者以外のスタッフも守秘義務を意識しないと患者さんには守秘義務が全うされているとは感じにくいのでした。



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2006年5月15日 (月)

カウンセリング・精神療法 街中で出会う

 街中で患者さんに出会うのって、病態水準が大きく関与してきますが、結構気を遣うデリケートな瞬間です。普通に振舞ったら良いんぢゃないの、なんて思う方が多いのではないでしょうかね。確かに、普通に振舞うことが基本路線なのですが、精神科の患者さんの中には、精神科職員に話しかけられるのを強く嫌がる人と強く望む人がいます。

 話しかけられるのを強く嫌がる人と言うのは、精神科職員に話しかけられると精神科通院が周りの人に知れ渡ってしまうのではないか、と言う強い不安を持っていることが多く、会釈でもしようものなら不愉快な気分にさせてしまいます。逆に、声掛けをして欲しい人は、会釈だけで済ましてしまうと、無視された、嫌われてしまった、と一寸被害的になってしまいます。
 そのため、この辺りの情報を考慮して、対応をするんですね。もし、そんな事前情報がなければ、とりあえず軽く会釈だけに留め、次にカウンセリングや精神科外来で顔を合わせた時に、先日お会いしましたよね、なんて水を向け、気がついていたよ、とメッセージを送ります。そして、声を積極的に掛けた方が良かった?、なんて聞いています。迷惑だった、と返ってきたら、次は知らん顔しておくからね、なんて返しています。逆に、しっかり声掛けをして欲しい、と言う場合は、こんにちは、等の挨拶をするように心掛けるね、なんて返しています。先ずは、安心出来る二者関係が大切ですから。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年5月 2日 (火)

カウンセリング・精神療法 思うようには…

 願い事が叶わなかったり、願い事が叶い過ぎたり…。世の中、そんなに思い通りに上手くいかない。、そんなもんだろうと思うけれど、そうは思えない人が多い。



 昇進したいのに昇進出来ない。やっと昇進したのにキャパシティを越える大役で潰れてしまった人。

 結婚したいのに相手が見つからない。やっと結婚を前提に付き合う相手が見つかったのに付き合い方が分からないと不安に陥る人。


 色んな悩みを抱えた人がやってくる。気持ちや期待が強ければ強いほど思うようにいかないと、不快感情は色濃く現れる。当然なことだけれど、気付かない人は多い。仮令気付いたとしても、気持ちや期待を和らげる方法が分からないと言う人も多い。如何したら良いのか、カウンセリングの場で答えを求めてくる人も多い。



 如何したら良いんでしょうね。難しいですね。何か良い考えをお持ちではありませんか。アドバイスを貰ったら何とかなるって思っていましたとしたら、期待を裏切ってしまって申し訳ない。思うようにはなかなかいかないでしょう。世の中、そんなもんですよ。一緒に考えましょう。カウンセリングって、こう言うものですよ。

 こんな具合でお返しする。すると、頼りないと言って次から来なくなる人もいる。私は、頼りないのが良い頼り、なんて言うのが、患者さんの主体性を程よく維持出来て良いと思っていますけれど、思うようには、なかなか、なかなか…



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
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2006年4月26日 (水)

カウンセリング・精神療法 自閉症スペクトラムの人たちへのカウンセリング

 成人になって診断された自閉症スペクトラムの人たちへのカウンセリングを始めるようになって、4年目に突入した。殆ど知識がない状態からの出発だったので、失敗を沢山した。専門書やワークショップでの知識では、無理があることを痛感した。最近になってやっと自分が歩んで来た道を振り返ると、何かしら見えるものがある、と思えるようになってきた。たかが4年、されど4年。短いようで長かった。

 最近、ふと思うことがある。
自閉症スペクトラムの人には、対人関係のトレーニング的な関わりも必要なのだが、それ以前に自閉症スペクトラムの人が安心出来る人間関係を築くことが大切なのだろう。安心感の確立がなくして、対人関係のトレーニング的な関わりをしても難しい。逆に、安心感が確立していれば、対人関係のトレーニングをしなくても、関わりの中で気付く事が多い。

 自閉症スペクトラムの人たちは、その障害故に、社会生活の中で除け者にされあり、嫌われたり、敬遠されたりすることが多い。何処へ行っても自分が受け入れられないの、何か人を遠ざけるオーラがあるのではないか、と思っている人も少なからずいる。カウンセリングの場であっても受け入れられると言うポジティブな体験が出来るのが、非常に大きいのだと思う。ここが確立すると、関わり合いの中での揺らぎが抑えられる感じがする。
逆に、関わる側とのポジティブな体験抜きでトレーニングだけになってしまうと、関わる側に対して不信感が生じた時に、社会で上手くいかなかった時の事が浮かんでしまい、気持ちが揺らいでしまうようだ。

 安心感を確立していく意味では、自閉症スペクトラムの人たちが定期的にカウンセリングを受けることに私は大賛成です。そのため、私は積極的に受入れています。

【補遺】
 尚、関わる側としては、スペルの原則を頭に入れておく程度の配慮は最低限必要だと思います。

 イギリス自閉症協会は発達障害児との関わりの中から、関わる上での重要な事を見出し、SPELLの原則と名付けました。発達障害に関しての普通程度の知識があれば、ご存知だと思います。

SPELLの原則
 Structure簡単で明瞭な枠組みの設定
 Positiveポジティブに関わる(ほめる)
 Emphasis共感(理解)をしてあげる
 Low arousal刺激が多過ぎると混乱するので、低刺激
 Linksきずな(地域とのつながり、協力)



【発達障害理解に役立つ本】
軽度発達障害児のためのSST事例集
発達障害の心理臨床―子どもと家族を支える療育支援と心理臨床的援助
友達ができにくい子どもたち―社会性の発達と援助法
発達障害児者の問題行動―その理解と対応マニュアル
アスペルガー症候群と学習障害―ここまでわかった子どもの心と脳
のび太・ジャイアン症候群4 ADHDとアスペルガー症候群―この誤解多き子どもたちをどう救うか
アスペルガー症候群と高機能自閉症青年期の社会性のために―よりよいソーシャルスキルが身につく
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド



【関連blog】
 発達障害 情報の整理はなぜ必要か
 発達障害 急げ、発達障害の専門家の育成(期間限定
 発達障害 成人期以降に診断
 発達障害 続・デイケアの悪夢
 発達障害が脚光を浴びる前の時代
 発達障害 親の関わり方
 発達障害 デイケアの悪夢
 発達障害 心の理論課題
 療育手帳 発達障害の場合
 発達障害児との関わり した方が良い事としない方が良い事
 高機能広汎性発達障害のスクリーニング・テスト
 重ね着症候群
 心因による発達障害
 自閉症を含む発達障害の理解を進める
 子どもの障害を考えていく上で… Welcome to Holland
 自閉症の理解

2006年3月31日 (金)

涙に理由は必要なのか???

 涙が出る理由が判らないんです。必死に自己主張する時に涙が出る。何故涙がこぼれてくるのか。何故、嬉しくも、悲しくもないのに涙が出てくるのか、判らない。

 こんな訴えがあった。話を聴いている限りでは、如何やらそんな時は決まって自分の心の中をモニター出来ていない感じ。一種のエアポケットにでも入り込んでしまって、尋常ぢゃない状態になっているようだ。


 涙に理由は必要ですか。理由のない涙だってあって良いぢゃないですか。こんな風に聞いてみる。


 すると、悲しいから、嬉しいから、って人は泣く。だから、人は理由があって泣くもんだと思っていた。でも、理由のない涙があっても良いですね。そんな風に返ってきた。


 嬉しい、悲しい、と思っても、それだけで涙は流れ出るものでない。自然に出てくる。深く掘り下げれば、涙が流れ出るには何らかの理由があるのだろうが、理由のない涙だってあって良いぢゃないか、と割り切って捉えることも時には大切なんだと思う。その時は理由が分からなくても、後になって涙の理由が分かる時だってあるし…



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

カウンセリング・精神療法 所詮、病院の人ですもんね

 所詮、病院の人ですもんね。

 時々、しんどくて仕方がないです、と訴える人格障害の患者さんから、「所詮、先生は病院の人ですもんね」、と言う言葉が発せられる事がある。次の言葉は滅多に語られることはない。けれど、次に続く言葉を考える事を抜きに、返答は慎重にならざる得ない。

 時々、「所詮、先生は病院の人ですもんね」と言われ、必死に弁解する人を見かける。しんどさを分かって貰えない、と言った具合に次に続く言葉を考えたのであろうか。経験的に振り返ってみると、そんな風に感じてしまうと、気持ち的に揺れに揺れてしまう事が多い。また、そんな気持ちの裏側には、この患者さんには自分が関わっていかないと駄目だ、と言う治療者サイドの思い込みがあるように感じる。そして、そんな治療者サイドの思い込みが患者さんに伝わって、患者さんの先生が何とかしてくれると言った幻想が膨れ上がっていく感じがする。
 人格障害の患者さんと関わるようになって幾年月が流れ、『先生は病院の枠に収まっている人だからそこから飛び出して関わって欲しい』、と言った具合に次に続く言葉を考えるようになった。だから、こんな場合、「そうそう、ご飯を食べるために病院に勤めているよ。へ〜ぇ、知らなかったの???」と、返すことが殆ど。当然の事ながら、患者さんの先生が何とかしてくれると言った幻想は膨らまない。それでも、更に一歩踏み込んで、具体的な要求をしてくる人がいる。そんな時は、「気持ちは分からない訳ではないけれど、気乗りをしない関わり(治療の枠組みから飛び出てしまう関わり)をして今まで上手くいった例がないので、止めておきます」と、言います。

 こんな対応をしていると、冷たいと思われるかもしれないけれど、受けられない要求はやんわり受けられない、と返した方が良いと信じている。無理な関わりはどこかで破綻を来してしまう。それは、今までの失敗から痛いほど学んだことだ。やはり、危険度の低い関わりが治療者にも患者さんにも大切だと思っている。



【役に立つ本】
境界性人格障害(BPD)のすべて
BPD―境界性人格障害のアセスメントと治療
人格障害の臨床評価と治療
境界例の治療ポイント
心の病いの治療ポイント―事例を通した理解

2006年3月30日 (木)

カウンセリング・精神療法 電子カルテを眺めていて

 病棟の患者さんとのカウンセリングに備えて、この間の経過をカルテでチェック(空いている時間があれば、こんなこともします)。

 さてさて、この間病棟にトラブルメーカーの患者さんがいて、そこら中でトラブルを起こしている模様です。そして、カウンセリングをしている患者さんは、アンプのような役割を果たしています。事ある毎にトラブルに首を突っ込んで、大きな問題へと発展させています。そして、スタッフ一人がカウンセリングをしている患者さんと一緒になって、トラブルメーカーの患者を攻めるので、職員にちくりやがって、と火に油、プンプン。病棟は、モメモメのテンヤワンヤ。まぁ、何てこった〜!!!

 この間、カウンセリングをしている患者さんのカルテに、このスタッフの記載が異様に増えています。5分おきに記載がなされている時もあります。訴えを逐一記録し、対処法を伝授しています。記載の中に、困ったことがあったらいつでも私のところに言いに来て、と言う記載がありました。

 何故、こんなにもこのスタッフの記載が増えたのか、その辺りが振り返ることが出来れば、問題解決の糸口が見つかってくるように思います。振り返られなかったら、更に問題が大きくなった時点で問題として扱えば良いと思っているので、目下様子を窺っています(仮に、今、問題を指摘したとしても、それが何故問題なのか判らないだろうと思います)。

 熱心な治療的な関わりをしようとするスタッフとそれに触れた患者さん。患者さんは患者さんで、全面的に支えてくれる人、としてスタッフを捉えてしまったのでしょうか。スタッフはスタッフで、頼りにしてくれる患者さんがいとおしいとでも感じてしまったのでしょうか。何れにせよ、患者さんもスタッフも、自己愛がくすぐられて気分が良い事には間違いない。

 そうそう、明日は、この問題にだけは触れないでおこう。当初から課題設定した話題について取り扱っていこう。でも、如何しても避けられなかったら…。まぁ、あれこれ考えても仕方がないので、患者さんからこの話が出た時点で如何するか考えよう。



【役に立つ本】
境界性人格障害(BPD)のすべて
BPD―境界性人格障害のアセスメントと治療
人格障害の臨床評価と治療
境界例の治療ポイント
心の病いの治療ポイント―事例を通した理解

2006年3月22日 (水)

カウンセリング・精神療法 あなたの深い悲しみが理解出来なくてすみません

 あなたの深い悲しみが理解出来なくてすみません

 患者さんの話を聞き、こんな風に答えることがある。なんて冷たい人だ、と思う人もいるかも知れないけれど、こんな底なしの悲しみに襲われているのに、易々と共感なんか出来る筈等無い。出来そうにも無い共感をするよりは、正直な気持ちを伝えた方が誠実だと思っている。患者さんにしても、深い悲しみ等簡単に理解してもらえるものではないと思っているようだ。

 あなたの深い悲しみが理解出来なくてすみません、と言う言葉の中には、『あなたが深く悲しんでいるのは判る。でも、当事者ではない私には、そんなに深い悲しみは計り知れません』と言うある種こんな意味合いが含まれているのだと思う。そして、患者さんは、その辺の意味をしっかりと読み取ってくれているのだと思う。その言葉を聞いて、安心した。気持ちが楽になったと言う人も少なからずいる。『そんな計り知れない悲しみだから、苦しんで当然なんだ』と言う気付きが生じるのでしょうか???



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
カウンセリングを語る〈下〉
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年3月19日 (日)

カウンセリング・精神療法 包茎、やばいよ!!! いわゆる一つの催眠

 男性誌に掲載されている包茎手術の広告は、世のいたいけな若者を中心にの不安を過度に煽っている。セックスの際に女性に不潔だと思われるよ等と包茎に不快なイメージを持たせることで不安を煽っているのだ。


 包茎なんですけれど…、とカウンセリング場面で、時々こんな相談が飛び出てくることがある。理由を聞くと、包茎手術の広告を見て不安に感じた、と言う。その多くは、セックスの際の不安、皆と風呂に入る際に自分だけ包茎だったらと言う不安等が多い。健康ランドなんかに行くと、とにかく不安で、自分の性器を必死に隠し他の人の性器が気になるのだと言う。


 それにしても罪作りな広告である。犠牲になった世の若者と言うのは、少なくないのだろう。


 如何しても気になるのなら、包茎手術をなさるのも選択肢の一つです。ただ、手術はいつでも出来るので、それ前に今一度健康ランドに行って、包茎の人がいないか確認してみたら如何ですか。結構、エッチな本を見ながら右手が彼女の人って多いようだし、それがたたって皮が伸びてしまった人って多いですよ。自分だけが包茎だ、と思っていませんか???


 辛さを共感をしながら、こんな風に投げ返すことが多い私です。


 余談ですが、入院中の患者さんにこんな感じで返した時、『(スタッフの名前を挙げ)あの人包茎です。レクで健康ランドに行った時に見たんです。だから、いい年になっても、結婚出来ないばかりか、彼女もいないんです。あんな風になるのは嫌です』と返って来ました。

 これぞまさにチン説。包茎が原因ではないと思うのですが…、ああ絶句。如何にもこうにも参ってしまったことがありました。



【役に立つ本】
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年3月11日 (土)

カウンセリング・精神療法 メタファー(metaphor)

 メタファーは、隠喩とも言われています。もともとメタファーとは、meta(〜の間)+pherein(phor //運ぶ)と言うギリシャ語が語源であるとされて、ギリシャ時代から今日に至るまで、頻繁に用いられています。

 カウンセリングの現場でも、しばしばメタファーが用いられます。身の回りの状況等を、メタファーを用いて一言に置き換えることで、気付きや理解を促進させる役割を果たします。人の創造性に働きかけて、変化をもたらすのだろうと思います。ただ、むやみやたらにメタファーを用いても効果があるとは限りません。メタファーが力を発揮するためには、絶妙なタイミングがある感じです。

 メタファーで置き換えた表現が、気付きや理解を促進させる瞬間は、神秘的。こんなシーンに出くわす度に、そんな風に感じます。



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
カウンセリングを語る〈上〉
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自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

カウンセリング・精神療法 ムード一致効果

 雰囲気を作っていく際に、ムード一致効果を利用すると、良いとされています。カウンセリングや精神療法の場面では、この名前を知らなくとも、経験的に効果があると認識され、まともな臨床家の多くは用いています。


ムード一致効果とは、何なのか???
 ネガティブな雰囲気の中では、ネガティブな考え・イメージ等が着想され易い。逆に、ポジティブな雰囲気の中では、ポジティブな考え・イメージ等が着想され易い。つまり、雰囲気如何で発想やイメージが変わってくる(発想やイメージは雰囲気に左右される)、と言うことです。


 つまり、人に良い変化を期待する時には、『良い』等のポジティブ意味合いを持つ言葉を努めて用いると言いのです。


【問題】
 人に変化を期待するために、ネガティブな意味合いを持つ言葉を努めて用いると如何なるでしょうか。例えば、「こんなことも出来ないの。気をつけなさい」と言った言葉を多用したら、果たして…


 もうお分かりですよね。



【役に立つ本】
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年3月 7日 (火)

カウンセリング・精神療法 心的リアリティと物的リアリティ

 小〜中〜高といじめの被害者となって辛い思いをした人達の中に、反射的に被害的に物事を捉えてしまう人がいる。

 例えば、怖そうな人と目が合ったら嫌がらせをされるのではないか、(自分の方を向いて)ヒソヒソ話をしているのを見たら自分の悪口を言っているのではないか、なんて調子で捉えてしまう。時と場合によっては、不快な刺激を目の当たりにするだけで、遥か昔に虐められていた時の事が、時空を越えて瞬時に生々しく蘇って来る事もある。

 ただ、客観的な事実と照合すると事実誤認だったりする。しかし、その人にとって見れば事実なのである。フロイトは、客観的事実を物的リアリティ、そして主観的事実をを心的リアリティと呼んだ。もう少し説明を加えるなら、心的リアリティは、主観の中の情緒・願望・空想・イメージ・思考である。そして、心的リアリティ(主観的世界)と物的リアリティ(客観的世界)とのズレを検証する心の動きが、現実検討力と呼ばれるものである。

 被害的に物事を捉えてしまう人たちは、客観的な事実なんかはどうでもよく、大変だったね、と言う言葉を期待していることがある。こんな時に、客観的な事実は○○なのであなたの捉え方はおかしい、と返してしまうと、受け止めてもらえないと感じてしまう。慰めて欲しい時に、ブツブツ小言を言われても面白くないですもんね。かと言って、事実に反している事をさも実在したかの如く扱えば、心的リアリティが客観的な事実なんだ、と確信させてしまう事にもなりかねない。そこが、難しいところであり、経験がものを言うところでもあります。

 そのため、客観性と主観性との間に明確な境界線がひく作業が必要となってくる。そして、「境界線をどんな風に引き、しんどい気持ちを癒していくかが臨床家の腕の見せ所である」と考える。



【役に立つ本】
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年3月 5日 (日)

ストレッサーのコントロール

 ストレス状態とは、個体を取り巻くあらゆる外的や内的要因が負荷となって、特別な機能的緊張を要する状況を指すので、ストレスは「負荷」と訳すのが適当ではないでしょうか。


ストレッサー(ストレスとなる外的な要因)
【物理化学ストレッサー】
 寒冷、暑熱、地震、騒音、酸素欠乏、有機溶媒等の化学物質、アルコール、ニコチン等。
【生物的ストレッサー】
 絶食、飢餓、ビタミン不足、マラソン、筋肉労働、妊娠等。
【社会的ストレッサー】
 戦争、経済的破綻、職場の異動、価値・基準の変化、精神的な緊張、不安、恐怖、興奮等。


 ストレスが、個人に与える影響は、ストレスの種類、ストレスの緩急、ストレスの強弱、個人の耐性によって変わってきます。そして、同じストレスに晒された場合、ストレス耐性が低い人程、ストレスの影響で心身に強い不調(ストレス反応)を来たし易くなるのです。

 ストレッサーのコントロールをする際は、ストレッサーを個人がどのように評価するか、そして如何行動するのか、と言った認知心理学的な視点が大切になってきます。ここに着目したのが、認知行動療法と言うものです。有効な治療法として、世界で実践されています。

 自分でコントロール出来ると言うのは、強いストレスに晒されても比較的打たれ強い状態です。逆に、出来ないと言うのは、圧倒されて破綻を来たし易くなる状態です。圧倒され続けていると、フラッシュバック現象を起こしてしまうこともあります。

 生活に支障を来たすストレッサーのコントロールには、トレーニングが必要だと考えています。しかし、やっても即効性はないです。しかし、やらなければ決して効果は現れないのです。



【役に立つ本】
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年2月25日 (土)

カウンセリング・精神療法 職場不適応

 職場で他者と揉めて不適応を起こすスタッフをみていると、気づくことがある。

 自分には問題がないけれど、周りに問題がある。大抵そんな風に訴える。

 他者や環境が悪い、と自分以外に原因を求めることが大切な時もあるけれど、そうそうそんな解決法をしていても、新しい問題が生じた時に対処出来る保証は無い。また、躓いては、自分以外に原因を求める事の繰り返しになってしまう。非難された人は、迷惑だと思うだろう。傍から見ている人は、また同じ事をしている、と思う。そうこうしている内に、巻き込まれるのが嫌だからあの人とは関わらないでおこう、なんて周囲が警戒し始める。挙句の果てに、孤立してしまうことになりかねない。

 確かに、相手に問題がある場合もある。しかし、自分の問題として捉える視点が自分の成長に繋がっていく。他者や環境が悪い、と言って、他者や環境を変えさせたとしても、自分が変らなければ、決して何も変らない。

 自分1人を変えるのにも時間が掛かるのに、周囲の人を変えようと思ったらどれ位の時間が掛かる???、そんな質問をしたことがある。そうしたら、退職して職場を変えたら直ぐ変る、と返ってきた。

 しかし、職場を変えても、自分が成長しない限り、同じような問題で躓く可能性は高い。そんな風に思ったけれど、次に問題が起こって時点でその人が考えれば良いことだと思い、そうですね、とだけ答えた。自分の問題として捉える視点の重要性が判らない限り、理解出来ないのだから…



【役に立つ本】
追補 精神科診断面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助
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論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える

2006年2月21日 (火)

カウンセリング・精神療法 病院の検査

 「生活をしていく上で何等の支障も感じていなかったら、MRI・CTとか、脳波とか、知能検査とかは、自分からしたいと思わない。問題が発覚して心配の種を増やしたくない。40近くなれば小さな脳梗塞なんて出来ていて普通。脳波だって、知能検査だって問題がなかったら調べる必要はない。問題がないのに態々確認しても気持ちが重くなるだけ」

 脳波自動解析が病院に広がりかけた頃だったと思う。知り合いの精神科医がこう漏らした。確かに、確かに、仰る通りです。問題が起こってから、調べれば良いのです。この言葉が、妙に記憶に残っている私です。

 普段、病棟に顔を出しますと、時間を作るので知能検査をして欲しい、とスタッフに言われます。興味半分で希望する人から本気で自分の知能を知りたい人まで様々です。幾ら熱望されても、検査結果を返す時のことを考えると、ついつい検査を留まってしまいます。普通位のIQはあるだろう、と勝手に思っているようなので、その期待が外れた時が怖いのです。そんな時思い出されるのが、冒頭に紹介した精神科医の言葉。

 「問題がないのに調べて、態々問題が発覚して心配の種を増す必要はないと思います」と言って断わります。そして、精神的に不調、とか問題がある場合は、受診の上にしてください、と伝えます。当然と言えば、当然な対応ですが…



【役に立つ本】
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2006年2月18日 (土)

カウンセリング・精神療法 カウンセリング終了時の感想

 昔々の大昔、カウンセリング終了時に、こんな感想を話して下さった方がお見えになりました。


 カウンセリング終了となった今、これまでの事を振り返ってみると、しんどい気持ちを自分一人で扱っていたけど、それが自分で自分を追い込んで苦しめていた。しんどさをどんな風に対処すれば良いのか、考えてみるもののネガティブな発想しか出来なくて、更にしんどくなっていった。最初の内は、考えるとしんどいので考えるのをやめようと思えば直ぐに気持ちの切換えが出来た。しかし、その内にそれが出来なくなり、常に最悪のしんどさを抱える状況になってしまった。あの時は、ネガティブな発想しか出来ていないと言う事さえ判らなくなるほど混乱していたように思う。

 それが、カウンセリングを通して、気持ちが整理されていくと、ネガティブな発想しか出来ていないことに気付いた。そして、考えても問題解決をしたことにはならない、と思って、出来る範囲で気持ちを癒して行こうと思った。

 失敗の連続で嫌になることも多かったけど、失敗した時はカウンセリングを受けて、自分の持っている健康な部分に気付かせて貰った。すると、不思議な事に頑張ろうと言う気持ちがもう一度芽生えた。ただ、なかなか頑張ろうと言う気持ちは育っていかない気がした。

 でも、今、振り返ってみると、変化があったんだと思う。自分を変えようと思ってもなかなか変らない。でも、変えようとしないと変らない。そんな風に思う。カウンセリングで心が癒される。癒されるって、気持ちが良い。多くの人が、カウンセリングを受けられると良いのに。

 自分の場合も、しんどかったのに自分だけで何とかしようとしていた。ストレスが溜まってあんな問題を起こすまで、カウンセリングのことすら知らなかった。カウンセリングを知ったのは偶然だった。ストレスが溜まって問題・事件を起こす前に多くの人が、カウンセリングを受けられると良い…


 カウンセリングが合わないと言って中断する人もチラホラいる中、こんな感想を貰ったので、嬉しかった事を覚えています。『自分を変えようと思ってもなかなか変らない。でも、変えようとしないと変らない』、『癒されるって、気持ち良い』等の言葉は、カウンセリングをこれから始めようって思っている人に話すフレーズなのであります。



【セルフコントロールにはこの本】
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える
〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法

2006年2月14日 (火)

カウンセリング・精神療法 抑うつはよくうつになるからではない

 よくうつになるから抑うつです、と初めてカウンセリングに訪れたその人は言った。話を聞いていると、冗談で言っている訳でもないので、なるほど、とその場は、受け止めた。しかし、心の中では、抑うつの意味合いが違う、と叫んだのであります。

 カウンセリング終了後、抑うつの定義を思い浮かべてみようと思いました。精神的な苦痛が、落込み・憂鬱さ・億劫さ・少々のイライラと焦燥感等の心理的症状として表現されるもの、と捉えていたのですが、しっくりいきません。普段慣れ親しんでいる言葉なのですが、いざ、言語化してみようと思ったら、案外難しい。若しかして、感覚的に捉えていただけで、実は良く知らないのかもしれない。そんな風に感じたのでした。

 ネーミングした人は何を思って『抑うつ』にしたんだろう、と思い、調べてみると、『抑制』と『うつ』のことだと載っていました。思った通りでした。意外にあっけなかったです。



【うつのセルフコントロールにはこの本】
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法
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〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法

2006年2月10日 (金)

カウンセリング・精神療法 丁寧な言葉遣いで怒る人

 私は、精神科の外来の端にある部屋でカウンセリングをしている。そして、その隣に医療相談室がある。経験の浅い精神保健福祉士が数人待機していて、そこで医療相談をしている。カウンセリングの部屋は、人の出入りが限られている分静かだけど、医療相談室は、外来・入院の患者さんがひっきりなしに出入りするのでとても賑やかである。

 そんな医療相談室でのやりとりの中で気になる事がある。女性の相談員と発達障害の患者さんの遣り取りである。この患者さんは、いつも同じ事を訴えている。そして、相談員もいつも同じように対応している。漏れ聞こえてくる話は、噛み合っていない。お互いがお互いに自分の言い分を言っているだけ。従って、お互いに、判ってもらえない、と言う不全感だけが募っていく感じだ。お互いにそろそろ気付いても良いのではないかと思うが、いつも同じ事をしている。

 次第に、お互いに力んできて、強い調子で言い合う。患者さんは、如何して言い分を聞いてくれないんですか、と言った具合にエキサイトしていく。負けずに相談員も、お話をさせて頂いているように…、と言った丁寧な言葉遣いをしながら語気が段々強くなり、エキサイトしていく。最終的には、お互い疲れきって終息に向かっていく。時間にして15分程度の話である。

 事実ばかり並べても先ずは患者さんに共感をしないと理解を示して貰えないだろう、と私は思って聞いている。ちょっとばかり気になったので、いつも大変ですね、と声をかけた事がある。そうしたら、そうなんですよ。言うことを聞いてくれなくって…、と返ってきた。更に、勇気を絞って、お互いにエキサイトしていましたね、と返したところ、患者さんがエキサイトしているだけで私は言葉も乱れていませんし至って冷静です、と返って来た。確かに言葉は乱れていないけれど…。
 
 どちらが、早く悪循環から抜け出せるか、楽しみである。



【役に立つ本】
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